IG証券はスプレッドが狭く、取り扱う通貨ペアが豊富であり、海外業者と国内業者のメリットを併せ持つ証券会社だ。ノックアウトオプションを取り扱う、数少ない証券会社としても知られている。IG証券同社のメリット・デメリット、FX口座の特徴などを解説していこう。

1,IG証券の特徴は?

ig証券,メリット,デメリット
(画像=IG証券公式ホームページより)

IG証券は、45年以上の歴史がある、ロンドン証券取引所に上場する金融サービス企業IGを親会社に持つFX会社だ。世界中で23万人以上が利用しているIG証券の基本情報と特徴を見ていこう。

IG証券の特徴

IG証券の特徴として、「スプレッドの狭さ」と「取り扱い通貨ペア数の多さ」が挙げられる。

主要通貨ペアのスプレッドは、大手FX会社に引けを取らない狭さだ。

取り扱い通貨ペア数にいたっては、SBI FXトレードやGMOクリック証券、DMM FXなどが多くても30通貨ペア前後であるのに対し、IG証券では約100通貨ペアを取り扱っている。

さらに、「ノックアウトオプション」という業界でも取り扱いの少ないサービスを提供。

このように、IG証券は国内業者のメリットであるスプレッドの狭さと、海外業者のメリットである取り扱い通貨ペアの豊富さや独特な商品性を備えているのだ。

IG証券の基本情報

取引を検討する際の参考になるよう、IG証券の基本情報をまとめておこう。

IG証券のサービス基本情報一覧(2020年10月22日現在)

会社情報 会社名 IG証券株式会社
設立 2002年12月
資本金 1億円
自己資本規制比率 521.8%(2020年8月末日現在)
口座開設数 非公開
信託保全 100%信託財産保全
口座 口座開設手数料 無料
口座管理手数料 無料
(ただし、6ヵ月以上
ポジションがない+
取引していない状態で、
口座に証拠金を預けている場合、
税込550円/月が発生)
入出金・振替 入金方法 【日本円口座の場合】
・クイック入金
・ベストレシーバー入金
【米ドル口座の場合】
・銀行振込(外貨送金)
クイック入金手数料 ・三井住友銀行、
ジャパンネット銀行:
振込手数料自己負担
・上記2行以外の提携銀行:
各銀行による
ベストレシーバー
入金手数料
自己負担
銀行振込(米ドル口座)
入金手数料
自己負担
出金日数 ・平日の午後2:30までの依頼で
翌営業日振込
・平日の午後2:30以降の依頼で
翌々営業日振込
出金手数料 無料
(ただし5,000円未満の出金は
330円の手数料が発生、
また米ドル口座の出金には
手数料が発生)
出金方法 ・HPより出金手続き
・電話にて出金手続き
クイック入出金
提携金融機関
8行
※法人口座は4行
ベストレシーバー入金
提携金融機関名
みずほ銀行専用振込先口座
銀行振込(米ドル口座)
入金提携金融機関
利用者が指定する大手国際銀行
ツールサービス PC版取引ツール ・ProRealTimeチャート
・Webブラウザ版取引システム
スマートフォン版
取引ツール
IG証券 トレーディング・アプリ
取引 通貨ペアの種類 約100種類の通貨ペア
取引手数料 無料
注文方法の種類 ・スピード注文
・成行注文
・指値注文
・逆指値注文
・ノースリッページ注文
・IFD注文
・IFO注文
最低取引単位 1万通貨単位
(一部の新興国通貨を除く)
注文1回あたりの
取引上限
原則、上限なし
レバレッジ倍率 個人口座:レバレッジ25倍
法人口座:為替リスク想定比率で算出
取引手数料 無料
ロスカット手数料 無料
注文チャネルの種類 オンラインまたは電話
ロスカット
事前通知と方法
指定のレートに達した際に
登録したメールアドレスへ即送信
ロスカット発動水準

・通常の強制ロスカット
証拠金有効残高が維持証拠金額の
75%以下になった時点で、
比率が100%以上になるまで
「保有ポジションの強制ロスカット」
および「未決済分のオーダー・
指値注文分の
オーダーのキャンセル」が執行される。

・東京正午ロスカット
毎営業日正午時点で、証拠金有効残高が
維持証拠金額の100%未満の場合、
この比率が100%以上になるまで
「保有ポジションの強制ロスカット」
および「未決済分のオーダー・
指値注文分のオーダーのキャンセル」
が執行される。

利益と課税 「先物取引に係る雑所得等」
として申告分離課税(20.315%)
サポート体制

・電話
・Eメール
※受付時間
月~金:8:00~21:00/
祝日:8:00~20:00

・個別レッスンあり
・「IG TV」にて取引
プラットフォームの操作方法
などの解説あり

※公式サイトを基に筆者作成(2020年10月22日作成)

2,IG証券のスプレットやスワップポイントは?

