投資信託は少額から簡単に分散投資でき、投資初心者でも利用しやすい金融商品だ。投資信託を始めるならネット証券がおすすめである。中でもSBI証券は豊富な取り扱い銘柄数と安い手数料で人気のネット証券最大手だ。SBI証券での投資信託の始め方や注意点、おすすめの投資信託を紹介していく。
1,SBI証券で投資信託を運用するメリット
ネット証券最大手のSBI証券は、豊富な取扱商品、低い手数料、豊富なツールなどが特徴だ。SBI証券で投資信託を運用する場合の基本情報は次のとおりだ(※データは2021年3月15日時点)。
SBI証券 投資信託 基本情報 | |
取扱数 | 2,662本 |
買付手数料 | 無料(インターネットコース) |
売却手数料 | 投資信託の銘柄による |
最低投資金額 | 100円 |
投信積立頻度 | 毎日、毎週、毎月、複数日、隔月 |
スマートフォン用ツール | ・投資信託向けスマホサイト ・投信積立用アプリ 「かんたん積立アプリ 」 |
ポイント制度 | Tポイントが貯まり、買い付けに使える |
この基本情報を元に、SBI証券で投資信託を運用するメリットを紹介しよう。
メリット1,投資信託の取扱数が主要ネット証券トップレベル
SBI証券は、主要ネット証券の中で投資信託の取扱数がトップレベルである。
投資信託の買付手数料は、インターネットコースでは原則として無料だ。 下の表は、主要ネット証券の投資信託取扱本数とノーロード(買付手数料無料)本数を比較したものである。
ネット証券 | 投資信託 取扱本数 |
投資信託 ノーロード本数 |
SBI証券 | 2,662本 | 2,662本 (インターネットコース) |
楽天証券 | 2,702本 | 2,702本 |
松井証券 | 1,411本 | 1,411本 |
auカブコム証券 | 1,351本 | 1,351本 |
マネックス証券 | 1,181本 | 1,181本 |
岡三オンライン証券 | 561本 | 561本 |
このように、主要ネット証券の投資信託の取扱本数には差があるが、SBI証券がもっとも多い。これらのネット証券の投資信託は全てノーロードであり、買付手数料は無料だ。
メリット2,最低投資金額100円で積立は5つの頻度から選べる
SBI証券は投資信託を100円から購入でき、投資初心者でも気軽に投資を始めることができる。また、投資信託の積立頻度を「毎月」「毎週」「毎日」「複数日」「隔月」の5つから選択でき、様々な投資スタイルに対応可能だ。
主要ネット証券の投資信託の最低投資金額と投信積立の買付頻度は次のとおりだ。
証券会社 | 最低投資金額 | 投信積立 買付頻度 |
SBI証券 | 100円 | 毎月、毎週、毎日、複数日、隔月 |
楽天証券 | 100円 | 毎月、毎日(つみたてNISAの場合) |
松井証券 | 100円 | 毎月、毎週、毎日 |
auカブコム証券 | 100円 | 毎月 |
マネックス証券 | 100円 | 毎月、毎日 |
岡三オンライン証券 | 100円 | 毎月 |
これらのネット証券は全て100円からの投資信託の買付に対応している。積立の頻度の選択肢は、このなかではSBI証券が最も豊富だ。
メリット3,スマホだけでPCと同様に投資信託を取引できる
SBI証券で投資信託の取引に利用できるツールには、「投資信託向けスマートフォンサイト」と「かんたん積立アプリ」の2つがある
投資信託向けスマートフォンサイトは、投資信託の検索、ランキングの参照、取引などをスマートフォンでできるスマホサイトだ。サイトのトップ画面では、保有資産や注文状況を簡単に確認できる。
このスマホサイトでは、検索機能やランキング、個別銘柄の情報はスマートフォンに最適化した見やすいレイアウトになっている。取引もシンプルな注文画面で簡単に注文を出せる。
かんたん積立アプリは、投資信託の積立に特化したアプリであり、つみたてNISAにも対応している。ホーム画面では投資信託の損益や残高の推移を確認できる。
アプリの「積立スタイル診断」を利用すれば、おすすめのファンドを簡単に診断でき、初心者でも投信積立をはじめやすい。また、ウェブサイトで設定した投信積立もアプリで一元管理できる。
このように、投資信託のスポット購入ではスマホサイトを、積立ではアプリを利用すれば、PCと同様に取引や管理が可能だ。
メリット4,Tポイントが貯まり投資に利用できる
SBI証券では、投資信託の月間平均保有額などに応じてTポイントが貯まる。投資信託の保有でTポイントが貯まる制度を「投信マイレージ」という。
対象の投資信託の月間平均保有額が1,000万円未満の場合は年率0.1%相当が、1,000万円以上の場合には年率0.2%相当のポイントが得られる。
貯めたTポイントは、投資信託の買付代金の一部または全部に利用できる。1ポイントは1円分として利用でき、金額指定の買付が対象だ。積立買付や口数買付は対象外である。
日常の買い物やSBI証券で貯めたTポイントを投資信託の買付に利用し、運用で得た売却益や分配金を現金で受け取ることも可能だ。
