「ゼクシィ結婚トレンド調査2020」によると、挙式と披露宴・ウェディングパーティの全国平均は362.3万円となりました。「そこまで多額の資金は出せない……でも一生に一度の結婚式、お金を理由に妥協したくない!」という方は、「ブライダルローン」を利用すれば理想の結婚式を挙げられるかもしれません。
これから結婚する方の選択肢を増やすため、本記事ではブライダルローンの概要やメリット、また上手な使い方をご紹介します。
ブライダルローンとは
まずはブライダルローンの概要をご紹介します。
結婚にかかる費用を目的としたローン
ブライダルローンとは、結婚費用に充てることを目的とした「目的ローン」の1つです。
目的ローンとは、使い道を限定したローンの総称で、限定されていないものと比較し金利が低い特徴があります。
ブライダルローンの場合、結婚に関連するさまざまな費用に充てることができます。
【ブライダルローンで支払える主な費用】
〇挙式・披露宴費用
〇結婚指輪
〇婚礼衣装
〇新婚旅行
〇新居の契約金や家具・家電の購入費
【使い道が限定されていない「カードローン」】
ブライダルローンのような目的ローンは、使い道を限定する代わりに金利が低い特徴があります。
一方、使い道が限定されていないローンもあり、代表的なものが「カードローン」です。使い道が限定されていないので使い勝手がよい反面、比較的金利が高く設定されています。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
ブライダルローンの金利・限度額
ブライダルローンの金利は金融機関によってさまざまですが、概ね5~13%となるようです。
借りられる限度額も、300万円から800万円まで、金融機関によって幅があります。自分が借りたい金額に合わせて金融機関を選択しましょう。
ブライダルローンのメリット・デメリット
ここで、ブライダルローンのメリット・デメリットを確認しましょう。
ブライダルローンのメリット
ブライダルローンのメリットは主に以下3つがあります。
【ブライダルローン 3つのメリット】
〇自己資金だけではできない理想の結婚式が挙げられる
〇ご祝儀までの一時的な立て替えに使える
〇金利が比較的低い
✔︎自己資金だけではできない理想の結婚式が挙げられる
ブライダルローンのメリットの1つが、自分の理想の結婚式を挙げられる点です。
結婚式にはそもそも大きなお金が必要で、理想の結婚式となるとなおさらでしょう。自己資金だけでは実現できないケースもきっとあると思います。
ブライダルローンを利用すれば、自分の理想の結婚式のため、少なくとも費用の面はある程度クリアできます。計画性は必要ですが、自分の人生を充実させられる点がブライダルローンの大きなメリットです。
✔︎ご祝儀までの一時的な立て替えに使える
結婚式費用をご祝儀でまかなおうと考えている方は少なくないでしょう。ですが、ご祝儀が支払われるのは式の当日です。費用をまかなえるだけのご祝儀があっても、当日以降でないと式の支払いには使えません。
式場への支払いは先払いであることが多いため、先払いの費用が大きい場合、資金繰りに困ってしまうケースが考えられます。
ブライダルローンなら、ローンで先払いの費用を支払い、ご祝儀でブライダルローンを返済するという使い方が可能です。
✔︎金利が比較的低い
上述しましたが、ブライダルローンは使い道が限定されている分、カードローンなどと比較し金利が低く設定されている点もメリットです。
ブライダルローンのデメリット
ブライダルローンのデメリットは主に以下の2つです。
【ブライダルローン 2つのデメリット】
〇使い道が限定される
〇提出書類が多い
✔︎使い道が限定される
ブライダルローンの使い道は結婚費用に限定されています。限定されていないローンと比較し、使い勝手がよくない点はデメリットといえるでしょう。
✔︎提出書類が多い
ブライダルローンは、その審査においても、きちんと結婚式費用に充てられるか確認されます。そのため、使い道が確認できる書類の提出が求められます。
使い道が限定されていないローンより提出書類が多いため、借りる際の手続きがやや煩雑になることがあります。
ブライダルローンでお金を借りるには
ブライダルローンでお金を借りるにはどうすればよいのでしょうか。金融機関によって異なりますが、ここでは一般的な流れをご紹介します。
必要書類
一般的に、ブライダルローンには以下の書類提出が必要です。
【ブライダルローンに必要な書類】
〇本人確認書類:運転免許証など
〇収入証明書類:源泉徴収票など
〇使い道が確認できる書類:式場の見積書など
提出できる具体的な書類は金融機関HPなどで確認しましょう。
申し込み手順
ブライダルローンは、一般的に以下のように申し込みます。
【ブライダルローン 申し込み手順】
手順1:金融機関に申し込み(仮審査)
手順2:結婚式費用の見積書など、申し込みに必要な書類を準備
手順3:審査
手順4:借り入れ
審査基準・審査にかかる日数は?
