最近の住宅の外壁によく見かけるガルバリウム鋼板は、たくさんのメリットを持つ材料です。しかし金属の外壁の家に住んだことがないと、サビなどの不安を感じてしまう人もいるでしょう。
この記事ではガルバリウム鋼板の外壁の、メリット・デメリットを詳しくお伝えしています。読んでいただくと、自宅にガルバリウム鋼板の外壁を使うかどうかの迷いが解消されるはずです。
目次
ガルバリウム鋼板とは
ガルバリウム鋼板とは、主にアルミと亜鉛の合金でメッキをした鋼板です。耐久性や防水性など多くの点に優れることから、近ごろは住宅の外壁や屋根に使われることが多くなっています。
ガルバリウム鋼板と似た材料に、亜鉛だけでメッキをしたトタンがあります。トタンは亜鉛が落ちるとサビやすく、そのイメージから金属製の外壁を敬遠する人がいるかもしれません。
しかしガルバリウム鋼板は、亜鉛が落ちた部分をアルミが保護する作用を持ちます。そのためサビにくさが長く続く素材であり、腐食環境の1つである住宅の外壁にも使われています。
ガルバリウム鋼板の4つのメリット
ここからは、ガルバリウム鋼板のメリットをお伝えします。あまり身近ではない材料は、不安が先行してどうしてもデメリットばかりに目が行きがちです。しかしメリットにもしっかり目を向けることも、自分たちに合う材料を選ぶうえでは大切です。
・優れた耐震性
・シンプルなデザイン
・防水性の高さ
それぞれ見ていきましょう。
高い耐久性
ガルバリウム鋼板は耐久性が非常に高く、耐用年数は一般的に20〜30年と言われています。実際にガルバリウム鋼板メーカーの試験では、20年を経過してもサビが発生していません。また通常よりサビ発生の可能性が高い沿岸部でも、施工後15年経過してもサビが発生していない事例もあります。
新しい建材に思われがちなガルバリウム鋼板ですが、実は商用生産が1982年に始まった40年もの歴史がある材料です。多くのメーカーで製造されており、その耐久性の高さはすでに実証済みです。
優れた耐震性
ガルバリウム鋼板は他の外壁材に比べ、軽量で耐震性に優れるというメリットがあります。
地震が起きたときの建物の揺れは、重量があるほど大きくなります。ガルバリウム鋼板、サイディング、モルタル(セメントと砂を混ぜたもの)の重さを比較したのが下表です。ガルバリウム鋼板に比べて、サイディングはおよそ5倍、モルタルは10倍近い重さです。
1平方メートルあたりの重さ | 耐震性 | |
ガルバリウム鋼板 | 3.6kg | ◎ |
サイディング | 17.3kg | ○ |
モルタル | 36.4kg | △ |
ガルバリウム鋼板は、地震の建物負荷が他の外壁材に比べ、とても少なくて済むのです。
シンプルなデザイン
ガルバリウム鋼板の外壁材はスリットの入ったシンプルなデザインで、現在主流のデザインであるモダン系の家にとてもよくマッチします。またそのシンプルなデザインのおかげで、都会から自然の多い風景までどんな街並みにも合います。
さらにシンプルであることからいつまでも飽きが来ず、耐久性の高さと合わせて長く付き合える外壁材にもなっています。他にもデザインに癖がないため、木製やタイルなど異なる素材の外壁材と組み合わせても、馴染みやすいというメリットも持っています。
防水性の高さ
ガルバリウム鋼板は金属であるため、素材そのものが優れた防水性を持っています。表面のメッキが万一落ちたとしても、水が染み込むことはありません。しかしサイディングなどセメント系の外壁材は、表面の塗料が劣化して落ちてしまうと水が浸透しやすくなります。
またガルバリウム鋼板は、継ぎ目の防水シーリングの耐久性も高い外壁材です。ガルバリウム鋼板の継ぎ目は、大部分が「見切縁」と呼ばれる金属部材で覆われています。そのおかげで、防水シーリングが太陽の紫外線や風雨の影響で劣化しにくくなっているからです。
しかしサイディングなどの防水シーリングは外部に露出しています。そのため劣化が早く、定期的にシーリングの打ち直しや補修をしないと壁内に雨水が浸入してしまいます。ガルバリウム鋼板は素材とジョイントの両面で、防水性に優れた材料になっているのです。