2,SBI証券での投資信託の始め方 口座開設と入金方法
SBI証券で投資信託を始めるには、口座開設と入金が必要だ。それらの手順の概略を紹介しよう。
(1)口座開設では書類の提出方法をネットまたは郵送から選ぶ
SBI証券での口座開設は、次の4ステップだ。
口座開設申込では、メールアドレスを入力して画面に従ってすすめる。氏名や住所などを入力し、規約を確認後に口座開設方法で「ネットで口座開設」または「郵送で口座開設」を選択する。
「ネットで口座開設」を選択した場合には、提出書類(マイナンバー確認書類と本人確認書類)をネットでアップロードする。
「郵送で口座開設」を選択した場合には、口座開設に必要な書類がSBI証券から送られてくる。必要事項を記入し、提出書類の写しなどを同封して提出する。
どちらの口座開設を選んだ場合でも、口座開設の審査が完了したら郵便物が届く。指示に従って初期設定を行えば口座開設は完了だ。
(2)入金は利用しやすい金融機関から選ぶ
SBI証券の口座が開設できたら、投資信託を買う資金を口座へ入れる。SBI証券ウェブサイトの「入出金・振替」から入金できる。
入金の方法は次のものがある。
入金方法 | 説明 | 対応する金融機関 | 手数料 |
即時入金 | ネットバンキングによる入金 | 即時入金対応の金融機関 | 無料 |
リアルタイム入金 | 口座振替による入金 | リアルタイム 入金対応の金融機関 |
無料 |
銀行振込 | 銀行振込による入金 | 指定口座に 振込可能な金融機関 |
利用者が負担 |
振替入金 (ゆうちょ銀行) |
ゆうちょ銀行の 振替による入金 |
ゆうちょ銀行 | 無料 |
預り金自動スィープサービス (SBIハイブリッド預金) |
SBIハイブリッド 預金残高を充当 |
住信SBIネット銀行 | 無料 |
銀行引落サービス | 毎月自動的に 引落しするサービス |
銀行引落サービス 可能な金融機関 |
無料 |
自分が利用しやすい金融機関が対応する入金方法で、手数料が無料になるものを選択するといいだろう。
都市銀行やネット銀行を利用しやすいなら「即時入金」が、地方銀行などを利用しやすいなら「リアルタイム入金」が適していると考えられる。
3,SBI証券での投資信託の選び方……便利な2つのツールを紹介
SBI証券の口座を開設して入金できたら、買い付ける投資信託を選ぶ。SBI証券のツール「SBI-ファンドロボ」と「投資信託 パワーサーチ」を利用した投資信託の選び方を紹介しょう。
ツール1,「SBI-ファンドロボ」はおすすめの投資信託を提案してくれる
SBI-ファンドロボ(FundRobo)は、年齢、購入資金、投資経験、投資の関心度、リスクとリターンなどに関するいくつかの質問に答えるだけで、その人におすすめの投資信託を提案してくれる。とくに、投資信託の選び方が分からない初心者に便利なツールだ。SBI証券ウェブサイトで提供されている。
ツール2,「投資信託 パワーサーチ」は様々な条件を設定できるスクリーニングツール
投資信託 パワーサーチは、詳細な条件設定で投資信託の絞り込みができる便利ツールだ。SBI証券ウェブサイトの投資信託のページから利用可能である。
条件の設定では、分類、地域、買付手数料、信託報酬をはじめ、20近くの項目を指定でき、絞り込み条件を細かく変更できる。下図が条件(一部抜粋)の設定画面だ。
投資信託 パワーサーチを利用すれば、2,600本以上もある投資信託から自分が望む商品を絞り込める。初心者からベテラン投資家まで簡単に利用できる便利なツールだ。
4,SBI証券での投資信託の買い方と売り方
取引する投資信託が決まったら次は買い付けだ。SBI証券での投資信託の買い方と売り方を確認しよう。
SBI証券の投資信託の買い方……金額買付、口数買付、積立買付のいずれかを選ぶ
投資信託は、金額を指定して買う「金額買付」、口数を指定して買う「口数買付」、定期的に買う「積立買付」がある。投資信託の銘柄のページから、いずれかの買付方法を選ぶ。
ここでは金額買付を例に説明する。
目論見書(投資信託説明書)などを閲覧し、「同意して次へ」にすすむ。
注文入力画面(金額指定買付)では、預り区分、購入金額、分配金受取方法を指定し、取引パスワードを入力して「注文確認画面へ」にすすむ。
注文確認(金額指定買付)にて、注文内容を確認して「注文発注」にすすむ。
注文受付(金額指定買付)が表示されれば注文の受付が完了だ。
SBI証券の投資信託の売り方……売る金額を指定する
投資信託を売るには、「口座管理」画面で保有する投資信託を確認する。
売りたい投資信託の「売却」にすすむ。
注文入力画面にて、注文金額を金額指定または全額から選び、金額指定の場合は売りたい分の金額を指定する。取引パスワードを入力して「注文確認画面へ」にすすむ。
注文確認画面にて、注文内容に誤りがないか確認し、「注文発注」へすすむ。
注文受付が表示されれば完了だ
5,SBI証券のおすすめ投資信託3選
