ベトナム政府は、中央銀行であるベトナム国立銀行にブロックチェーンをベースにしたデジタル通貨を試験的に導入するよう指示した。6日、現地の複数のメディアが報じた。

現地メディアLedger Insights報道によると今回の試験で導入されるのは、CBDCのプロトタイプ版だ。

ベトナム
(画像=月刊暗号資産)

今回、CBDCのプロトタイプ版では政府が決済などにおいてプラス面とマイナス面の課題を見つけ出し、より適切な管理メカニズムを開発することを目的としている。

ベトナムではキャッシュレス決済が普及中であり、中央銀行がデジタル通貨を承認することで、キャッシュレス社会を後押しするのも狙いとしてあるという。

ホーチミン市経済大学の経済評論家Th.S. Huynh Phuoc Nghia氏は同紙の取材に応じ、ドル、ユーロ、日本円などの伝統的な通貨は、世界の通貨バスケットや国際貿易において大きな影響力を持っていることを指摘。「しかし、CBDCもしくは暗号資産(仮想通貨)のような新技術の開発競争において、ベトナムのような多くの小国にも伝統的な通貨の代わりに、世界の金融システムに影響を与える可能性もある」と語った。

一方、同氏は現時点でベトナムのCBDCが、他国のCBDCよりも普及する優位性については言及しなかった。

ベトナムは2020年4月に、同国の財務省がデジタル資産およびCBDCの検討・規制を行うワーキンググループを設置した。検討対象には暗号資産も含まれている。

さらに、このワーキンググループを中心に、ベトナム国立銀行は2021年から2023年というタイムスケジュールを設けてCBDCの研究・開発・試験運用を行なっている。

ベトナムは地理的に、CBDCの開発が進んでいる国に囲まれている。隣国の中国では、デジタル人民元が試験運用の最終段階まできていると言われている。

またタイでは、複数のCBDC研究プロジェクトが行われており、最近ではCBDCのプロトタイプを開発するプロバイダーも決定された。

また将来的に、タイ、香港、中国、UAEはクロスボーダー決済においてCBDCの利用を検討していることも明らかになっている。(提供:月刊暗号資産