この記事は2022年9月21日に「月刊暗号資産」で公開された「欧州中央銀行、Amazonら5社がデジタルユーロの実験に参加と発表」を一部編集し、転載したものです。


欧州中央銀行も来年前半にテーパリングか
(画像=PIXTA)

欧州中央銀行(ECB)が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル・ユーロのプロトタイプのテストを行うため、Amazonを含む5社を選択したことを発表した。

ECBが16日に発表したところによると、参加企業は米IT大手・Amazon、イタリアの銀行・ネクシ(Nexi)、フランスの電子決済大手・ワールドライン(Worldline)、スペインの金融機関・カイシャ(Caixa)銀行、欧州決済イニシアチブ(EPI)の5社。今回のテストには54社の応募があったが、その中から選ばれたという。各社は今後、デジタル・ユーロのユーザーインターフェースのテストに参加することになる。

ECBは、「このテストはデジタル・ユーロプロジェクトの2年間の調査期間において、最重要段階となる」と説明している。さらに、「5社が開発したフロントエンドのプロトタイプを用いて、模擬取引が開始され、ユーロシステムのインターフェースと、バックエンドのインフラを通じ処理を行う」と発表で述べた。

各社の役割は、Amazonはeコマース決済、ネクシは受取人主体のPOS決済、ワールドラインはP2P(ピアツーピア)オフライン決済、カイシャ銀行はP2Pオンライン決済、EPIは支払人主体のPOS決済をそれぞれ担当する。1年前に発表されたデジタル・ユーロ市場諮問委員会では、今回選択された企業は含まれていなかった。

今回の取り組みは、ECBが調査結果を公表する2023年第1四半期に完了するという。デジタル・ユーロプロジェクトの調査期間は昨年10月に始まり、2023年に完了する予定だ。

CBDCに関してはすでにいくつかの国で導入が始まっている。また、主要国では中国がCBDC開発で先行している節があるが、欧州もデジタル・ユーロ発行に向け、動きを加速させている。

ネクシグループの最高戦略責任者であるロベルト・カタンザー(Roberto Catanzao)氏は「ネクシの最高のノウハウを提供し、欧州における決済環境に革新をもたらす」と述べた。(提供:月刊暗号資産