高金利通貨の代表といえば、トルコリラだろう。トルコの政策金利は非常に高いため「スワップポイント」が魅力だ。一方で、値動きが激しい通貨としても知られている。トルコリラのFX取引でおすすめのFX会社を5つ選んで、比較してみよう。
1,トルコリラの4つの特徴
1,高金利通貨の代表
トルコは若い人が多いのが特徴で、今後トルコでは労働力人口が増加するだろう。地理的にはヨーロッパやアジア、中東に隣接する新興国だ。
トルコは政策金利が高いが、これはトルコリラの大きな魅力といえるだろう。しかし政策金利が高いということは、インフレ率が高いことを意味する。トルコは過去にハイパーインフレを経験している。通貨切り下げを行ったものの、現在でもインフレ率は高水準を維持している。つまり政策金利を高く設定することで、物価が上昇し過ぎないような政策が取られているのだ。
近年は米国の金融緩和縮小観測が影響し、トルコのような新興国から投資資金が引き上げられ、トルコリラが大幅に下落した。その後も利下げが行われているが、現在も政策金利は高水準だ。
FX でトルコリラを取引する投資家はトルコリラの買いポジションを建て、スワップポイントを狙って長期的に運用するケースが多い。
2,地政学的リスクに強く影響される
地政学的リスクとは、ある地域の政治や軍事、社会に関する緊張の高まりが、その地域だけでなく世界全体の先行きをも不透明にするリスクのことだ。その代表が戦争やテロである。
戦争やテロが起きた国や地域では株式や通貨が売られやすく、それらに対する資金流入が滞る。トルコは中東に近いため、地政学的リスクを強く意識されやすい国といえるだろう。
近年トルコでは反政府デモがたびたび起こるなど、国内情勢が不安定な状態にある。また隣国には内戦中のシリアがあるため、シリアの内戦がトルコへ飛び火する可能性もある。
トルコの地政学リスクは、現在も解消されていない。トルコリラの取引をする際は、中東情勢のニュースなど頻繁に確認する必要があるだろう。
3,GDP成長率が高く経済成長が著しい新興国通貨
トルコの特徴として、GDP成長率が高く、経済成長が著しいことが挙げられる。トルコは2001年に通貨危機に見舞われたが、IMFの支援のもと経済の安定化が進められた。2004年にはGDP成長率が10%台まで回復し、その後は経済成長が続いている。
新興国の通貨は、円やドルといった先進国の通貨と比べて流通量が少なく、市場規模が小さい。したがって、少数の大口投資家がリスク回避のために投資資金を引き上げると、トルコリラの相場は大きく変動する可能性がある。トルコリラの取引には、このようなリスクがあることを認識しておきたい。
トルコリラなどの新興国通貨は、さまざまなリスクをはらんでいることを覚えておこう。
4,リスクオフによる下落がとどまる可能性が高い
高金利通貨であるトルコリラはリスク資産といえるが、今後トルコリラの下落リスクはどうなるのだろうか。トルコリラは2000年以降、2001年、2008年、2018年に90日MA(移動平均線)を30%以上も下回る大暴落を経験している。
大暴落の後、トルコリラ/円の短期的な下落は限定的だった。特に2008年の大暴落の後は、2018年の大暴落まで、90日MAからのマイナス乖離率は15%以下をキープしていた。このデータからも、トルコリラがリスクオフによって下落する動きは限定的になる可能性が高い。
2020年12月22日現在は13.49円と、14円を割り込んでいる。ちなみに2020年11月は12円台前半まで下げたが、その後利上げへの期待から反発した。ただし、バイデン氏が大統領に就任するとトルコへの制裁が一層厳しくなることが予想されるため、楽観視はできない。
とはいえ過去データを見れば、トルコリラ/円が16円を割る可能性は低いと思われる。
2,トルコリラを取り扱うFX会社15社のスプレッドを比較
トルコリラのFX取引するにあたって、FX会社ごとのスプレッドは非常に重要な比較ポイントといえる。スプレッドが広いFX会社を選ぶと、利益の目減りが大きくなってしまう。
