一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は11日、税制検討部会が中心となり、一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と共同で、暗号資産(仮想通貨)に係る「2022年度税制改正要望書」を公表した。

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(画像=月刊暗号資産)

2022年度税制改正にあたり、同協会と暗号資産交換業および暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体であるJVCEAは、2020年に引き続き両協会の会員により税制改正が求められる事項を共同で整理。

暗号資産市場の活性化、関連産業の発展を目指し、「暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。暗号資産デリバティブ取引についても同様とする」と要望を公表した。

暗号資産税制の課題については、税務申告促進の必要性、税の公平性や制度内の整合性、海外との競争力確保、という観点からの考えが示された。

税務申告促進の観点では、現状の税制では暗号資産による利益は一律の税率でないこと、また申告の有無に関わらず前年度の損失繰越ができないことなどが、利用者による適正かつ積極的な申告の促進を妨げていると主張。

また税の公平性や制度内の整合性という観点では、暗号資産の金融商品としての法規制上の位置づけや、他の金融商品の枠組みの中で暗号資産の派生商品が生じている現状を鑑み、他の金融商品との税制度における整合性・公平性を担保する必要があると考えているという。

さらに、海外との競争力確保という観点では、暗号資産を利用した資金決済分野の革新やブロックチェーン技術の応用による経済社会の高度化に備え、原則キャピタルゲイン課税とする主要国の暗号資産税制との乖離を縮小する必要があると説明した。

今回の要望に際して、現状の税制から分離課税にすることにより懸念される税収への影響に対し、一般の暗号資産投資家を対象にした暗号資産税制に関するアンケート調査を実施。1万人を超えるアンケート回答よりデータ分析を行い、増収効果と申告分離課税導入の有効性を示した。(提供:月刊暗号資産