この記事は2022年9月26日に「月刊暗号資産」で公開された「モスクワ証券取引所がデジタル金融資産の取引を可能にする法案を策定」を一部編集し、転載したものです。


モスクワ
(画像=Kirill Skorobogatko / Shutterstock.com)

ロシアのモスクワ証券取引所(MOEX)が、デジタル金融資産(DFA)およびそれに基づく証券取引を可能とする法案を策定していることがわかった。22日、地元メディア・ヴェドモスチ(Vedomosti)が報じた。

報道によると、法案を提出する権限を保有していないロシア中央銀行に代わり、モスクワ証券取引所が法案作成を行なっているという。

同証券取引所の監督委員長であるセルゲイ・シベツォフ(Sergei Shvetsov)氏は会議の中で、「今回起案中である法案については、有価証券のようなもので取引されるDFAとDFAの証明書、両方の取引を想定して作られており、取引所、およびその子会社は規制当局に申請を行い取引所運営者としての承認を得ることを期待している」とコメントした。

また、「市場がブロックチェーンとカストディのどちらかを選択できるようになることを期待している。法案が成立した場合にはロシアの預託機関がブロックチェーン上で保管することが可能となり、顧客が原資産を必要とした場合には、発行された証明書を償還してブロックチェーン上に預けた資産を受け取ることが可能となる」とも付け加えている。

現在、この法案はロシア中央銀行で検討されているという。

ロシアにおけるデジタル資産に関連した動きが近頃活発化している。今月7日にはロシアが友好国との決済にステーブルコインを導入するためにプラットフォームを構築していることが判明した。

これに関連して、ロシア中央銀行および財務省はこれまでの方針を転換し、暗号遺産(仮想通貨)による国際決済を合法化する方向で合意したことも明らかになっている。今もなお続く経済制裁を受け、これらのデジタル資産を活用することが必要不可欠であるとの判断に至った形だ。

また、背景には欧米の動きも見え隠れする。

米ナスダックは20日、デジタルアセット事業を立ち上げ、暗号資産カストディサービスの提供を計画していることを発表した。

さらに、この他にも米国では大手金融機関による暗号資産およびデジタル資産に関連した動きが見られており、ロシアとしては欧米に先行することで、早期の独自経済圏の確立を目指したいという思惑があるものとみられる。(提供:月刊暗号資産