ネット証券の魅力のひとつ、それは手数料の安さです。ネット証券を探す際には、最低手数料の安さを重視している人も多いでしょう。

しかし、「最低手数料が安い=お得」だとは限りません。証券会社には得意とする投資スタイルがあり、それに応じた手数料プランが用意されています。自分の投資スタイルとあった手数料プランを選ぶことで、より効率のよい運用が期待できます。

今回は、取引手数料プランに注目して、人気のネット証券を徹底比較します。

ネット証券の取引手数料プランは大きく分けて2種類

ネット証券,手数料,比較
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

通常、株式や債券などは、その時々の市場の時価で売買します。このとき、投資家の資金内でおこなう取り引きを「現物取引」、担保等を預けて実際の資金よりも大きな額でおこなう取り引きを「信用取引」といいます。

本記事ではこのうちの「現物取引」の手数料について、各社の金額を比較します。多くの証券会社が、次の2プランを用意していますので、使い方を想定しながら手数料をチェックするといいでしょう。

取引ごと:広く対応できるベースプラン

「取引ごと」は、売買取引が成立するたびに、手数料を支払うプランです。取引金額によって、手数料金額が異なります。

通常、特別な申請をしない場合の手数料プランは、「取引ごと」に設定されています。

1日あたり:短期投資向きプラン

「1日あたり」では、1日の取引額に応じた手数料を支払います。通常、一定の取引額までは何回取引しても、手数料金額が変わりません。

1日のうちに何度も取引をおこなうデイトレードなどの短期投資に適しています。

ネット証券会社の取引手数料一覧

人気のあるネット証券をピックアップして、手数料を比較してみましょう。最低手数料だけを見ていると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがわかります。

「取引ごと」の手数料一覧

下記の表は、取引ごとの手数料における「最低金額」の順に並べたものです。少ない取引額での手数料金額は安くても、値上がり方が異なる様子がわかると思います。

例えば、30万~50万円の取引をした場合の手数料を見てみましょう。「最低金額が安い」ことが、必ずしもお得だとは限りません。

また、「上限金額」が決まっていない場合は、取引回数・金額が多いほど手数料も上がっていくため注意が必要です。

  SBI
証券
楽天
証券
DMM
.com株
むさし
証券
トレジャー
ネット
au
カブコム
証券
Amember
of MUFG
岡三
オンライン
証券
マネックス
証券
松井
証券
5万
※最低
手数料
55円 55円 55円 82円 99円 108円 110円 0円
10万 99円 99円 88円 82円 99円 108円 110円 0円
30万 275円 275円 198円 192円 275円 385円 275円 0円
50万 275円 275円 198円 192円 275円 385円 495円 0円
100万 535円 535円 374円 352円 1,089
660円 1,100
1,100
300万 1,013
1,013
660円 484円 3,069
1,650
3,300
3,300
500万 1,013
1,013
880円 825円 5,049
2,310
5,500
5,500
上限 1,070
1,070
880円 なし 4,059
3,300
なし 110,000
※マネックス証券手数料は、成行注文金額です。松井証券の取引手数料は、1日定額プランのみです。
※松井証券の取引手数料は、1日定額プランのみです。

「一日あたり」の手数料一覧

下記の表は、1日あたりの手数料プランにおける「最低金額」の順に並べました。

証券会社によって値上がり方が異なります。金額が小さいうちは安くても、ある程度まとまった金額で取引をするのなら、別の証券会社のプランのほうがお得になる可能性もあります。

自分の投資スタイルに合わせて証券会社を選択することが重要です。

  SBI
証券
岡三
オンライン
証券 
楽天
証券
松井
証券
マネックス
証券
むさし
証券
トレジャー
ネット
最低
手数料
0円 0円 0円 0円 550円 1,320円
50万 0円 0円 0円 0円 550円 1,320円
100万 0円 0円 0円 1,100円 550円 1,320円
200万 1,278円 1,430円 2,200円 2,200円 2,750円 1,320円
300万 1,718円 1,980円 3,300円 3,300円 2,750円 1,320円
500万 2,598円 3,080円 5,500円 5,500円 5,500円 2,640円
上限
金額
なし なし なし 11万円 なし 1万3,200円
※auカブコム証券 A member of MUFG、DMM株には、1日定額プランがありません。

手数料の安さで選ぶ!おすすめネット証券ランキング

次は、その他の手数料や取扱商品も考慮して、おすすめネット証券を紹介します。手数料金額の上がり方については、先述した一覧表を参考にしてください。

第1位 SBI証券

【SBI証券のおすすめポイント】
・1日あたりの取引手数料は、現物・信用それぞれ100万円まで無料
・取引ごと手数料55円からと、業界最低水準
・外国株式の取り扱い国数はネット証券最多の9カ国
・投資信託でも、対象商品の買付手数料が0円に