ここからは、FX口座選びで気にする人が多いスプレッドやスワップについて詳しく見ていこう。

IG証券のスプレッド――主要通貨は業界最狭水準の狭さ

海外のFX会社は、国内の会社に比べてスプレッドが広い傾向がある。しかしIG証券の主要通貨のスプレッド、特に「米ドル/円」「ユーロ/円」「英ポンド/円」は、業界でも最狭水準の狭さを誇る。

DMM FX、GMOクリック証券FXネオと比較してみよう。

取扱通貨ペア別スプレッド一覧表

通貨ペア IG証券 ※1 DMM FX GMOクリック証券
FXネオ
米ドル/円 0.2銭 0.2銭 0.2銭
ユーロ/円 0.5銭 0.5銭 0.5銭
豪ドル/円 0.7銭 0.7銭 0.7銭
英ポンド/円 1.0銭 1.0銭 1.0銭
NZドル/円 最小:2.0銭
通常:4.0銭
1.2銭 1.2銭
カナダドル/円 最小:2銭
通常:4銭
1.7銭 1.7銭
トルコリラ/円 最小:8.0銭
通常:15.0銭
- 1.7銭
豪ドル/米ドル 0.6pips 0.9pips 0.9pips
ユーロ/米ドル 0.4pips 0.4pips 0.4pips
豪ドル/ユーロ 最小:1.6pips
通常:3.0pips
1.5pips 1.5pips
英ポンド/米ドル 0.9pips 1.0pips 1.0pips
南アフリカランド/円 4.0銭 1.0銭 1.0銭
メキシコペソ/円 最小:0.6銭
最大:1.0銭
- 0.3銭
シンガポールドル/円 最小:4.0銭
最大:6.0銭
- -
※各社公式サイトを基に筆者作成(2020年10月22日作成)
※1:IG証券のスプレッドは、1注文あたり100ロットまで取引した場合の数字

マイナー通貨ではDMM FXやGMOクリック証券FXネオに軍配が上がることが多いが、「英ポンド/米ドル」などは国内大手FX会社よりも狭いこともある。

主要取扱通貨ペア別のスワップポイント

スワップポイントは、FX業者によって異なる。長期投資を考えているのであれば、よりスワップポイントがより高いところで口座開設をするのが定石だ。ここでは、IG証券、DMM FX、GMOクリック証券FXネオの3社それぞれのスワップポイントを比較してみよう。

主要取扱通貨ペア別のスワップポイント

通貨ペア IG証券 DMM FX GMOクリック証券
FXネオ
米ドル/円 -5 -25 8 -11 8 -11
ユ-ロ/円 -33 -2 -11 8 -13 10
豪ドル/円 -4 -18 3 -6 3 -6
英ポンド/円 -14 -28 6 -9 4 -7
NZドル/円 -18 -6 4 -7 1 -4
カナダドル/円 -4 -15 2 -5 3 -6
トルコリラ/円 21 -34 17 -20
豪ドル/米ドル -9 -8 -4 1 -4 1
ユ-ロ/米ドル -41 9 -23 20 -21 18
豪ドル/ユ-ロ -42 10 -22 19 -24 21
英ポンド/米ドル -23 -13 -7 4 -7 4
南アフリカランド/円 5 -10 6 -9 6 -9
メキシコペソ/円 4 -7 5 -8
シンガポ-ルドル/円 -20 -32
※各社公式サイトを基に筆者作成(2020年10月22日作成)

