英国の金融規制当局(FCA)は26日、世界最大級の暗号資産(仮想通貨)取引所であるBinance(バイナンス)に対し、許可を得ずに同国のユーザーに対して営業を行なっているとして警告を発した。

25日には日本の金融庁がバイナンスに対し2回目の警告を出しており、それに続く形となった。

バイナンス
(画像=月刊暗号資産)

FCAは発表内で、バイナンスの英国法人である「Binance Markets Ltd(BML)」に対し、「FCAの書面による事前同意なしに、規制対象となる活動を行ってはならない」とした。

これに対しバイナンスは、2020年に買収し誕生したBMLはまだ許可を得ておらずローンチしていないため、FCAの動きは同社の「Binance.com」で提供しているサービスには影響しないと述べている。

またバイナンスの広報担当者は、「当社は規制当局との協力体制をとっており、コンプライアンスの義務を非常に真剣に受け止めている。当社は、この新しい領域で変化する政策、規則、法律を積極的に把握している」とコメントした。

一方のFCAはバイナンスに対し、今月30日までに「BMLは英国でサービス活動を行うことを許可されていない」という文言をWebサイトやSNSに表示するよう求めている。英国の消費者に関する全ての記録を保存し、7月2日までにFCAに報告する必要があるとした。

英国では暗号資産の現物取引は規制されていないが、デリバティブ取引などのサービスを提供するには認可が必要となる。

FCAは今年1月以降、暗号資産関連のサービスを提供する全ての企業に対して、企業情報を登録し、マネーロンダリング防止規則に準拠していることを示すよう求めている。しかし、FCAは今月初め、登録した企業はわずか5社で、大半の企業はまだ準拠していないと発表している。

そのような状況で、今回FCAは暗号資産市場で非常に大きな影響力を持っているバイナンスに対し警告を行った。

バイナンスへの風当たりの強さを予感させる出来事は他にもある。

4月にはドイツの金融規制当局BaFinが、バイナンスが投資家向け目論見書なしに暗号資産サービスを同国で提供したとし、罰金を科せられる危険性があると指摘。また日本の金融庁も25日、バイナンスが日本居住者に対し、無登録で暗号資産交換業を行っているとして2回目の警告を発出した。

こういった動きからは、今年に入り暗号資産への注目度が一段と増しているなかで、各国が暗号資産を用いた犯罪行為の取り締まりを念頭に規制強化へと乗り出していることがうかがえる。(提供:月刊暗号資産