この記事は2022年6月21日に「月刊暗号資産」で公開された「自民・平井議員、暗号資産税制改革を念頭に「スタートアップ振興法」の必要性主張」を一部編集し、転載したものです。
自民党スタートアップ推進議員連盟の会長を務める平井卓也衆議院議員(前デジタル担当大臣)が、暗号資産(仮想通貨)の課税制度を来年度に改正すべきとの考えの元、「スタートアップ振興法」を制定する必要があると語った。21日、Bloombergが報じた。
平井議員は、現行では事業年度末に保有する暗号資産を時価評価し、その評価益が計上されると法人税が課せられることが暗号資産領域に対する投資の弊害になっていることを指摘。利益が実現された場合のみ課税されるように変更すべきだと主張している。
Web3.0領域におけるスタートアップを5年で10倍に増加させるビジョンを政府が示す中、企業が暗号資産を事業として展開、利用する際の障壁を取り除く。さらに、平井議員は「スタートアップフレンドリーな環境を作るために税制や規制は見直すべき」と述べた。
同氏は安倍晋三内閣で情報通信技術・科学技術政策担当相、菅義偉内閣では、初代デジタル相を務めた経緯を持つ。兼ねてより、暗号資産の税制改革は日本において必須事項であると業界を中心に訴える声が挙がっていた。
また、ストックオプション制度や投資家に対して税優遇措置を講じるエンジェル税制の見直し、外国人起業家の受け入れ促進プログラムについても語った。平井議員はスタートアップに関する政策と、中小企業政策とは区別する必要があるとの見解を示している。
日本は現在、他国と比べ、ベンチャー投資においては劣勢な状況だ。今月閣議決定されたいわゆる「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針2022)では、5年で10倍増を視野にしたスタートアップ育成5カ年計画を年末に策定することが明記されている。
自民党の提言において、スタートアップへの投資額を10兆円に増やすことから、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資金(約200兆円)の約1%を国内ベンチャーキャピタル(VC)に振り向ける案、イスラエルを参考として政府資金1兆円規模を海外VC経由で投資する案などが盛り込まれている。
平井氏は現在の世界の企業価値上位10社のうち、アップルやマイクロソフトなど8社がVCから支援を受けていることを念頭に、成長を促す「スピードが全然違う」ことを指摘。VCに投資している「海外の機関投資家が見ても非常に利益率が高く、GPIFのポートフォリオにそういうものが入っても不思議ではない」と述べ、国民への説明責任を果たすことで投資拡大は可能との考えを示した。
暗号資産税制については岸田文雄首相も前向きな姿勢を示しており、今後議論が活発化することが望まれる。(提供:月刊暗号資産)