IG証券のスワップポイントは、他社と比較すると高金利通貨においては高いものもあるが、他の通貨に関しては見劣りするものもあるので注意したい。

3,IG証券の5つのメリット

基本的な情報を見てきたが、ここからはIG証券のFX口座にはどのようなメリットがあるのか見ていこう。

メリット1,主要通貨のスプレッドが業界最狭水準

前述のとおり、IG証券のスプレッドは業界で最低水準である。特に「米ドル/円」「ユーロ/円」「英ポンド/円」などの主要通貨ペアのスプレッドは、国内大手FX会社と同じ水準だ。

一方で、人気のある「南アフリカランド/円」や「トルコリラ/円」などの高金利通貨のスプレッドは、他社に比べて高いものもある。高金利通貨をメインに取引する場合は、スプレッドを他社としっかり比較しよう。

メリット2,ノックアウトオプションを使える

IG証券では「ノックアウトオプション」を使える。ノックアウトオプションとは、通貨の価格が上がるか下がるかを予想して、「ブル(上昇)」「ベア(下落)」のどちらかを買う取引のことだ。

事前にノックアウト価格(ここまでの損失であれば許容できるという価格)を設定することで、自動的に損切りが行われるので、損失を限定できるのが特徴。

2020年10月現在、ノックアウトオプションは国内で口座を開設できる会社では「IG証券」と「FOREX.com」の2社しか取り扱っていない。FOREX.comのノックアウトオプションはFXにしかないが、IG証券ではCFDやバイナリーオプションにもノックアウトオプションがあるため、将来は投資先を広げていきたいと考えている人は、IG証券のほうが適しているだろう。

メリット3,約100種類の通貨ペアを取引できる

IG証券では、国内のFX会社を圧倒する約100種類もの通貨ペアを取り扱っている。「米ドル/円」「ユーロ/円」「豪ドル/円」などの主要通貨はもちろん、他社ではほとんど取り扱っていない「デンマーク・クローネ」「ハンガリー・フォリント」「チェコ・コルナ」といった通貨も取引できる。

初心者がマイナー通貨を売買することはあまりないだろう。しかしFX取引に慣れたら、さまざまな通貨を取引することも考えられる。それを考えると、選択肢は多いに越したことはない。

メリット4,高金利通貨のスワップポイントが高い

高金利通貨のスプレッドは、他社に見劣りするものもあるのは事実だ。しかしながら、高金利通貨のスワップポイントは高い傾向がある。IG証券で高金利通貨の取引を行う場合は、短期よりも中長期でスワップポイントをコツコツ貯める取引スタイルが向いているだろう。

ただしトルコリラ/円などでは、支払いスワップが受取りスワップを大きく上回っている。スワップポイントが支払いに転じた状態のまま、ポジションを保有することがないように注意したい。

メリット5,CFDやバイナリーオプションも取り扱いがある

IG証券では、FX取引を行う口座でCFDやバイナリーオプションの売買もできる。

CFDでは、他社があまりカバーしていない欧州株やアジア株も取り扱っている。バイナリーオプションに関しては、世界の株価指数や金・銀、原油先物など商品ラインナップが豊富であることもメリットといえる。

4,IG証券の4つデメリット

自分に合うFX口座を選ぶためには、メリットだけでなくデメリットも理解しておきたい。

デメリット1,最低取引単位が1万通貨単位

IG証券の最低取引単位は、一部の新興国通貨を除いて1万通貨だ。

以前は最低取引単位が1万通貨取引のFX口座が多かったが、現在は1,000通貨単位で売買できるところも増えている。例えば外貨ex byGMOやみんなのFX、外為どっとコム、ヒロセ通商などだ。

SBI FX トレードでは、1通貨単位という超少額取引もできる。

それを考えると、「まずは少ない資金で小さく始めたい」という人にとっては、ややハードルが高いかもしれない。

デメリット2,100ロット以上のFX取引ではスプレッドが広がる

IG証券では、100ロット以上でFX取引をした場合、スプレッドが広がってしまう。

100ロットとは、例えば通貨ペアが「米ドル/円」の場合は、1億500万円(1ドル=105円の場合)相当の取引だ。

個人でこのような大口取引を行う人はあまりいないだろうが、デメリットとして押さえておきたい。

デメリット3,取引ツールやサイトが使いづらい

投資家によって感じ方は異なるが、「IG証券の取引ツールやプラットフォームは使いづらい」という声がある。

特に初心者にとっては画面の情報量が多いため、難しく感じてしまうかもしれない。ツールが自分にとって使いやすいか否かは、FX取引を行う上で非常に大きなポイントだ。

実際に取引をする前に、まずはデモ口座で試してみるとよいだろう。

デメリット4,6ヵ月以上取引がないと月額550円の手数料が発生する

IG証券では、6ヵ月以上取引をしない状態で口座に証拠金を預けている場合、口座管理手数料として月額550円(税込)を支払う必要がある。定期的に取引を行うなら、特に問題にはならないだろう。しかし、「1回ポジションを建てたら、後は年単位で保有する」という場合は、口座管理手数料を取られてしまうことを覚えておこう。

5,IG証券証券の口コミ評判は?

