ブロックチェーン技術や顔認証などの先進技術を手掛けるVOTE FORと様々な産業のDXサポートを推進するLayerXは21日、インターネット投票システムへの応用を視野に入れた市民意見収集システムを構築し、つくば市と共同研究を実施すると発表した。
共同研究に併せて、同市が実施する「市科学技術・イノベーション復興指針の策定のための意見アンケート調査」をつくば市民および市内在学・在勤者を対象に2021年9月21日から10月11日にかけて実施するという。
今回の実証では、公職選挙への応用を見据えた「投票の秘密」と回答データの「非改ざん性」を実証することを目的とし、LayerXがデータ利活用とプライバシー保護の両立を図る秘匿化ソリューション「Anonify」を提供し、企画、仕様設計、要件定義、進行管理などのプランニングおよびシステム開発の全般をVOTE FORが担う。
Anonifyでは、CPUのセキュリティ機能である「Trusted Execution Environment」を用いて、データを秘匿化したまま処理。データを初めから暗号化した状態で保持することで、機密性の高い情報の漏洩リスクや、プライバシーに関する懸念を最小化することが可能だとしている。
アンケートの回答データはCPUに搭載されたMemory Encryption Engineという機構により、メモリ上で暗号化。そして、システム内でプログラムやデータを復号した上で、回答の集計処理などが実行され、結果だけが出力される。
この時、システムに対しOSすらアクセスできないため、システム管理者も元データにアクセスすることは不可能であり、「データの秘匿性」向上を図る仕組みになっているとLayerXは説明する。
つくば市では、スマートシティ化の推進による市民生活の向上、および地域経済の活性化に資することを目的に、インターネット投票システムの公職選挙への導入や、行政手続きのデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる。今年6月には、LayerXや文科省などの協力のもと、県立校の生徒会選挙においてブロックチェーン技術を使ったネット投票を実施すると発表した。
VOTE FORは、2018年から2020年にかけて、つくば市が開催する「つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」にインターネット投票システムを提供し、マイナンバーカードや顔認証システム、ブロックチェーン技術の活用などの実証を重ねつつ、つくば市におけるインターネット投票の推進を支援してきた。(提供:月刊暗号資産)