ホンダNSXタイプS 価格:9DCT 2794万円 新車ニュース

ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
ホンダNSXタイプS 2代目NSXは2022年12月での生産終了を発表 タイプSはNSXの最後を飾るスペシャルモデル 世界限定350台生産(日本販売30台) 7月の正式発売前にすでに予約は終了した

最終こだわりモデル、タイプS登場

 S660、レジェンド、オデッセイ、クラリティなど、生産中止の報が続くホンダ、その矛先はフラッグシップにも……。2017年に日本デビューした2nd・NSXが2022年いっぱいで生産終了する。しかし、ただ静かに終焉を迎えるのではない。開発陣は2ndモデルの集大成と言える特別なモデル、タイプSを準備していた。
 タイプSは世界限定350台を生産。その内の30台が日本向けだ。購入申込みはすでに終了。いくら最終モデルとはいえ、2794万円のスーパースポーツが瞬時に売り切れたのには驚いた。

 エクステリアで大きく変わったのはフロント部だ。タイプSはロー&ワイドかつアグレッシブな造形を採用した。変更は単なるイメージチェンジではない。機能向上が目的だ。センター/左右の開口部拡大は冷却性能アップ、バンパーサイドの造形はリアインタークーラーへの流速アップを実現。それに加えて、追加されたフロントリップスポイラーと形状を最適化したリアディフューザーが、空力性能を一段とレベルアップしている。

 ディテール部ではヘッドライト、アルミホイール、ドアミラー、ドアノブ、エキゾーストフィニッシャーがピアノブラック/カーボンで統一され、タイプSの世界観を演出する。
 ボディカラーは新色のカーボンマットグレーメタリック(写真)、ロングビーチブルーパールを含め、全10色から選べる。
 インテリアは刺繍が施されたシートやグローブボックスがタイプS独自の演出。個人的には専用ステアリングやシートなど機能面のプラスαも欲しかった。

ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
タイプSはNSXの潜在能力を徹底的に高めたスポーツ版 すべてが走り優先
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
3492cc・V6DOHC24Vツインターボ(529ps/600Nm)+3モーター搭載 タイプSはノーマル比29ps/21Nmパワフルな610ps/667Nmのシステム出力を達成

システム出力610psを実現! 足回りも専用セッティングを実施

 パワートレインは「スポーツハイブリッドSH-AWD」の潜在能力をフルに引き出すチューニングが実施された。V6・3.5リッター直噴ツインターボ+リアモーター+フロント左右独立モーターのシステムはすべてがパフォーマンス志向だ。
 エンジンはターボチャージャー過給圧5.6%アップ/インジェクター燃料噴射量25%アップ/インタークーラー放熱量15%アップを実施。モーターはインテリジェントパワーユニット(IPU)のバッテリー出力10%アップ/バッテリー使用可能容量20%アップ/ツインモーターユニット20%ローレンジ化が図られた。

 システム出力はノーマルの581ps/646Nmから610ps/667Nmに向上。絶対的なパフォーマンスはもちろんだが、2ndモデルが追及してきた「ダイレクト/レスポンシブ/スムーズが、大きくレベルアップした」と開発陣は説明してくれた。
 トランスミッション(9速DCT)にも手が入っている。シフトスピードアップやより滑らかなシフト制御に加えて、新たに減速側パドルの長押し(0・6秒)で瞬時に適切なギアにシフトダウンする「パドルホールド・ダウンシフト」が採用された。

 官能性能向上も抜かりなしだ。インテークサウンドコントロールとアクティブサウンドコントロール(ASC)の最適化が行われ、一段と快音を奏でるという。どのようなサウンドなのか、興味が高まる。

ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
トランスミッションは9速DCT タイプSは減速側パドルの長押しで瞬時に適切なギアにシフトダウンする新機能を搭載 ハード走行に対応
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
室内はオーキッド(写真)/レッド/エボニーの3色を選択可能 デザインは標準モデルと共通 グローブボックスにタイプSのロゴが入る 各部本革仕上げ

フットワーク系も大幅強化。すべてがスポーツ仕様

 出力アップされたパワートレインに対して、フットワーク系もしっかりとグレードアップした。
 あらかじめ出力アップを見越していたのか、ボディそのものに変更はないが、磁性流体式の電子制御アクティブダンパー(BWI製)は減衰特性の見直しに加えてパフォーマンスレンジの引き上げを実施。アクティブダンパーは、ミリ秒単位でクルマのロール/ピッチング方向の減衰力を制御するNSXの走りの要のひとつだ。

