株式投資といえば「いつ売買したらいいのかわからないから難しそう」「ずっと相場をチェックしないといけないようで不安」という人もいます。もし売買タイミングを見つけるのが難しいと感じる場合は、長期保有を考えてみてはいかがでしょうか。

重要になるのが銘柄選びです。長期保有に向いている銘柄選びをしないといけません。今回は、株を長期保有するメリットと銘柄の探し方について紹介します。これから投資をはじめたい人はぜひご覧ください。

株の長期保有とは?

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(画像=PIXTA)

株の長期保有といいますが「どのくらいの期間保有すれば長期」という定義はありません。1年以上と考える向きもありますが、5年・10年といった単位で保有することを長期保有とする見方が多いようです。では、株の長期保有と短期保有の目的の違いについても確認してみましょう。

・長期保有:主に配当益や株主優待目的
・短期保有:主に売却益目的

はじめから短期保有を検討している人は、主に売却益を得ることが目的となるため、値動きが大きかったり出来高が多かったりする銘柄が人気です。権利付最終日時点で株式を保有しておく必要があるため、短期売買が目的の人の場合は、配当金や株主優待を重視する人はそれほど多くありません。しかし長期保有では売買益ではなく配当金や株主優待を楽しみにしている人が多い傾向です。

そのため長期保有と短期保有では銘柄の選び方も変わってきます。長期保有に適した銘柄の選び方は後ほど紹介します。

株の長期保有に向いている人とは?

株の長期保有は「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットも行っている投資手法として有名です。バフェットを含めて長期保有をすすめる人の話や著書によると以下のような人が株の長期保有に向いていると考えられます。

・株式相場の動きに一喜一憂しない人
・安定感のある企業の株式を好む人
・保有して数ヵ月間株価の値動きがほとんどなくても我慢できる人
・目先の業績予想や業績発表に一喜一憂しない人

長期保有が推進される銘柄は、値動きがそれほど大きくないものが多い傾向です。そのため株価を毎日チェックする楽しみは少ないかもしれません。しかし安定的に成長している企業の株式を長期間持つことで「最終的にはリターンを得ることができる」というのがバフェット氏の考えです。

株の長期保有のメリット

株の長期保有は、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットを具体的に見ていきましょう。

相場をじっくり観察する必要がない

株式投資といえば「売買のタイミングを逃さないために逐一値動きを見ておかなければといけない」と考えている人も少なくありません。しかし長期保有の場合はすぐに売却をして利益を確保することが目的ではないため、毎日の株価チェックは不要です。

毎朝の新聞やニュースなどで株価を確認する習慣のない人は「1週間に1度」「1ヵ月に1度」など定期的に確認する程度で構いません。

確認したときに株価の動きがあれば売却するかどうかを考えましょう。投資を開始したときに「10%値上がりしたら売却する」など自分なりにルールを作っておくと判断しやすくなります。

配当金が得られる

配当金は、権利付確定日に株式を保有していることで持ち株数に応じて受け取ることができる現金です。ただし配当金がもらえるかは企業の業績によって異なります。なぜなら配当金の原資は原則企業の利益から支払われるからです。配当金がある企業の場合は年に1~2回程度が多く、なかには年4回という企業もあります。

長期保有者であれば頻繁に売買をしないため、権利付確定日のことを心配する必要はありません。

株主優待が得られる

株式保有の楽しみの一つが株主優待です。ただし配当金と同様にすべての企業が行っているわけではありません。株主優待を実施している企業の場合、「保有株数」「一定年数以上」など、もらえる条件はさまざまです。また配当金と同様に権利付確定日に保有していることが条件となります。株主優待品としては、例えば以下のようなものを受け取ることが可能です。

