お金をちょっと借りたいときに便利なのが「キャッシング」。いつも使っているクレジットカードにキャッシング枠があれば簡単にお金を借りられます。
「年収が高くないとキャッシング枠は作れない」というイメージを持っている方は少なくありませんが、実は一概にそうとは言い切れません。
本記事では、主にクレジットカードのキャッシング枠の審査において、年収がどのように関係しているか解説します。また、年収が低くてもお金を借りられる方法もいくつかご紹介します。
なお、一般的にキャッシングはクレジットカードに付帯している機能を指しますが、本記事では一部「カードローン」も含めて解説しています。
年収とキャッシング枠の関係
年収とキャッシング枠にはどのような関係があるのでしょうか。
年収はキャッシング枠を決める1つの要素にすぎない
年収は、「キャッシング枠の金額をいくらにするか」を判断する1つの要素です。確かに年収が多いとキャッシング枠は大きくなる傾向にありますが、年収だけでは決まりません。
一概に年収が高ければキャッシング枠が大きくなる、反対に年収が低いとキャッシング枠が小さくなるとは言い切れません。
年収以外にキャッシング枠を決める要素
キャッシング枠を決める要素は、年収以外には次のようなものがあります。
【キャッシング枠を決める要素(年収以外)】
・信用情報
・勤務先などの本人属性
「信用情報」とは過去の借り入れの履歴です。他社を含めて、借り入れや返済の状況は「信用情報機関」に記録されています。審査の際に照会され、これまできちんと返済してきたか、延滞などがないかを確認されます。
きちんと返済してきた実績があればキャッシング枠は大きくなる傾向があります。
また、勤務先など申込者本人の属性もキャッシング枠を決める要素です。安定した仕事に就いていれば返済能力もあると判断されるので、キャッシング枠が大きくなる傾向にあります。
【審査基準は秘密 「審査なし」はヤミ金】
ローン会社の審査基準は公開されていません。したがって、「こうすれば審査に通る」という方法はないので注意しましょう。
また、審査は必ず行うよう貸金業法で定められています。「審査なし」や「必ず融資します」とうたう業者は「ヤミ金」の可能性が高いので、絶対に利用しないようにしましょう。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
「総量規制」って?キャッシング枠を年収の3分の1以下にする規制
年収はキャッシング枠を決める1つの要素に過ぎませんが、キャッシングの上限に関しては年収が直接的に関係します。借り入れを年収の3分の1以下に制限する「総量規制」があるためです。
【総量規制】
年収の3分の1超の借り入れを禁止する規制
例えば年収300万円の方は、キャッシング枠は最大でも3分の1の100万円となります。この範囲内で、年収のほか信用情報や本人属性などが総合的に審査され、キャッシング枠が設定されます。
カードローンなども含め、すべての貸金業者からの借り入れが対象
総量規制が禁止する借り入れは、すべての貸金業者からの借り入れを合計して判定されます。
【総量規制が適用される借り入れの例】
・クレジットカードのキャッシング
・カードローンのキャッシング
したがって、すでに他社で借り入れがある方は、その分新たに設定されるキャッシング枠の上限は小さくなります。
総量規制の対象外の借り入れ
総量規制が適用されない借り入れもあります。例えば住宅ローンなど、総量規制がなじまない借り入れまで規制するのを防ぐためです。
以下のような借り入れは対象外となります。
【総量規制の対象外となる借り入れの例】
・住宅ローン
・自動車ローン
・借り手に一方的に有利な借り入れ(いわゆる「おまとめローン」)
・緊急に必要な医療費に充てる借り入れ
・配偶者と合わせて年収3分の1以下の借り入れ
キャッシング枠を初めて作る方法
ここから、実際にキャッシング枠を作る方法をご紹介します。
すでにクレジットカードを持っている方と、まだ持っていない方で手順が異なりますので、自分のケースに合った方法をチェックしましょう。
すでにクレジットカードを持っている方
すでにクレジットカードを持っている方は、そのクレジットカード会社に改めてキャッシング枠の付帯を申請しましょう。
キャッシング枠の付帯には審査があります。審査に通過すれば、新たにキャッシング枠を作ることができます。
【「キャッシング枠」を利用すると「ショッピング枠」を消費する】
クレジットカードのキャッシング枠は、ショッピング枠の一部が割り当てられる仕組みです。したがって、キャッシングを利用すると、その分ショッピング枠が減ってしまいます。
キャッシング枠の設定だけでは減りません。実際にキャッシングする際は注意しましょう。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
これからクレジットカードに申し込む方
これからクレジットカードに申し込む場合、キャッシング枠付帯のクレジットカードを選択するようにしましょう。
クレジットカード発行の審査とキャッシング枠の審査を同時に行えるので、カード発行時にすぐキャッシングを利用できます。
一定以上の金額を申し込む場合、「年収を証明する書類」が必要