 タイヤはグリップ性能を引き上げたNSX専用設計のピレリP-ZERO(前245/35R19、後305/30ZR20)、と5本スポークの軽量鍛造ホイールを組み合わせ。ホイールのインセット変更でワイドトレッド化(フロント:+10mm、リア:+20mm)が行なわれ、これが限界性能とコントロール性アップにも大きく寄与している。

 車両細部までファインチューンされたタイプSの価格は2794万円。絶対的には高額だが、わずか350台のためにここまで手を入れた事を考えると、標準車比で約370万円高のプライスはお買い得にも感じる。幸運にも入手できたミリオネアーはガレージに飾っておくのではなく、その実力をサーキットなどで存分に味わってほしい。

ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
電子制御アクティブダンパーは専用仕様 パワーアップに対応し足回りを強化
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
タイヤは専用設計ピレリP-ZERO(F245/35R19/R305/30ZR20) アルミは軽量鍛造タイプ タイプSはワイドトレッド仕様
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
ルーフはCFRP製 タイプSは各部をピアノブラック/カーボンで統一
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
排気エンドはセンター4本出し 刺激的なサウンドチューン実施
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
メーターはシンプルデザインのフル液晶 走行モードに応じて表示が変化する
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
9速DCTはクロースレシオ設定 メインセレクターはボタン式 大型形状パドルシフト標準 
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
シートはセミアニリンレザーとアルカンターラのコンビ プレス加工アルミ材をフレームに採用した軽量設計 
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
走行モードは大型のダイヤルで切り替えるシステム
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
タイプSはエンジンルーム内に専用シリアルプレートを装備する

ホンダNSXタイプS 主要諸元と主要装備

ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場

グレード=タイプS(限定車)
価格=9DCT  2794万円
全長×全幅×全高=4535×1940×1215mm
ホイールベース=2630mm
トレッド=前:1665/後1635mm
車重=1790kg
エンジン=3492cc・V6DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=389kW(529ps)/6500~6850rpm
最大トルク=600Nm(61.2kgm)/2300~6000rpm
モーター最高出力=前:27kW(37ps)×2/後:35kW(48ps)
モーター最大トルク=前:73Nm(7.4kgm)×2/後:148Nm(15.1kgm)
システム最高出力=449kW(610ps)
システム最大トルク=667Nm(68.0kgm)
WLTCモード燃費=未公表(燃料タンク容量59リッター)
サスペンション=前:ダブルウィッシュボーン/後:ウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=前:245/35ZR19/後:305/30ZR20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=2名
最小回転半径=5.9m
●主な燃費改善対策:未公表
●主要装備:アクティブダンパーシステム/ブレンボ社製ベンチレーテッドディスクブレーキ/専用鍛造アルミ(シャークグレー)/前後異径ピレリPゼロタイヤ/電動サーボブレーキシステム/アジャイルハンドリングアシスト/インテグレーテッド・ダイナミクスシステム(走行モード切り替え)/タイヤ空気圧警報システム/ジュエルアイLEDヘッドライト/クルーズコントロール/パーキングセンサーシステム/Hondaインターナビ+リンクアップフリー/フルオートAC/アレルフリー高性能脱臭システム/セミアニリンレザー×アルカンターラ・パワーシート/ドライビングポジションメモリー/プレミアムオーディオシステム(9スピーカー)/アルカンターラインテリア/アルミ製スポーツペダル/本革巻きステアリング/レッドエンジンセンターカバー&シリアルナンバー付きエンブレム/カーボンファイバーエクステリアスポーツパッケージ/カーボンファイバールーフ
●装着メーカーOP:ブレンボ社製カーボンセラミックブレーキ/カーボンファイバーインテリアスポーツパッケージ/カーボンファイバーエンジンカバー
●ボディカラー:カーボンマットグレーメタリック
※価格はすべて消費税込み

ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
NSXは独創のSH-AWDシステム採用 運動性能はクラストップ
ホンダ最終こだわりモデルNSX、タイプSが登場
NSXは新時代のスーパースポーツ体験(New Sports eXperience)を提案したホンダのフラッグシップ 初代モデル(写真奥)は1989年にプロト発表
Writer:山本シンヤ Photo:小久保昭彦

(提供:CAR and DRIVER