恐らく、投資や資産運用を経験している人であれば「ESG投資」を聞いたことがない人はいないだろう。だが、あらためて「ESG投資とは何か?」と問われて正確に回答できる人は、どれほどいるだろうか。もちろん単純に「ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)や社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素も考慮した投資のこと」程度には説明できるかもしれない。しかし、具体的にそれら「E」と「S」と「G」の各項目について、企業の何をどのように評価(その手法も含む)して、どう投資判断に取り入れる(定量的なのか、定性的なのか)のかという話になると、どうだろうか。下手をすると運用会社に勤める人たちでさえ、明確に答えられる人は少ないかもしれない。

ESG投資,問題点
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事実、つい先日も某大手コンサルティング会社から「ESG投資の実際と問題点について、ご知見あるところでコンサルをお願いしたい」という依頼を受託した。あからさまには書けないが、その裏側には当然運用会社の存在があるはずだ。それもあの規模のコンサルティング会社を利用するのだから小さな運用会社ではないはずである。実は筆者は大手コンサルティング会社からこの手の依頼を何度も受託している。その経験からも「ESG投資とは何か?」と問われて正確に回答できる人は、どれほどいるのか、という疑問は拭えない。