・自社商品の詰め合わせ
・自社や関連会社のサービス券
・クオカード
・図書カード
・カタログギフト

長期保有であれば「権利付確定日までに株を買付しないといけない」など慌てる必要もありません。また企業の中には、例えば「1年以上3年未満」「3年以上」など長期間株式を保有している株主向けに通常の株主優待にプラスしてさらなる優待を付けるところもあります。こちらも長期保有者だからこそ受けられる特有のメリットです。

株を長期保有する際の注意点

株を長期保有すると売配当金や株主優待などのメリットが多い傾向ですが注意点もあります。ここでは、2つの注意点について解説します。

数年後に売却しても利益は株価変動分しか得られない

株式投資の目的には配当金や株主優待、そして売却益を得ることなどがあります。買ったときよりも売ったときの株価が高くなっていればその分が利益となります。しかし数年間保有してもほとんど値動きがない株式の場合、売却してもそれほどの利益にはなりません。銘柄によっては「配当も優待もそれほどなく株式を売っても低金利の預貯金程度の利益しか出なかった」となる可能性もあるのです。

数年後に景気が悪くなっていたら損失が出る

株式は預貯金とは異なり元本保証の金融商品ではありません。景気の動向や企業の業績によっては買ったときよりも株価が下がっている可能性もあります。株価が下がっている時点で売却すれば当然損失となり元本を下回りますので注意が必要です。株価が下がっている場合は、売らずに保有を継続したり今後値上がりや配当などが期待できない場合は、早めに売って別の銘柄に乗り換えたりするなどの対策を立てましょう。

長期保有できる銘柄の探し方!

株の長期保有に向いている銘柄は、どのように探すといいのでしょうか。ここでは、3つの探し方について解説します。

営業利益が増益予想されている

株式は安いときに購入するほうがお得です。しかし安いからといってどんな銘柄でもいいわけではありません。例えば「業績が何期にもわたって下がり続けている」「今後も上昇が見込めない」といった企業への投資はおすすめできません。なお株式投資をする場合は、業績の中でも営業利益に注目してください。営業利益とは本業で得られた利益のことです。

営業利益が増益予想されている場合は、今後も成長が期待できる企業と考えてよいでしょう。

配当性向が高すぎない

配当性向とは、純利益に対する配当金の割合のことです。配当性向は「1株あたりの配当額÷1株あたりの当期純利益×100」で計算します。配当性向が高い企業は、株主への還元が多いため良さそうにも見えますが、高すぎる場合には注意しないといけません。なぜならそれだけ企業の内部留保を出してしまっていることにもなるからです。

これから長期保有で投資したい銘柄を選ぶ際は、配当性向が適正な企業を選ぶようにしましょう。

株価の上下が緩やか

デイトレードのように1日のうちで売買を何度も繰り返すような株式取引をする場合は、株価の動きが大きい銘柄がおすすめです。しかし長期保有を目指す場合は、なるべく株価の上下が緩やかな銘柄を選びましょう。長期保有の場合、株価のチェックは頻繁には行わなくても構いませんが1週間に1回など定期的には確認することが大切です。

株の初心者は長期保有でゆっくり資産を増やそう!

株の長期保有は、数回売買を繰り返して売却益を得る投資方法ではありません。じっくり同じ銘柄を長期間持ち続けて配当金や株主優待をもらっていくことがメインです。そのため配当金や株主優待の内容で銘柄を選んでみるのもいいでしょう。しかし配当金や株主優待が魅力的であっても「全く株価が上昇しない」「下落し続けている」といった銘柄に投資するのは、非常にリスクが高くなります。

投資先を決める際は、必ず営業利益などの業績や経営指標などもチェックして「安定している」「利益が出ている」といった企業へ投資するようにしてください。

文・田尻宏子
複数の金融機関での勤務経験や証券外務員第一種、ファイナンシャル・プランニング技能士2級の資格を活かし、金融関連専門のライターとして活動中。生損保・不動産・ローンの情報を中心に「誰でも分かりやすい記事をお届けする」をモットーに執筆。

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