親が亡くなった際に避けては通れないのが遺産相続です。この遺産相続において、必ずやるべき手続きが3つあります。その手続きを経ないと遺産の分割・承継ができないことはご存知でしょうか。今回はその3つについてそれぞれ解説します。

遺産相続の手続きは3つのポイントがある

相続
(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

遺産相続は持ち主が亡くなった直後からできるわけではありません。遺産相続の手続きには、実際の分割や承継の前に押さえるべき3つのポイントがあります。それは「相続財産は何か」「遺言書はあるのか」「相続人は誰か」の3点です。

そもそも遺産相続とは何か

遺産相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産・権利・義務を相続人が引き継ぐことをいいます。大抵の人は、相続財産と聞くと現預金や不動産といったプラスの財産を思い浮かべます。しかし実は借金や未払費用といったマイナスの財産も相続の対象になります。これらも引き継いだら相続人が支払わなくてはなりません。

また、遺言書がある場合には、遺言で指定された人が指定された財産を引き継ぎます。もし遺言による指定がなければ遺産分割協議を行います。ここで相続人同士が話し合い、財産を分割して承継するのです。

なお、この相続人は民法で厳密に決められています。遺産分割協議には相続人全員が参加しなくてはなりません。

遺産相続で不備があるとやりなおしになる

「遺産分割協議が終わった後で新たな財産が見つかった」「先妻の子を遺産分割協議に参加させなかった」といった不備があると、遺産分割協議をやり直す必要があります。また、相続税もあらためて申告することになります。相続税は遺言や遺産分割協議で決まった財産配分を元に計算するからです。

遺言書の有無の確認や相続人・相続財産の内容が正しくないと、遺産相続の手続きは完了しないのです。

遺産相続の手続きでやるべきこと1:相続財産の調査

ではここから遺産相続にあたってやるべきことを確認しましょう。まずは相続財産の調査です。何が相続対象かがわからないと遺産分割協議を行えません。故人が所有していた財産をすべて確認しましょう。

預貯金については自宅にある通帳・カードで確認します。それでも不安なら気になる金融機関で口座の有無を調べてもらいましょう。

不動産については、毎年5月ごろに市区町村から送られてくる固定資産税の課税明細書で確認します。もしこの明細書が見つからない場合は、市区町村の資産税課で調べましょう。

既述の通り、財産は現預金や不動産といったプラスのものだけではありません。借金や滞納税金といったマイナスの相続財産が存在する場合もあります。多額の借金を避けるには相続放棄が有効ですが、相続開始後3ヵ月までに家庭裁判所に申述しなくてはなりません。

思わぬ借金を背負わないためにも、早めに全財産を正しく把握しましょう。

遺産相続の手続きでやるべきこと2:遺言書の有無の確認

2つめは遺言書があるかどうかの確認です。日本の民法では遺産相続において被相続人の意思を最優先にしています。そのため、遺言書があるならそれに従わなくてはならないのです。

公正証書遺言なら公証役場で保管されています。ただ、自筆証書遺言なら自宅や事務所の金庫など隅々まで探さなくてはなりません。また、自筆の遺言書を発見したら家庭裁判所で検認をしてもらい、遺言書の偽造・変造を防止しなくてはなりません。

遺産相続の手続きでやるべきこと3:相続人の調査

3つめは相続人の調査です。相続人には被相続人の家族がなりますが、民法で順番が決められています。例えば被相続人の子と祖父母、兄弟姉妹が同時にいる場合、子が相続人となります。

ただ、相続人は「今すぐ把握できる家族だけ」とは限りません。被相続人に離婚歴があれば先妻の子も相続人になります。また、隠し子がいて認知をしているかもしれません。

被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本・除籍謄本を調べ、相続人が誰かを正確に把握しなくてはならないのです。

相続税の申告も意識して速やかに進めよう

この3つの作業に期限はありません。そのため、先延ばししようとすればいくらでもできます。しかし、先延ばしは後々面倒を引き起こしかねません。なぜなら、他の法的手続きには期限があるからです。

相続放棄や限定承認は相続開始後3ヵ月以内、相続税の申告は10ヵ月以内となっています。今回の記事でお伝えした3つの作業が終わらなければ、多額の借金や申告の遅れによるペナルティが発生することも否定できません。余計な負担を背負わないためにも、期間内に集中して作業を進めましょう。(提供:相続MEMO


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