REDSエージェント、宅建士の渡部です。「REDSさんに物件の売却をお願いすると、広告はどうなるのか?」という質問をよくいただきます。

――仲介手数料が安いのは分かった。「囲い込み」をしないことも分かった。でも肝心の広告はどうなる? 他社に比べて貧弱な広告になってしまうのではないか?

はい、クリアにお答えします。ご心配のようなことはまったくありません。ただ、ご理解いただくには不動産流通業界の広告の仕組みについて理解していただく必要があります。今回はイマイチ分かりにくい不動産業界の広告の仕組みについて説明しようと思います。

目次

  1. 不動産会社は「他社取り扱い物件」も広告している
  2. 他社取り扱いの物件情報すら不動産会社のメシの種
  3. よい物件はどこにでもあり、独占はできない

不動産会社は「他社取り扱い物件」も広告している

不動産会社のイマイチ分かりにくい広告の仕組み
(写真はイメージです)

現在、不動産広告の媒体の主流はインターネットです。以前は紙のチラシや新聞広告、街角の不動産屋さんの店頭に掲示するなどしていましたが、現在はSUUMOやHOME’Sといった不動産ポータルサイトや自社サイトに物件情報を掲載し、お客様側で検索してもらうことになります。

こうしたネット広告は媒体を問わず、2種類に分けることができます。
(1)自社の物件の広告
(2)他社の物件の広告

(1)は自社で所有している物件や自社で売却依頼を受けている物件など、他業者を介していない情報を広告化したものです。

これに対して(2)は少し分かりにくいかもしれません。なぜ他社が所有し、他社が売主様から依頼を受けている物件をわざわざ広告するのか、ピンと来ない方も多いでしょう。

物件情報を広告媒体に掲載するには「料金」が発生します。インターネットで物件情報を見たり、チラシで物件情報を見たりはタダですが、掲載している業者はコストをかけて物件を掲載しています。しかも、無料で物件情報を目にするお客様側からすると少し驚くような高い金額です。

なぜわざわざそうした高い金額をかけてまで、自社とは無関係で通常は「ライバル」であるかもしれない他業者の物件を広告するのでしょうか? ここが分かりにくいところだと思います。

他社取り扱いの物件情報すら不動産会社のメシの種

そもそも今の時代、お客様はどのように不動産会社にアクセスするでしょうか? ありがちなのが、知人や親戚の紹介、駅前にたまたま店があって目に付いた、勤務先の福利厚生で提携業者だった、セミナー等の相談会を開催していた……というところでしょうか。

しかし、圧倒的に多いのは物件それ自体が入口になって、広告している不動産会社に問い合わせるというものです。つまり「このマンションは魅力的! ここに住んでみたい」という気持ちから、連絡先を書いている不動産会社に問い合わせるというパターンです。

マンションや戸建ての「現地販売会=オープンハウス」も旗や看板を作って「青空広告」をして、物件それ自体で反響を取るという意味で全く同じです。非常に原始的な広告であり、営業活動です。

このため、物件情報がないと広告を載せられないわけで、会社への問い合わせがなくなります。売上げはゼロです。物件をあらゆる形で広告し、問い合わせをいただく。これが不動産会社の営業活動の大半ということになります。

よい物件はどこにでもあり、独占はできない

弊社REDSのように信念を持って「囲い込み=両手仲介」を行わない、という会社は例外ですが、ほとんどの業者がまず目指すのは、自社の売却物件の広告で反響(見込み客)を取得することです。

自社の物件の広告から発生したお客様は自社のお客様であり、成約した暁には仲介手数料を報酬として請求できます。さらに売主様からも報酬をもらえるので報酬は2倍となり、これが最も広告効果が高い営業活動ということになります。

ただしここで問題が発生します。それは不動産業界には以下のような真理があるからです。

それは、物件は一社で独占することができない、ということです。

世の中には無数の不動産があり、10万社を超える不動産会社が存在します。1都3県のようなエリアでは物件情報を一つの会社が独占することは不可能で、他業者が扱う物件にもよい物件が「常に」あります。

先述したように、広告する物件がないと不動産会社には問い合わせがなくなります。その窓口は自社の抱えている物件だけでは不十分であり、限度があります。そこで必要になってくるのが、他社の物件の広告なのです。

不思議に思われるかもしれませんが、他社の物件であっても、ほとんどの業者が競って広告をします。お客様と接触する機会が増えるなら、入り口が他社の物件情報であっても関係ないからです。その反響をいただいた物件を気に入って契約になればOKですし、仮に気に入らなくても、引き続き物件を紹介するなどの力技を駆使して「自社の顧客」とすることができます。

それは大手も中小も同じです。中小の業者は自社の物件がほとんどありませんので、他社の物件を広告することが営業活動の大半だったりもします。

以上、他社の扱う物件でも不動産会社はこぞって広告を出すことがお分かりいただけたでしょうか。不動産会社にとって物件情報はまさにメシの種なのです。

さて、なぜ、REDSでは仲介手数料が割引~最大無料なのに広告が貧弱でないのか。もうお分かりいただけた方も多いと思いますが、次稿で説明することにしましょう。

プロフィール


渡部親三(REDSエージェント、090-9815-2948、s.watanabe@red-sys.jp
福島県出身。保有資格は宅地建物取引士、宅建マイスター、損保募集人資格、行政書士(未登録)。首都圏一円で、戸建て・マンションは居住用・投資用ともに得意としている。
プロフィールページはこちら
インタビュー記事はこちら
外部ライターによる紹介記事「家売るオトコたちの素顔」はこちら