SBI証券で買える投資信託からおすすめの商品を紹介しよう。投資信託 パワーサーチを利用して選んだ3本だ。
利益重視……SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
利益重視の投資信託を選ぶにあたり、世界一の経済大国である米国の株式へ投資する、信託報酬が低いファンドで条件設定し検索した。
<投資信託 パワーサーチ検索条件>
条件 | 値 |
ファンド分類 | 国際株式 |
投資地域 | 北米 |
信託報酬 | 0.55%以下 |
検索結果のうち、販売金額ランキングトップ(2021年3月16日時点)がSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・バンガード・S&P500)であった。
SBI・バンガード・S&P500は、米国を代表する大企業500銘柄から構成される株価指数S&P500に連動する運用成果をめざすインデックス型の投資信託だ。バンガードとは世界最大級の運用会社であり、バンガード・S&P500 ETFを主要投資対象として運用が行われる。
S&P500指数は数十年の長期間、右肩上がりで上昇しており、S&P500のインデックス・ファンドは積立投資でも人気だ。
●安定重視……<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型
安定重視の投資信託を選ぶにあたり、複数の資産に投資する「バランス」型で投資地域はリスク分散を期待できる「グローバル」、信託報酬は低コストの「0.55%以下」、リスクとリターンから投資効率を表すシャープレシオ「1.0以上」で検索した。
<投資信託 パワーサーチ検索条件>
条件 | 値 |
ファンド分類 | バランス |
投資地域 | グローバル |
信託報酬 | 0.55%以下 |
シャープレシオ | 1.0以上 |
販売金額ランキングトップ(2021年3月16日時点)は、<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型であった。
このファンドは、国内株式、先進国株式、国内債券、先進国債券の4資産への均等(25%ずつ)な投資を基本にする。リスク高めの株式とリスク低めの債券に半々に投資するため、比較的安定した運用を見込める。
バランス重視……三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
バランス重視として、多くの資産への投資でリスク分散を期待できるファンドを選ぶことにする。多くのファンドから選ぶため、安定重視の検索条件からシャープレシオを除外し、次の条件で検索した。
<投資信託 パワーサーチ検索条件>
条件 | 値 |
ファンド分類 | バランス |
投資地域 | グローバル |
信託報酬 | 0.55%以下 |
検索結果から、先進国と新興国の資産を含むファンドを探した。販売金額ランキングトップ(2021年3月16日時点)は、それらの資産を含む三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)だった。
このファンドは、国内・先進国・新興国の株式と債券に加えて、国内・先進国のリート(不動産投資信託)の計8資産を投資対象にする。バランスファンドのなかでは販売ランキングトップレベルであり、積立設定金額などのランキングも高く、中長期投資でも人気があるファンドだ。
6,SBI証券で投資信託を運用する際の注意点
投資信託の運用では、値上がり益のキャピタルゲインと分配金のインカムゲインの2種類の収益を狙うことが可能だ。
投資信託の分配金は、証券口座で受け取る方法と、再投資して投資信託を買い付ける方法の2つがある。長期運用では、分配金を再投資するほうが、複利効果で投資効率が高まることを期待できる。
注意点は、投資信託の買い方によっては再投資が選べないことだ。金額買付と積立買付では分配金再投資を選べるが、口数買付では分配金再投資を選べない。
分配金再投資を予定しているなら、投資信託の買い方は金額買付または積立買付を選ぶ必要がある。
7,SBI証券は商品数・積立頻度・Tポイントの活用に優れている
SBI証券の投資信託の取扱数は楽天証券と並んで主要ネット証券でトップレベルだ。豊富な対象商品から、自分の投資に適する投資信託を見つけやすいメリットがある。また積立頻度(毎月、毎日、毎週、複数日、隔月)の選択肢が多いのもSBI証券の特徴だ。
PCをあまり使わない人でも、投資信託の取引や管理がスマホで完結するため、スマホだけで投資したい人にも適している。Tポイントを活用した投資をしたい人もSBI証券を利用するメリットはあるだろう。
執筆・松本雄一(セキュリティ・金融アドバイザー)
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。
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