銀行やコンビニのATMからすぐに出金ができるキャッシングは、すぐにお金が必要なときの心強い味方です。ただ利用する際に返済のことまでしっかりと考えている人はどのくらいいるでしょうか。キャッシングの返済方法は、一括払いだけではありません。いくつかの返済方法があります。
今回は、キャッシングの返済方法の一つ「リボ払い」に焦点を当て、その仕組みや利用する際の手続き方法、注意点までを紹介します。
キャッシングとはいったい何?
キャッシングとは、主にクレジットカードに付帯している現金引き出しサービスのことを指します。
銀行やコンビニのATMで引き出すことができますが、キャッシングで引き出すお金は預金引き出しとは異なり「借り入れ」です。そのためキャッシングをしたら当然返済義務が生じます。
ところでATMから借入金を引き出す方法といえば「カードローン」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。キャッシングとカードローンの特徴について確認しておきましょう。
キャッシングの特徴 | カードローンの特徴 |
---|---|
● クレジットカード付帯のサービスのため、 クレジットカードを持っている人は 改めて審査を受ける必要がない ※一部、審査が必要なキャッシングもあります。 ● リボ払いや分割払い時の金利 (手数料)が15%程度 ● 返済方法は口座引き落とし ● 一般的に借入限度額は100万円ほど ● 返済方法は「一括払い」もしくは「リボ払い」 |
● 利用を希望する際は申込後審査を 経て契約となる ● 金利は1%台後半から14%台 ● 返済方法は口座引き落とし以外に ATMへの入金、インターネット振込など多岐にわたる ● 借入限度額は数百万円から 1,000万円ほど ● 返済方法は基本的に「リボ払い」 |
これらの特徴を見ると、以下のような違いがあることが分かります。
・金利はカードローンのほうが低い
・借入限度額はカードローンのほうが高い
・返済手段はカードローンのほうが多い
これらの点からカードローンのほうが便利に感じる人も多いかもしれません。しかしカードローンを利用するためには、申し込みや審査を経る必要があります。
借入限度額は少なくなりますが、今すぐ気軽に利用できるのはキャッシングのほうだといってもいいでしょう。
「リボ払い」の仕組みを徹底解説!
キャッシングの特徴の中に記載した「リボ払い」という返済方法はどういったものなのでしょうか。ここでは、リボ払いの仕組みや一括払い・分割払いとの違いについて詳しく解説していきます。
「一括払い」や「分割払い」との違い
キャッシングに限らずクレジットカードで買い物する際も「リボ払い」「一括払い」「分割払い」という支払方法があります。
ここでは、より身近な「クレジットカードでの買い物」の例をもとに、以下の表で「リボ払い」「一括払い」「分割払い」の違いについて簡単にご紹介しておきます。
クレジットカードの例を紹介していますが、キャッシングの場合も考え方は同じです。
リボ払い | 一括払い | 分割払い | |
---|---|---|---|
返済回数 | 複数回 | 1回 | 複数回(回数を指定できる) |
毎回の返済金額 | 何度買い物をしても 返済金額は原則一定 |
一度で全額返済 | 買い物の回数や残高に 応じて返済金額が変わる |
手数料 | 利用残高の合計に対して 手数料率が乗じられる |
無料 | 1回の買い物ごとに 手数料がつく |
手数料率 | 15%程度 (カードによって異なる) |
なし | 0~15%程度 (カードによって異なる。 分割回数が多くなるほど 手数料率が高くなる) |
表を見ると「リボ払い」と「分割払い」が似ていることが気になるのではないでしょうか。しかし違う点はいくつかあります。リボ払いは何回利用しても毎月の返済額が原則変わりません。利用残高が積み重なっていくだけです。
反対に分割払いは利用ごとに返済額が設定されます。例えば以下のようなケースの場合、2つの分割払いが並行している形になるのです。
5万円の商品Aを5回分割払いで 購入した場合 |
●商品Aの分を毎月1万円ずつ5回支払い |
10万円の商品Bを5回分割払いで 購入した場合 |
●商品Bの分を毎月2万円ずつ10回支払い |
下記は3万円分の利用をした場合のリボ払いと分割払いの支払い例です。こちらも確認してみましょう。
リボ払いは「設定した金額」+手数料を支払っていきます。分割払いの場合は「設定回数」に応じて支払額が決まります。
リボ払いの手数料について
リボ払いの手数料は利用残高の合計に対して計算されるため、借入残高が多いうちは手数料が多く、返済が進み残高が減るにしたがい手数料も減っていく仕組みです。
リボ払いは、毎月の返済が一定のため返済しやすい点が大きなメリットといえるでしょう。しかしリボ払いの手数料は、一般的に15%前後とかなり高めに設定されています。
そのため借入残高が多いと手数料負担が大きくなりがちです。立て続けにリボ払いを利用してしまうと「いつまで経っても借入残高が減っていかず手数料負担も高いまま」ということも起こり得るため利用時には気を付けてください。
リボ払いの種類
「リボ払い」について簡単に解説しましたが細かく分けるといくつかの種類があります。
・残高スライド方式
例えば以下のように残高に応じて毎月の返済額が変わる方式のリボ払いです。
借入残高 | 毎月の返済金額 |
---|---|
残高50万円以下 | 5万円 |
残高30万円以下 | 3万円 |
残高10万円以下 | 1万円 |
返済途中でキャッシング残高が追加されて既定の残高以上となった場合は、毎月の返済額が増える可能性もあります。
・定額方式:
借入残高がいくらになっても毎月の返済額が変わらない方式のリボ払いです。
毎月の返済額は、利用者が事前に設定できます。毎月出ていく金額が一定のため、家計管理がしやすい一方で返済額を低めに設定してしまうと残高がなかなか減らない点がデメリットです。
代表的な2つのリボ払いについて紹介しましたがクレジットカード会社によってどの方式を採用しているかは異なります。クレジットカードの申し込みの際は、リボ払いの方式についてもチェックしておきましょう。
リボ払いを選ぶにはどうすればいい?
