米テキサス州ヒューストンの消防士年金基金「Houston Firefighters’ Relief and Retirement Fund」が、暗号資産(仮想通貨)に投資しているようだ。21日、Bloombergが報じた。
報道によると、55億ドル(約6,200億円)の資産を保有している同基金は資産運用会社Stone Ridgeの子会社NYDIGを通じて、ビットコインとイーサリアムに2500万ドル(約28億円)を投資した。これが初めての暗号資産投資だという。
基金の最高投資責任者であるAjit Singh氏は、「暗号資産は期待リターンが高く、リスクを管理ができる。また、他の資産との相関性も低い」とコメント。
全米州退職管理者協会によると、州政府の年金基金は納税者の資金を管理する立場として、暗号資産の投機的な話題に乗り遅れる傾向にあるが、ヒューストンの取り組みは前例がないわけではない。2年前に初めて暗号資産に投資したバージニア州の2つの年金基金は、さらに5000万ドル(約57億円)の投資を計画しているという。また、オーストラリア5番目の規模を誇る大手年金基金QICが、今後暗号資産に投資することが可能になることも先日報じられた。
ビットコインが最高値を更新し、年初から2倍以上になったことで、一部の機関投資家は暗号資産に再度注目している。ビットコインが6万6000ドル(約752万円)を超えた今週の上昇は、米国で初となるビットコイン先物ETF(上場投資信託)が開始されたことで、より暗号資産が受け入れられるだろうという楽観的な見方が拍車をかけた。
Singh氏は先物関連の投資でリスクを負うよりも、直接購入した方が良いと考えているようだ。同氏は「暗号資産に直接投資することにした。機関投資家による導入が増えれば、需要と供給の関係がますます複雑になるだろう。また、実際の暗号資産を保有することで、将来的には収入を得られる可能性がある」とコメントした。
ヒューストンの消防士年金基金は、6,600人以上の現役・退役の消防士と家族の受給者の退職金を扱っている。2004年以降、現役消防士は給与の9%を基金に拠出しており、ヒューストン市は少なくともその2倍の額を拠出している。公式サイトによれば、米国株式、海外株式、債券、現金、プライベート・エクイティ、オルタナティブ投資、および不動産などへの分散投資を行なっているようだ。(提供:月刊暗号資産)