この記事は2022年8月2日に「月刊暗号資産」で公開された「ISM製造業景気指数の発表や米下院議長の訪台を受け暗号資産価格下落」を一部編集し、転載したものです。


ビットコイン
(画像=takashi tamiya/stock.adobe.com)

米供給管理組合(ISM)が1日に発表した7月の製造業景気指数は52.8と、6月の53.0から低下し、2020年6月以来の低水準となった。様々な要因が重なったこともあり、ドル円相場では130円台に突入する場面も見られた。

ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ(Timothy Fiore)会長は発表文で「委員の間では、経済の軟化を巡り懸念の声が出ている。サプライチェーンの過剰在庫に対する不安が強まる中で、新規受注の指数が2ヵ月連続での活動縮小を示したためだ」と述べた。

さらに、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)米下院議長が、2日に台湾を訪問することが明らかになり、地政学リスクを回避するための売り圧力が高まっている。

米国の現職下院議長が台湾を訪れるという行為は、台湾を自国の領土とする中国の大きな反発を招く。ペロシ氏の台湾訪問が実現すれば、現職の下院議長として1997年のニュートン・ギングリッチ(Newton Gingrich)氏(共和党)以来25年ぶりとなる。米紙の報道によると、同氏はサイ・エイブン(蔡英文)総統と3日に対談する見込みだという。

すでに中国は台湾周辺で軍事演習を行なっており、訪台を受け中国人民解放軍がどのような動きを見えるかに注目が集まる。

これを受け、NYダウは前日比46.73ドル安(0.14%)の32,798.40ドル、ナスダックは前日比21.71ポイント安(0.18%)の4,118.63ポイント、S&P500は前日比11.66ポイント安(0.28%)の4,118.63ポイントで終えた。

米株の動きに連動し、暗号資産(仮想通貨)市場も全面的に下落している。

7月は米連邦準備理事会(FRB)が0.75%を上回る利上げを行う必要はないとの見方を示したことから、過度な金融引き締めによる景気後退への懸念が和らぎ株価は上昇していた。S&P500とナスダックにおいても、大手企業の決算が予想を上回る結果となったこともあり、7月の月間上昇率は2020年以来の高さとなった。

7月はビットコイン(BTC)が23%以上、イーサリアム(ETH)は55%以上の上昇を見せるなど、暗号資産市場全体が上昇に転じた。

ビットコインは先週金曜日に2万4,000ドル台後半まで上昇していたが、ISM製造業景気指数への警戒感が高まったこともあり徐々に下落。記事執筆時点では2万2,700ドル(約298万円)ほどを推移している。

近頃はビットコインが株式市場に先行して変動する場面もあり、金融市場の中でも一際過敏な反応を見せていると言える。

今週も米国を中心に経済指標の発表が控えているため、その結果を受けて変動する可能性は十分に考えられる。(提供:月刊暗号資産