キャッシングを利用してリボ払いでの返済をしたい場合、 どうすればいいのかも解説します。
ATMで手続き
キャッシングするATMで「リボ払い返済」を選択するとリボ払いの適用となります。ATMの操作方法は、金融機関によって異なるため、不明な点は窓口で確認しましょう。
借入後にパソコンやスマホ上からリボ返済に変更手続き
キャッシング時に一括払いを選んでいたものの支払いが厳しくなった場合は、後日リボ払いに変更することができます。
クレジットカード会社によって多少の違いはありますがスマホアプリや公式サイト内の会員ページから手続きが可能です。ただし変更期限があり、期限を過ぎると一括で引き落とされてしまうこともあるため、忘れずに手続きしましょう。
またリボ払いで返済を続けていたけれど「毎月の返済金額を変えたい」「余裕が出てきたのでまとめて返したい」というケースもあるでしょう。その場合は、返済金額の変更や繰り上げ返済ができる場合があるため、クレジットカード会社のサイトを確認してみましょう。
キャッシングのリボ払いのメリットとは
キャッシング利用時にリボ払いを選択するメリットを知っておきましょう。
毎月の返済額を一定にできる
一括返済の場合、どんなに家計が厳しくても請求が来たらまとめて支払わないといけません。
しかしリボ払いは利用残高がいくらであろうとも毎月の返済額を一定に保つことができます。そのため家計に大きな影響を及ぼすことは少ないでしょう。
なお毎月の返済額はクレジットカード会社のサイトでシミュレーションできることも。リボ払いの利用を検討している場合は、ぜひチェックしておきましょう。
利用時に審査不要
キャッシングはクレジットカードの付帯サービスのため、クレジットカードさえ持っていれば申し込みや審査などは必要ありません。
「すぐにお金が欲しいが、カードローンの申し込み手続きをする時間がもったいない」といった場合でもATMからすぐにお金を引き出すことが可能です。ただし一部クレジットカードでは、キャッシング初回利用の際に審査があります。
キャッシングのリボ払いの注意点
キャッシングのリボ払いは便利ですが注意点もあるため確認しておきましょう。
クレジットカードのキャッシングでは利用金額がショッピング利用枠から削られる
キャッシングで利用した金額はショッピングの利用枠から削られる点も覚えておきましょう。
1枚のクレジットカードでキャッシングも買い物時も利用する人は特に気を付けてください。
例えばクレジットカードで100万円の枠を持つ人がキャッシングで20万円引き出した場合、買い物で利用できる枠が80万円になってしまいます。反対に買い物で50万円使っていたらキャッシング利用枠は50万円になるということです。
手数料が高い
上述したようにキャッシングの手数料は、カードローンの金利よりも高く設定されています。リボ払いを使うと支払期間が延びるため、その分手数料負担も増えてしまう点には注意してください。
どのくらい利用残高があるのかを把握するのが面倒
リボ払いでは、毎月一定金額を返済することになります。利用限度額の範囲内ならば複数回借り入れができますがその際も返済額が変わることはありません(残高スライド方式の場合は一定額を超えると返済額も上がります)。
そのため残高がいつまでも減らずずっと残る可能性がある点には十分に注意したほうが良いでしょう。
リボ払いを利用する際は「残高はどのようなペースで減っていくのか」「いつまでに完済できるのか」などをシミュレーションで必ず確認しておいてください。
また残高スライド方式の場合は、残高が一定額を超えたら毎月の返済額もアップします。そのため利用残高を把握することが非常に重要です。
返済方法が限られている場合が多い
キャッシングのリボ払いの返済は、クレジットカード引き落としで登録された口座からの引き落としです。カードローンのようにATMやインターネット返済は一般的ではないため、忘れずに口座にお金を入れておくようにしましょう。
便利だけど気を付けて利用したいキャッシングのリボ払い
キャッシングのリボ払いについて詳しく紹介しました。改めての審査も必要なくATMから借り入れもできる便利なキャッシングですが、リボ払いを選ぶとカードローンよりも高い手数料(利息)を支払わないといけないデメリットもあります。
リボ払いを検討する場合は、以下のような点について押さえておきましょう。
・利用残高を把握しておく
・便利だからといって借りすぎない(残高を増やしすぎない)
・いつまでに返済が終わるのかを明細やシミュレーションで確認する
文・田尻宏子
複数の金融機関での勤務経験や証券外務員第一種、ファイナンシャル・プランニング技能士2級の資格を活かし、金融関連専門のライターとして活動中。生損保・不動産・ローンの情報を中心に「誰でも分かりやすい記事をお届けする」をモットーに執筆。
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