スプレッドは通貨ペアによって異なり、FX会社によっても変わる。できるだけ利益を残すためには、スプレッドが狭いFX会社を選ぶことが大切だ。そこで、トルコリラを取り扱うFX会社12社の2020年12月14日時点(一部を除く)のスプレッドを表にまとめたので、参考にしてほしい。
FX会社 | スプレッド |
---|---|
外為どっとコム | ー(原則固定スプレッドの適用対象外) (2022年3月時点) |
FXプライムbyGMO | 4.8銭 |
ヒロセ通商 | 1.6銭 |
みんなのFX | 1.6銭 |
サクソバンク証券 | 1.5銭 |
JFX | 1.6銭 |
楽天FX | 6.8銭 |
インヴァスト証券 | 1.5銭 |
外為オンライン | 6銭 |
IG証券 | 1.7銭 |
SBI FXトレード | 2.8銭 |
GMOクリック証券 | 1.7銭 |
マネーパートナーズ | 1.5銭 |
セントラル短資FX | 1.7銭 |
トルコリラを取引する上で重要なポイントが2つある。
1つ目は、前述のとおり「スプレッドが狭いFX会社を選ぶこと」だ。スプレッドが狭ければ狭いほど、取引におけるコストを削減できる。スプレッドが狭い会社を選べば、利益を最大化することができるのだ。
2つ目は「スプレッドが原則固定のFX会社を選ぶ」こと。スプレッドには「変動制」と「固定制」があり、変動制ではスプレッドが広がることがある。始めは狭かったスプレッドがいつの間にか広がっており、想定外のコストがかかってしまうということもあるだろう。トルコリラを取引するFX会社を選ぶ際は、スプレッドが原則固定のFX会社を選ぶことをおすすめする。
これらを踏まえると、スプレッドで選ぶなら「ヒロセ通商」」と「みんなのFX」がおすすめだ。
3,トルコリラを取り扱うFX会社19社のスワップを比較
トルコリラをFX取引するにあたっては、「スワップ」も重要な比較ポイントといえる。トルコリラを取引できる19社の、2020年12月14日時点のスワップ金利をまとめたのが以下の表だ。
FX会社 | スワップ |
---|---|
SBI FXトレード | 28 円(買い)・-33円 (売り) |
外為どっとコム | 29 円(買い)・-59円 (売り) |
外貨ex byGMO | 28円(買い)・-43円 (売り) |
GMOクリック証券 | 28円(買い)・-31円 (売り) |
LIGHT FX | 30円(買い)・-40円 (売り) |
マネーパートナーズ | 2円(買い)・-99円 (売り) ※1, |
ヒロセ通商 | 25円(買い)・-55円 (売り) |
みんなのFX | 30円(買い)・-30円 (売り) |
サクソバンク証券 | 40円(買い)・-56円 (売り) |
外為どっとコム | 28円(買い)・-58円 (売り) |
JFX | 25円(買い)・-55円 (売り) |
楽天FX | 0円(買い)・-30円 (売り) ※1, |
インヴァスト証券 | 20円(買い)・-45円 (売り) |
セントラル短資FX | 1円(買い)・-41円 (売り) ※1, |
外為オンライン | 30円(買い)・-130円 (売り) |
IG証券 | 40円(買い)・-60円 (売り) |
MONEY SQUARE | 4円(買い)・-54円 (売り) ※1, |
スワップポイントについてチェックすべきポイントは2つある。
1つ目は、スワップポイントの高さだ。特にトルコリラのような高金利通貨を取引する場合は、スワップポイントの高さを見なければならない。FX会社は各国の政策金利をもとに、それぞれが独自にスワップポイントを決めている。そのため上記の表のように、数十円以上の差がつくこともあるのだ。1日で数十円の差は、年間では大きな差になる。
またスワップポイントは毎日変動するため、平均値も確認したい。スワップポイント狙いの投資は長期運用が前提なので、少なくとも1〜3ヵ月の平均値は把握しておこう。
2つ目は、スワップポイントの取扱いだ。スワップポイントの出金に関するルールは各社で異なる。大きく分けると、「ポジションを決済しなくてもスワップポイントを引き出せる」「スワップポイントを現金化せず再投資に回す」のどちらかだ。
