この記事は2022年8月31日に「月刊暗号資産」で公開された「機関投資家の2割が暗号資産投資を検討 シュローダーが調査」を一部編集し、転載したものです。


投資家
(画像=aka/stock.adobe.com)

英資産運用会社大手のシュローダー(Schroders)が、世界の機関投資家の見通しや懸念、投資意識を把握することを目的として「シュローダー機関投資家調査2022」を実施し、投資家の見通しとサステナビリティに関する調査結果を発表した。

本調査は28ヵ国・地域の770の機関投資家を対象とし、今年3月に実施された。対象の機関投資家の運用資産総額は約27.5兆ドル(約3,810兆円)にのぼる。

暗号資産(仮想通貨)に関する調査では、世界の機関投資家の10%が「現在投資している」と答えており、20%が「投資していないが今後12か月間で投資を検討すると思われる」と回答するなど、関心の高さがうかがえた。

地域別で見ると、北米は6%、英国と欧州では9%であったのに対し、中南米では22%、アジア・太平洋では13%が投資を行っている。このことから、中南米やアジア・太平洋における暗号資産への関心度の高さが浮き彫りとなった。

機関投資家種別では、学校等基金が現在10%を暗号資産に投資しており、「投資していないが今後12か月間で投資を検討すると思われる」が34%にのぼった。現在投資をしているのは公的機関が20%と高く、生命保険会社が16%と続いている。公的年金は7%、企業年金は8%にのぼり、世界の年金基金もすでに暗号資産に投資していることが明らかとなった。

現在の資産の保有状況では、昨年の調査に比べ株式の比率が39%と、2ポイント減少。債権も3ポイント減少の32%となったが、コモディティーは昨年の0%から4%に増加した。

また、従来の経済的リターンの獲得に加え、社会的課題の解決を目指すインパクト投資が、ESG(環境・社会・企業統括)インテグレーションやポジティブスクリーニングと並び、サステナブル投資の重要な柱とみなされていることも明らかになったとシュローダーは指摘している。

さらに、世界の機関投資家の48%がサステナビリティを実現するために望むアプローチとしてインパクト投資を挙げた。

一方、トータルリターン見通しは後退し、今後5年間の見通しに対して、より慎重な予想が示されることとなった。懸念要因として投資家が挙げたのは、地政学的不透明性(33%)インフレ率(24%)、金利上昇(14%)であった。

今回の調査では、エネルギー移行に焦点を当てた投資ソリューションに対する需要の高まりも反映されている。世界の投資家のうち59%がエネルギー移行に伴う新たな投資機会と回答した。

シュローダーは1804年の創業以来200年以上にわたり年金基金から機関投資家、個人投資家まで世界の投資家に長期的かつ幅広い投資ソリューションを提供している。同社によれば、現在の運用資産総額は約128兆円にのぼるという。(提供:月刊暗号資産