ここからはIG証券でFX口座を持ち、実際に取引をしている人の評価を見ていこう。

J.Kさん 40代男性
満足度★★★★★
短期投資にも適したプラットフォームを提供
短期売買の制限がない点やレバレッジも比較的に規制が緩く比較的自由度を高く取引が可能です。また、売買スマホアプリは視認性が高く直感的な操作が可能なため大変使いやすいです。新興国通貨中心にスワップポイントも業界平均と比較して高い水準のため大変満足しております。

Y.Iさん 60代男性
満足度★★★★★
約定力に満足
仮想通貨の投資と並行してFXにも参入した初心者ですが、同社のチャート分析ツールは秀逸で特にスマホアプリ内で高度な分析ができる点を大変気に入っております。また、先進国通貨中心に売買スプレッドは業界最狭水準。約定率に関しても、数万通貨単位の売買では現時点で約定不可となるケースもなく安心して取引できます。各種のオンライン無料セミナーなど取引を後押しするサポートも満載です。

J.Tさん 30代男性
満足度★★★☆☆
取引ツールは洗練された感じ
外資証券・FXの口座はいくつか持っているが、国内のFX専業とは違い取引ツールも洗練された感じです。会社HPの動画マーケットニュースも参考になる。スプレッドは国内FX専業会社の謳い文句と比べるとやや広いが、IG証券はレート配信自体に信頼感があるので問題ない。一方でFX及びバイナリーオプションをIG証券でやられている方も、おそらくは、初めは苦労されたと思います。なんでもそうですが、慣れて来ると、ここの良さが有り難く感じると思いますが、ちょっと入りがキツイ印象。チャートはともかく、呼び値が非常に細かいです。

T.Sさん 40代男性
満足度★★★☆☆
色々な投資手法を試したい人は
取扱の商品が多いため、様々な選択肢があり、その人に応じた金融商品を選択できるのが魅力です。またノックアウトオプションがあるため、損失を最小限に抑えることが可能というのもうれしいところ。取引に関してもスプレッドは業界でも最狭で高い約定力があると感じています。ただし投資情報の収集にはあまり向いていないように思う。経済ニュースはロイター通信のみで有り、情報量としては少し物足りなさを感じてしまう。さらに6ヶ月間取引がない場合に月500円の口座管理手数料が発生してしまうというのも、他の比べるとデメリットです。

Y.Sさん 30代男性
満足度★★★☆☆
ノックアウトオプションがある証券会社
IG証券の良い点は「ノックアウトオプション」があることです。ノックアウトオプションとは、バイナリーオプションと同様で、将来の通貨の価値が上がるか下がるかを予想するものです。バイナリーオプションとは違うのは、ノックアウト価格を決めることで最大損失額を許容できる範囲に設定できるので、最大損失額を設定することができるようになっています。投資資金の少ないトレーダーにはありがたいサービスだと感じています。

6,IG証券はどんな人におすすめ?

IG証券では、約100種類もの通貨ペアを取引できる。そのため、IG証券は「他社では取り扱っていない通貨ペアにも投資したい」と考えている人と相性が良いだろう。

IG証券では、FX以外にもノックアウト・オプションやCFD、バイナリーオプションの取引もできる。特にCFDの取り扱い数は1万6,000銘柄以上と、他社に比べて充実している。IG証券のCFDは、日経225やNYダウといった「株価指数」、日本株式、米国株、ドイツ株、イタリア株などの「個別株」、さらには原油や天然ガス、小麦などの「商品」にも投資できるのがメリットだ。

FXだけでなく、ノックアウト・オプションやCFD、バイナリーオプションにも興味がある人は、IG証券を検討するとよいだろう。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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