ガルバリウム鋼板の3つのデメリット
多くのメリットを持つガルバリウム鋼板ですが、一方で注意したいデメリットもあります。家を建ててから後悔しないためには、このデメリットを十分に理解しておくことが大切です。
・デザインの種類が少ない
・凹みやすい
1つずつ解説していきます。
初期費用は高め
ガルバリウム鋼板の価格はサイディングに比べ3割ほど高めです。しかし外壁材のコストは建築費全体の数%であり、3割高めだとしても資金計画に大きく影響するほどではないでしょう。またここまででご紹介した耐久性や耐震性、防水性の高さを考慮すれば、決して割高な価格とは言えません。
デザインの種類が少ない
ガルバリウム鋼板の外壁材はデザインのバリエーションが少なく、基本的にフラットな表面に細い溝がある外観です。一方のサイディングはレンガ調やタイル調、石積み調など多くのデザインのバリエーションがあり、さまざまな外観の家を作ることができます。
ガルバリウム鋼板でもレンガ調などのデザインを施した製品も現れています。しかし表面はフラットであり、レンガなどの凹凸まで再現できるサイディングほどのリアリティはありません。
しかし最近の住宅のデザインは、シンプルなものが主流です。サイディングのような凝った質感の外壁材をどうしても使いたいという人以外は、大きな問題にはならないのではないでしょうか。
凹みやすい
ガルバリウム鋼板は、外から大きな力が加わると凹んでしまいます。元に戻すことはかなり難しく、ある程度の広さで張り替えるしかありません。ただし、破損すれば張り替えになるのはサイディングも同じです。
張り替えとなればいずれも費用がかかるため、交換するような破損をさせないことが大切です。車を家の近くに寄せて停める配置のときは、車止めを設置するなど壁を傷めない対策を取るようにしましょう。
将来のメンテナンスについて
ガルバリウム鋼板を長持ちさせるには、定期的な塗装のメンテナンスが必要です。表面のメッキは紫外線や雨風にさらされているため、そのままだと劣化してサビが発生しやすくなります。そのため15〜20年程度を目安に再塗装すると、より長持ちします。
これはサイディングも同様で、表面の塗料によってはサイディングのほうが早い時期に再塗装が必要です。どんな材料も適切な時期にメンテナンスすることで、本来持つメリットが生かされることを忘れないようにしましょう。
ガルバリウム鋼板は外壁におすすめ
ガルバリウム鋼板は耐久性や耐震性に優れ、シンプルなデザインが流行にも合うなど多くのメリットを持っています。初期費用は若干かかりますが、多くのメリットを考えるとむしろコストパフォーマンスが良く、これから家づくりをする方にとてもおすすめの外壁材です。
また将来の再塗装のメンテナンスもしっかりと考えておくと、その良さが長続きします。家づくりを頼むときはどの外壁を選ぶかだけでなく、依頼した住宅会社のアフターケアなどもしっかり確かめるようにしましょう。
ガルバリウム鋼板によくある疑問
ガルバリウム鋼板を外壁に使うか悩む方が、よく抱く疑問をまとめてみました。
Q:夏は暑い?
ガルバリウム鋼板は金属であるため、夏の暑い日差しを受けると熱を持ちます。そのため熱が家の中に影響しないように、壁の中にある断熱材がどんなものか確かめることが大切です。例えば泡状の樹脂を吹き付けて固める「発泡系断熱材」は断熱性能が高く、ガルバリウム鋼板を使った家の暑さ対策の1つとして考えられます。
Q:雨が当たるとうるさい?
ガルバリウム鋼板に雨が当たるとうるさいのでは?と心配する人もいるようです。しかしガルバリウム鋼板は金属がむき出しではなく、メッキが施してあるため雨が当たってもそれほど派手な音はしません。特に室内は外壁との間に断熱材や内壁があるため、音がうるさく感じることはほとんどないでしょう。
(提供:タツマガ)
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