一定の金額以上のキャッシング枠を申し込む場合、上述した「総量規制」に触れないかのチェックを受けるため、「年収を証明する書類」の提出が必要です。
【「年収を証明する書類」の提出が必要なキャッシング枠の申し込み】
・1社への申込金額が50万円を超える
・他社を含めた申込金額が100万円を超える
上記のほか、カード会社の指示に応じて「年収を証明する書類」を提出しましょう。以下のような書類が該当します。
【「年収を証明する書類」の例】
・源泉徴収票
・給与明細
・確定申告書
キャッシングするなら「カードローン」も選択肢に
お金を借りたいなら「カードローン」も選択肢の一つです。クレジットカードはお買い物にも使える一方、カードローンはお金を借りる専用のサービスです。
審査の内容は、おおむねクレジットカードのキャッシング枠を申し込む場合と同様です。お金を借りたいと思うなら、新たにキャッシング枠を作る以外に、カードローンを検討してもいいでしょう。
【審査が早い消費者金融系カードローン】
カードローンは審査が早い傾向があります。中でも消費者金融会社が運営する「消費者金融系カードローン」は、申し込みの日に借りられる「即日融資」に対応しているケースも。「できるだけ早く借りたい」という方におすすめです。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
キャッシング枠を増やしたい!「増枠」する方法
すでに持っているキャッシング枠を増やすことも可能です。キャッシング枠を増やすことを「増枠」といいます。増枠の方法を確認しましょう。
カード会社に増枠を申請 改めて審査
キャッシング枠を増枠したい場合、クレジットカード会社に申し込みましょう。改めて審査を受ける必要がありますが、審査に通過すると増枠できます。
なおカードローンの場合も、増枠したい場合はカードローン会社に申し込み、改めて審査を受ける必要があります。
増枠の注意点
増枠で審査を受ける場合、以下の注意点に気をつけましょう。
【増枠の注意点】
・審査に通らない可能性がある
・審査の結果、キャッシング枠の減少や利用停止の可能性もある
改めて審査を受けるので、審査結果によってはキャッシング枠が減ってしまう可能性も。悪ければ利用停止になることもあります。
絶対に増枠できるわけではない点や、逆にキャッシング枠が減ってしまう可能性がある点には注意しましょう。
年収が低くてもお金を借りる方法 総量規制に引っかかる方必見!
扶養の関係などで、年収をあえて抑えている方などは「総量規制」に引っかかりやすく、なかなかお金を借りられないケースがあるでしょう。
年収が低いためにお金を借りられない方のため、「年収が低くてもお金を借りられる方法」をご紹介します。
専業主婦の方:「配偶者貸付」で夫婦の年収でカードを申し込む
上述しましたが、「配偶者と合わせて年収3分の1以下の借り入れ」は総量規制の対象外です。これを利用したものが「配偶者貸付」で、一部のカード会社が提供しています。
【配偶者貸付を提供しているカード会社の例】
・SMBCファイナンスサービス(クレジットカード)
・ベルーナノーティス(カードローン)
夫婦の合計年収の3分の1を超える借り入れはできませんが、専業主婦の方が本人の収入だけで申し込むよりも借りられる金額は大きくなりやすいでしょう。
ブランド品などを持っている方:質屋を利用する
「質屋」もお金を借りられるサービスです。品物を担保に入れ、お金を借ります。期限内に返済すれば品物が返却され、返済しないと品物が没収されます(返済義務はなくなります)。
クレジットカードやカードローンなど、一般的なお金を借りるサービスでは申込者本人を審査します。一方、質屋は担保に入れる品物を査定して貸し出す金額を決定するため、申込者本人の年収や属性は審査されません。
担保に入れる品物が必要ですが、総量規制の年収要件に引っかかる方は質屋の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
【質屋の金利は高い可能性】
質屋で借りるお金にも金利が発生します。「質料(しちりょう)」といいますが、この上限は年率で109.5%です。クレジットカードなどのキャッシングは年間20%が上限なので、質屋の金利の高さが分かります。
質料は上限の範囲内で決まるので、すべての借り入れが一概に高金利なわけではありません。質屋に限りませんが、利用の際は条件をしっかり確認し、慎重に判断しましょう。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
キャッシング枠は年収だけで決まらない
年収は、キャッシング枠を決める1つの要素ではありますが、年収だけではキャッシング枠は決まりません。
安定した仕事に就いている方や、これまできちんと返済してきた実績がある方は、年収が低くてもキャッシング枠が大きくなる傾向があります。
年収が低くてもキャッシングの審査に通る可能性はあります。もちろん借りすぎには注意が必要ですが、申し込み前からあきらめている方は、一度申し込んでみてはいかがでしょうか。
文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。
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