ローンの審査内容は公開されていないため、確実に審査に通るという基準は断言できません。しかし、一般的には申込者の返済能力が審査されます。
したがって、以下のポイントが審査で重視されると考えられます。
【審査で重視されるポイント】
〇安定した収入があるかどうか
〇信用情報(他の借り入れ状況や過去の返済状況)
審査にかかる日数も金融機関ごとに異なります。書類などの準備期間を含めると、申し込みから借り入れまで数週間かかるケースもあります。余裕をもって申し込みましょう。
金融機関のブライダルローン3選
ブライダルローンは式場が提携している場合も多く、プランナーさんからそちらを提案されるケースがあります。
もちろん式場から提案されたブライダルローンを利用してもいいですが、せっかくなら比較検討し、より有利なものを選択してみてはいかがでしょうか。
比較の参考になるよう、ここでは銀行が提供するブライダルローンを3つご紹介します。
楽天銀行 ブライダルローン
金利 | 7.0% (固定金利) |
---|---|
借りられる限度額 | 10~300万円 |
借り入れ期間 | 最長8年4ヵ月 |
「楽天銀行」のブライダルローンの金利は7.0%です。同行のカードローンは上限金利14.5%なので、比較的低い金利でお金を借りられます。
借りられる金額の上限は300万円で、借りる金額は10万円以上1万円単位で調整可能です。
ちばぎんブライダルローン
金利 | 5.0~5.2% (変動金利) |
---|---|
借りられる限度額 | 10~500万円 |
借り入れ期間 | 6ヵ月以上10年以内 |
「千葉銀行」のブライダルローンは金利5.0~5.2%で借りられますが、変動金利です。借りた後に金利が変動する可能性がある点に注意しましょう。
スルガ銀行リクルート支店 結婚式費用立替えプラン
金利 | 8.8%~12.8% (固定金利) |
---|---|
借りられる限度額 | 10~800万円 |
借り入れ期間 | 6ヵ月以上10年以内 |
「スルガ銀行リクルート支店」の結婚式費用立替えプランの金利は8.8~12.8%と幅を持たせて表示されていますが、審査によって決定されます。
最大800万円まで借りられ、3つの金融機関の中で最も大きな限度額が設定されています。
また、最大3ヵ月間の「無利息・無返済期間」がある点も特徴的です。最初の返済は、借りた日から2ヵ月経過後に初めて到来する月の第1営業日です。この間にご祝儀などで一括返済すれば利息の負担がありません。一括返済の手数料も無料です。
ブライダルローンでいくら借りる?返済は?
ブライダルローンにはメリットがありますが、やはり借りすぎには注意が必要です。また返済計画も大切です。
計画的な利用のため、ブライダルローンでいくら借りればよいか、またどう返済すればよいか、考え方をご紹介します。
借り入れ金額の決め方
前提として、ブライダルローンで借りる金額は“必要最低限”にとどめておくべきです。
これは、結婚式を妥協するというわけではありません。以下のように考えましょう。
【ブライダルローン 借り入れ金額の決め方】
1:理想的な結婚式のために必要な金額を洗い出す
2:そのほか、新婚旅行や新生活費用など、結婚にまつわる全体の“費用”を洗い出す
3:ご祝儀や親族からの援助など、結婚にまつわる“収入”を洗い出す
4:3から1と2を引き、結婚にまつわる“純支出”を計算
5:4で算出した“純支出”に対し、自己資金で支払えない分を借りる
借りる金額を抑えるために、結婚式を妥協するようでは本末転倒です。まずは、自分が実現させたい結婚にまつわる費用をしっかり計算しましょう。
そこから、ご祝儀など、結婚で見込める収入を差し引きます。これで結婚に関する純支出が計算できます。
純支出に対して足りない金額を借りるのが基本ですが、自己資金の出しすぎにも注意しましょう。当面の生活費を確保していないと、せっかくの新生活が台無しになってしまいます。
返済は無理なく最短で
ブライダルローンは「できるだけ早く返済する」ことが基本です。早く返すほど利息負担が減るためです。月の返済額を大きくすると早く返済できます。
参考に、ブライダルローンの返済をシミュレーションしてみましょう。上述した楽天銀行のブライダルローン(金利7.0%)で100万円借りると仮定し、月の返済額別にどのような返済になるか、以下にまとめました。
【楽天銀行ブライダルローン(金利7%) 月の返済額別シミュレーション】
月の返済額 | |||
2万円 | 2.5万円 | 3万円 | |
借り入れ金額 | 100万円 | 100万円 | 100万円 |
返済期間 | 5年(60回) | 3年10ヵ月(46回) | 3年2ヵ月(38回) |
返済総額 | 119万4,341円 | 114万9,937円 | 112万2,732円 |
利息負担 | 19万4,341円 | 14万9,937円 | 12万2,732円 |
月の返済額を大きくするほど返済期間が短くなり、利息の負担も減っています。ほかに、ボーナス返済などを活用することでも返済期間が短くなります。
早く返済するほど利息の負担は減りますが、無理のない範囲にとどめておくことが大切です。返済額があまりに大きいと生活を圧迫してしまいます。
「無理のない範囲で、できるだけ早く」が返済のコツです。家計と相談しながら、事前に計画を立てるとよいでしょう。
ブライダルローンを借りる時は慎重に
結婚は人生の一大イベントですが、金額の面で不安に思う方は少なくないでしょう。そんな時、ブライダルローンは心強い味方になってくれるはずです。
ただし、利用には計画性が大切です。借りる金額や返済などをしっかり検討し、慎重に利用しましょう。
文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。
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