しかし、みんなのFXではどちらも選択できる。長期(再投資)と短期(受け取り)のどちらにも対応しているのは、大きなメリットといえるだろう。。
これらを踏まえておすすめしたいのは、「みんなのFX」だ。2019年みんかぶFX年間ランキングのスワップ部門で1位に輝き、業界トップクラスのスワップポイントを提供している。
同じ通貨ペアでも、FX会社によってスワップポイントは大きく異なる。スワップポイントが高いFX会社を選んで、高利回りを実現しよう。
4,トルコリラのFX取引でおすすめのFX会社TOP5
ここからは、トルコリラの取引でおすすめのFX会社を紹介する。総合的に評価しているので、スワップポイントやスプレッドだけでなく、安全性や利便性も含めて参考にしてもらいたい。
1,みんなのFX
みんなのFXはスワップポイントが高く、おすすめのFX会社の一つだ。スプレッドも狭いので、トルコリラ投資に欠かせない要素を満たしている。
みんなのFXではスワップポイントを引き出すことも、再投資に回すこともが可能だ。自動売買やバイナリーオプション取引もできるので、FX以外の投資にも興味がある人も検討してほしい。
2,GMOクリック証券
GMOクリック証券も、安定したスワップポイントが特徴のFX会社である。業界大手のGMOグループが運営しており、高いセキュリティ性能も魅力だ。
GMOクリック証券では、トルコリラや南アフリカランドといった高金利通貨のスワップポイントを高く設定している。スワップポイントでFX会社を決めるトレーダーの多くは、中長期トレーダーだろう。
FX初心者がトルコリラの取引を始める場合も、GMOクリック証券はおすすめできるFX会社である。
3,LIGHT FX
LIGHT FXは、高いスワップポイントが特徴のFX会社だ。高いスワップポイントを継続して提供しており、トルコリラ投資で利益を出しやすいFX会社といえるだろう。
トルコリラだけでなく、メキシコペソや南アフリカランドなどのスワップポイントも高いため、他の通貨への投資も考えている人にも適している。
約定力の高さもLIGHT FXの魅力だ。約定力は、注文した金額で取引が行われるかどうかを測る指標だ。約定力が低いFX会社を選ぶと、トレーダーにとっては不利な取引が増えてしまう。
LIGHT FXは99.9%という業界トップクラスの約定力を誇るので、安心してトルコリラを取引できるFX会社だ。
4,ヒロセ通商
ヒロセ通商のトルコリラのスプレッドは1.6銭と、業界最狭水準。高金利通貨を含めた全50種類の通貨ペアを取引できるのも特徴だ。
高金利通貨のスワップポイントも高く、スワップ重視で投資する人にもおすすめできる。ヒロセ通商では、ポジションを決済しなくてもスワップポイントだけを引き出せる。手続きは簡単で、取引ツールから「スワップ振替」の項目を選択し、該当するポジションを選択して振替金額を入力するだけ。スマホアプリでもスワップ振替が可能だ。
5,FXプライムbyGMO
「FXプライムbyGMO」は1,000通貨単位で取引できるので、資金が少ない初心者でも始めやすいだろう。他の会社と比べてスワップポイントが高いため、トルコリラを長期運用する人にもおすすめできる。スプレッドが予測しづらいという難点があるが約定力は高く、相場が急変しても注文が通りやすいため安心して取引できるだろう。
5,リスクはあるもののトルコリラは魅力的な通貨
今回はトルコリラの特徴やスプレッド、スワップポイント、おすすめのFX会社について解説した。トルコリラは政策金利が非常に高く、保有しているだけ大きな利益を得られる可能性がある通貨だ。
その分リスクがあることを忘れてはならないが、それでもトルコリラは非常に魅力的な通貨といえるだろう。
数あるFX会社の中からトルコリラ投資に最適なFX会社を見つけて、まずは取引を始めてみてはいかがだろうか。
監修者・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
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