SBI証券は、ネット証券口座開設数NO.1を誇る人気の証券会社です。取引ごと手数料は55円から、1日あたりの手数料は0円からと、業界最低水準。

取扱商品数も多く、特に外国株式の取り扱い数は米国をはじめ9カ国と圧倒的です。外国株式取引手数料も安く設定されているため、海外企業に投資したい人におすすめです。

取引ごと手数料(最低金額)
現物取引 55円
信用取引 99円
1日あたり手数料(最低金額)
現物取引 0円
信用取引 0円
現物取引と信用取引の合算 別口
外国株式 手数料
取り扱い国 米国、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、
シンガポール、タイ、マレーシア、海外ETF
米国株式
取引手数料
約定代金の0.45%
最低金額:0米ドル
上限金額:22米ドル
投資信託 手数料
申込手数料 原則無料

第2位 楽天証券

【楽天証券のおすすめポイント】
・国内株式取引手数料は、最低金額55円~上限1,070円と業界最低水準
・1日あたり取引100万円まで、手数料0円
・取引手数料の1%をポイントバック、楽天グループ共通ポイントが貯められる
・楽天グループ共通ポイントで株式投資をすることも可能

楽天証券も、安い手数料と豊富な商品数で口座数を伸ばしています。1日あたりの手数料は、現物取引と信用取引を合算できるため、すこしずつ試してみたい人におすすめです。

取引手数料の1%が、楽天グループのポイントとして還元されるため、取り引きをするたびにポイントが貯まります。外部サービスと共通のポイントは、そのまま投資に使うこともでき、手数料金額以上のお得感を得られます。

取引ごと手数料(最低金額)
現物取引 55円
信用取引 99円
1日あたり手数料(最低金額)
現物取引 0円
信用取引 0円
現物取引と信用取引の合算 合算
外国株式 手数料
取り扱い国 米国株式、中国株式、アセアン株式、海外ETF
米国株式
取引手数料
約定代金の0.495% 
最低金額 : 0米ドル 
上限金額 : 22米ドル
投資信託 手数料
申込手数料 0円

第3位 松井証券

【松井証券のおすすめポイント】
・1日の取引金額合計50万円以下なら、何をどのように購入しても手数料は0円
・一日信用取引プランは約定金額にかかわらず手数料0円
・一日信用取引プランは約定金額にかかわらず手数料0円
・外部機関から高い評価を得ているサポート体制で安心
・投資信託報酬の最大0.7%が現金で返還されるサービスを展開

老舗証券会社の松井証券では、「取引ごと」の手数料金設定がありません。現物取引でも、信用取引でも、1日に何回取り引きしても、合計50万円まで無料でおこなえます。信用取引を本格的におこないたい人は、約定金額にかかわらず0円プランもあります。

サポート体制にも定評があり、はじめてでも安心できる証券会社です。

取引ごと手数料(最低金額)
現物取引 取り扱いなし(すべて1日あたり手数料)
信用取引 0円
1日あたり手数料(最低金額)
現物取引 0円
信用取引 0円
現物取引と信用取引の合算 合算
外国株式 手数料
取り扱い国 国内株式のみ
米国株式
取引手数料
投資信託 手数料
申込手数料 0円

第4位 マネックス証券

【マネックス証券のおすすめポイント】
・定額手数料は、1日何回取引しても合計100万円までは手数料550円
・米国株式取引手数料、最低0米ドルから
・中国株式の取引手数料は最安値(約定金額×0.25%・最低45香港ドル~)
・中国株式取り扱い数No.1、香港証券取引所のほとんどの商品をカバー

マネックス証券の特長は、なんといっても米国・中国株式の充実です。米国株式手数料は最低0円からで、初回取り引きでは最大3万円のキャッシュバッグが用意されています。

また、香港証券取引所に上場している銘柄のほぼすべてを扱っており、業界最安値の手数料で取り引きできます。中国株式に興味のある人は、必見です。

取引ごと手数料(最低金額)
現物取引 110円
信用取引 99円
1日あたり手数料(最低金額)
現物取引 550円
信用取引 550円
現物取引と信用取引の合算 合算
外国株式 手数料
取り扱い国 米国・中国、海外ETF
米国株式
取引手数料
約定代金の0.45% 
最低金額 : 0米ドル 
上限金額 : 22米ドル
投資信託 手数料
申込手数料 0円

第5位 auカブコム証券

【auカブコム証券のおすすめポイント】
・最低手数料99円からで、上限金額が決まっているから大きな取引でも安心
・手数料がお得になる割引サービスが充実
・投資信託は全銘柄手数料無料、月々100円から積立投資OK
・銀行金利優遇やポイント増額など、提携銀行・カードの優遇特典が豊富

auカブコム証券では、取引ごとに手数料の上限金額が決まっているため、高額取引でも安心です。年齢に応じた割引や、MUFGグループ、au・KDDIグループの利用状況や株保有状況に応じた割引など、独自の取引手数料割引サービスをおこなっています。

