クレジットカードの利用において絶対にしてはいけないのが“クレジットカードの現金化”です。これはクレジットカードの利用枠のうち「ショッピング枠」を利用して現金を手にする方法のことで、違法性の高い行為とされています。

本記事では“クレジットカードの現金化”がどんなものか、また「キャッシング枠」がない場合の、お金を借りる正しい方法について解説します。

クレジットカードの現金化はNG!その手口とは?

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(画像=karinrin/stock.adobe.com)

クレジットカードの現金化とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

クレジットカードの現金化=ショッピング枠の現金化

クレジットカードには利用枠(限度額)が設定されており、一般的に2種類の利用枠があります。それぞれ決められた金額の範囲内で、買い物やキャッシングを利用することができます。

【クレジットカードの利用枠は2種類】
ショッピング枠:買い物などの支払いに使える上限額
キャッシング枠:現金を引き出すことのできる(借りられる)上限額

クレジットカードの現金化とは、このうち「ショッピング枠」を利用して現金を得る手口のことを指します。当然ですが「キャッシング枠」で現金を引き出すことは、まったく問題ありません。

クレジットカード現金化の具体的な手口

では、どのようにして「ショッピング枠」を現金化するのでしょうか。主な手口は以下の2つです。

・買い取り式
換金性の高い商品をショッピング枠で購入してから売却する方法です。売却代金が手元に残ることで“現金化”します。

・キャッシュバック式
“クレジットカード現金化”を謳う業者から品物を高額で購入し、購入特典としてキャッシュバックを受ける方法です。

キャッシュバック式は違法な業者を介して行われるため、より危険度の高い方法といえるでしょう。

クレジットカード現金化をしてはいけない理由

クレジットカードの現金化は、単に違法性が高いからNGというだけではありません。具体的には次の3つの理由が挙げられます。

【クレジットカードの現金化をしてはいけない3つの理由】
〇クレジットカード会社との規約違反
〇詐欺罪に問われるリスク
〇犯罪に巻き込まれる可能性

クレジットカード会社との規約違反 利用停止&一括返済の可能性

多くのクレジットカード会社は、クレジットカードの現金化を規約で禁止しています。現金化の事実がカード会社に伝わると規約違反に該当し、カードの利用停止などの処置が考えられます。

また、退会処分などの処置が行われる場合、カード利用残高の一括返済が求められる可能性があります。

詐欺罪に問われるリスク

クレジットカード現金化が不正な方法であることを知りながら実行した場合、詐欺罪に問われる可能性があります。

【詐欺罪(刑法246条)】
1.人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする

重い処分がありますので、絶対に現金化しないようにしましょう。

現金化業者は「ヤミ金」 犯罪に巻き込まれる可能性も

キャッシュバック式のように業者を介する場合はさらに危険です。現金化業者は、いわゆる“ヤミ金”である可能性が高く、犯罪に巻き込まれる可能性があります。

ここまでご説明した通り、クレジットカードの現金化は不正な方法ですので、わざわざリスクの高いクレジットカードの現金化を謳う業者は、悪質な業者である可能性が高いと言わざるを得ません。

また、ヤミ金を相手にした取引が無事終わると考えてはいけません。現金が振り込まれず高額な支払いだけが残る可能性や、クレジットカードの情報が盗まれるといった被害が考えられます。

【お金を借りたいなら、キャッシング枠の利用が正しい!】
クレジットカードでお金を引き出したい(借りたい)場合は「キャッシング枠」を利用する“キャッシング”が正式な方法です。
「キャッシング枠」は、クレジットカードの利用枠のうち「ショッピング枠」の一部を設定する仕組みで、上限額の範囲内でATMなどから現金を引き出すことができます。「キャッシング枠」を利用するとその分「ショッピング枠」が減り、返済すると復活する仕組みです。現金が必要な場合には、このキャッシングを利用するようにしましょう。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

