本記事は、長尾 義弘氏の著書『老後不安は「思い込み」が9割』(青春出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

老後不安は思い込みが9割
(画像=minaduchi/stock.adobe.com)

「ひとり老後」は他人事ではない

ここまで、定年後をどう楽しく、豊かに暮らすかという話をしてきました。どちらかというと、夫婦世帯をイメージした内容が多かったかもしれません。
でも、「ひとり暮らしの場合はどうなの?」という声もありますよね。もちろん、その話を避けてきたわけではありません。ここで、きちんと向き合っておきたいと思います。
じつは、ひとり暮らしで老後を迎える人は、かなり多いのです。
日本は人口が減っているのに、世帯数は増えています。「えっ、どういうこと?」と思いますよね。
これは、1世帯あたりの人数が減っているからです。ひとり暮らしや夫婦ふたりだけの世帯が増えている。ひとりでも1世帯とカウントされますから、世帯数そのものは増えるわけです。
つまり、社会は「家族単位」から「個人単位」へと変わってきているということです。

未婚率の上昇も見逃せません。
いわゆる「生涯未婚率」といわれる、50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合。
総務省の「国勢調査報告」によると、1990年には男性5.57%、女性4.33%でした。それが2020年には、男性28.25%、女性17.81%まで上がっています。
男性は4人に1人以上が未婚という時代です。
ということは、そのまま老後もひとりで過ごす確率が高くなるということです。そして、この傾向は今後もしばらく続くと考えられています。ひとり暮らしの高齢者は、ますます増えていくでしょう。
でも、これは未婚の人だけの話ではありません。

「うちは夫婦ふたりだから大丈夫」「子どもがいるから安心」と思っている方もいるでしょう。気持ちはわかります。
ただ、少しだけ現実も見ておきましょう。

夫婦であっても、どちらかが先に旅立ちます。一般的には女性のほうが長生きと言われますが、未来のことは誰にもわかりません。いずれにしても、どこかのタイミングで“ひとりの時間”がやってくる公算が大きいのです。
その期間が1年なのか、10年なのかはわかりません。でも、「自分は最期までふたり一緒」と言い切れる人はいません。
子どもがいる場合も同じです。子どもには子どもの人生があります。遠方に住むこともあるでしょうし、仕事や家庭で忙しいこともある。「迷惑はかけたくない」と自分から距離を取る人もいます。
そう考えると、老後のひとり暮らしは、決して特別な人の話ではありません。
誰にでも起こりうることです。
だからこそ、怖がるのではなく、準備をしておくことが大事です。
ひとりになったとき、どんな暮らしをしたいのか。誰とつながっていたいのか。どんな毎日を送りたいのか。
それをいまから少しずつ考えておく。

ひとり暮らし= 不幸、ではありません。
むしろ、自分らしく自由に生きられる時間でもあります。ただし、そのためには、孤立しない工夫と、安心して暮らせる土台作りが必要です。
老後のひとり暮らしは、他人事ではありません。
いまのうちから、静かに準備を始めておきましょう。

老後不安は「思い込み」が9割
長尾 義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)、『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)。共著に『定年の教科書』(河出書房新社)。監修に年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』『定年前後の手続きガイド』など多数。

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