この記事は2022年9月19日に「月刊暗号資産」で公開された「自己破産前に暗号資産で資産を隠蔽 37歳の男が逮捕」を一部編集し、転載したものです。


警視庁
(画像=キャプテンフック/stock.adobe.com)

保有する暗号資産(仮想通貨)を自己破産前に隠蔽したとして、警視庁捜査2課が破産法違反(詐欺破産)容疑で山梨県韮崎市のCGデザイナー、山中一也容疑者(37)を逮捕した。16日、産経新聞など複数社が報じた。暗号資産の隠蔽行為に同法違反容疑を適用するのは珍しいことだという。

逮捕容疑は、昨年1月、破産を申し立てる前に、国内の暗号資産取引所からアイルランドの暗号資産取引所に、ビットコイン(BTC)などの暗号資産(約600万円相当)を送り隠蔽したとしている。捜査2課によると、調べに対し山中容疑者は「少しでも財産を手元に残しておきたいと思った」と容疑を認めているという。

同容疑者は2015年3月頃までコンピューターグラフィックスを手掛ける東京の会社に勤務していたが、その後独立。退職後も、無断で会社の顧客から個人的に業務を請け負っていたようだ。

しかし、元勤務先から損害賠償請求を起こされ、その後、2020年6月に東京高裁が約3,000万円の賠償を命じたという。そこで同容疑者は昨年2月に破産申請し、賠償金の3,000万円の支払いを免れようとした。その際、破産管財人の調査で暗号資産を隠していることがわかったという。

昨年1月、破産手続きが始まる前に15回に渡り、国内で保有していたビットコインなど、9種類の暗号資産をアイルランドの取引所に移動させていた。管財人は同容疑者が保有する暗号資産を今年4月までに回収した。その価値は約1,600万円まで値上がりしていたという。

今回の摘発は暗号資産のマネーロンダリングを阻止するという当局の姿勢を表したものだ。暗号資産の隠蔽をはじめ、脱税の摘発など、今後も当局は様々な動きを見せていくものとみられる。(提供:月刊暗号資産