キャッシング枠がない場合にお金を借りる方法

クレジットカードでお金を引き出したい(借りたい)場合は、キャッシングが正式な方法ですが、クレジットカードに「キャッシング枠」が付帯されていないケースもあります。

キャッシング枠がない場合は、どのようにしてお金を借りるといいでしょうか。

改めてキャッシング枠の審査を受ける

手元のクレジットカードに「キャッシング枠」が付帯されていない場合、改めてカード会社に申し込み、審査に通ればキャッシング枠が付帯されます。

カードローンに申し込み 

クレジットカードにこだわらず、「カードローン」を利用するのも1つです。

カードローンとは、カード会社などが提供している個人向け融資サービスのことで、クレジットカードのキャッシングと同じようにATMなどから現金を引き出したり、ネットで自分の口座へ振り込むなどしてお金を借りることができます。

カードローンはカード会社や消費者金融会社、金融機関などが提供しているもので、急ぎの場合であれば消費者金融会社のカードローンがよいでしょう。審査時間が短い特徴があるので、申し込みの日にお金を借りられる可能性もあります。

質屋を利用すれば、審査不要で借りられる

審査に不安がある場合は、質屋の利用を検討してもいいでしょう。質屋は品物を担保として差し入れ、お金を借りられる仕組みです。

クレジットカードのキャッシングやカードローンは、申込者本人の状況によってお金を借りられるか、いくら借りられるかなどが審査されます。これに対し、質屋の場合は担保に差し入れる品物の査定によって判定されるので、申込者本人の審査はありません。

クレジットカード現金化を考えてしまう方へ 多重債務から抜け出す方法

クレジットカードの現金化は決して許されない行為ですが、多重債務に陥り、普段の生活がどうしても苦しいという方には魅力的に映ってしまうかもしれません。

上述しましたが、クレジットカードの現金化は、むしろ状況が悪化する可能性が高い誤った方法です。ここからは多重債務から抜け出す、正しい方法を解説します。

「おまとめローン」 一方的に有利な返済専用ローン

多くの金融機関では、複数の借入を1つにまとめる「おまとめローン」といった商品を提供しています。

これは、新しく融資を受けて他社からの借入を全て清算=一括返済することで、借入先を新しい1社にまとめる仕組みです。

一見、「借金を借金で返済する」不合理な方法に見えますが、おまとめローンには貸金業法上の条件を満たす以下のような特徴があり、多重債務から抜け出しやすい環境を作れます。

【おまとめローンの特徴(一部)】
〇金利が借り換え前を上回らない
〇1ヵ月の返済額が、借り換え前を上回らない
〇担保や保証などの条件が、借り換え前より厳しくならない
〇新たな借り入れはできず、返済専用

「生活困窮者自立支援制度」 国の支援制度

「生活困窮者自立支援制度」とは、厚生労働省が実施する支援制度です。地域に設けられた相談窓口で相談すると、家計の立て直しに関するアドバイスを受けられます。

ほかにも国はさまざまな支援制度を設けています。どうしても生活が苦しい場合は、一度相談に行くことをおすすめします。

「債務整理」 法的に借金の減額や免除の手続き

「債務整理」とは、法的な手続きを行い、借金の減額や免除を受ける手続きです。生活の再建を図る、最後の手段といえます。

債務整理は高い専門知識が求められます。弁護士や司法書士など、法律の専門家に相談し、慎重に判断しましょう。

【クレジットカード現金化は債務整理できなくなる 絶対NG】
クレジットカードの現金化で負った借金は、債務整理の対象外となる可能性があります。破産法には債務整理の対象外とするケースが定められており、クレジットカードの現金化は抵触する可能性があるためです。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

繰り返しますが、クレジットカードの現金化は絶対にしないようにしましょう。

クレジットカードの現金化はNG 借りるならキャッシング枠で 

クレジットカードの現金化は違法性の高い行為です。現金が必要な場合は、キャッシング枠を利用するか、カードローンなど別の方法を選択しましょう。

また、多重債務に陥っている場合は、おまとめローンや国の制度を利用し、少しずつでも生活を改善させていきましょう。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。

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