すでにグループサービスを利用している人にとって、お得感が多い証券会社です。

取引ごと手数料(最低金額)
現物取引 99円
信用取引 0円
1日あたり手数料(最低金額)
現物取引 取り扱いなし
信用取引 取り扱いなし
現物取引と信用取引の合算 取り扱いなし
外国株式 手数料
取り扱い国 国内株式のみ
米国株式
取引手数料
投資信託 手数料
申込手数料 0円

第6位 岡三オンライン証券

【岡三オンライン証券のおすすめポイント】
・1日あたり手数料は、「現物取引100万円+信用取引100万円¬=200万円」まで無料
・取引ごと手数料は、上限金額が3,300円と決まっているから高額取引でも安心
・すべての投資信託購入手数料が無料
・ネット証券分析ツールは2021年オリコン顧客満足度調査で3年連続No.1を獲得

岡三オンライン証券では、1日あたり手数料が現物取引、信用取引それぞれ100万円までが無料です。また、取引ごと手数料の上限金額も決まっているため、取引額が高額になっても安心です。

分析ツールの評価が高く、オリコン顧客満足度調査などの外部機関でも1位を受賞しています。無料で使えるものばかりなので、使い勝手を試してみるのもおすすめです。

取引ごと手数料(最低金額)
現物取引 108円
信用取引 108円
1日あたり手数料(最低金額)
現物取引 0円
信用取引 0円
現物取引と信用取引の合算 別口
外国株式 手数料
取り扱い国 中国株式
米国株式
取引手数料
約定金額×1.10%
最低金額:5,500円
投資信託 手数料
申込手数料 0円

第7位 DMM株(DMM.com証券)

【DMM株のおすすめポイント】
・米国株式手数料は、約定金額にかかわらず一律0円
・信用取引手数料は300万円超0円と、取引金額が大きいほどお得
・口座開設後、1ヵ月間国内株式取引手数料が無料
・口座開設時にスマホで本人確認をすると、最短で申し込み当日から取引可能

DMM.com証券が展開しているDMM株では、「1日あたり」プランがありません。しかし、その分取引ごと手数料の値上がり幅が小さく、上限金額も880円と最安値で用意されています。そのため、一定金額を超える取り引きをおこなう場合は、業界最低水準となり大きなコスト削減効果が期待できます。

口座開設後1ヵ月間の手数料無料期間もあるため、試してみる価値はあるでしょう。

取引ごと手数料(最低金額)
現物取引 55円
信用取引 0円
1日あたり手数料(最低金額)
現物取引 取り扱いなし
信用取引 取り扱いなし
現物取引と信用取引の合算
外国株式 手数料
取り扱い国 米国株式・米国ETF
米国株式
取引手数料
一律 0円
投資信託 手数料
申込手数料 取り扱いなし

第8位 むさし証券 トレジャーネット

【むさし証券トレジャーネットのおすすめポイント】
・現物取引、信用取引、成行・指値注文、あらゆる注文を区別しない料金体系
・1日あたり手数料の「上限金額」は、最低水準の1万3,200円
・すべての取引を合算するから、ヘビーユーザーほどお得!
・信用取引の金利が安い!コストを大きく削減できる

トレジャーネットは、大正8年創業「むさし証券」のオンラインサービスです。対面証券のオンラインサービスは手数料が高くなりがちですが、トレジャーネットの取り引きごと手数料はネット証券に匹敵する安さです。1日あたりプランも上限が決まっているため安心です。

また、信用取引の金利が安く設定されており、経過日数に伴う比較で圧倒的有利を誇ります。

取引ごと手数料(最低金額)
現物取引 82円
信用取引 82円
1日あたり手数料(最低金額)
現物取引 1,320円
信用取引 1,320円
現物取引と信用取引の合算 合算
外国株式 手数料
取り扱い国 国内株式のみ
米国株式
取引手数料
投資信託 手数料
申込手数料 投資信託による

自分に合ったプランを見つけることが、運用効率アップへの道

投資をはじめたばかりで取引頻度も金額も多くないうちは、最低金額が安いところを選ぶのが正解です。しかし次第に、自分なりの投資スタイルができてくると、最安値以外の特徴が気になってくるものです。投資商品や運用期間によって証券会社を使い分けるのも、ひとつの手です。

同じ運用成果ならば、取引手数料が安いほうがトータルリターンは大きくなります。せっかく資産運用をするのならば、取引手数料を吟味してお得に運用効率アップを狙いましょう。

文・高田麗
国内保険会社で生命保険と損害保険の営業を兼務、外資保険会社では顧客相談室を経験。退職後は、保険についての「わからない。めんどうくさい」を少しでも解消できればと、保険・金融記事の執筆を開始。関心分野は、保険ジャンル全般(生保・損保・社保)や、生活に密着した金融サービスなど。2級ファイナンシャル・プランニング技能士

fuelle

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