この記事は2022年9月30日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン、横ばいで推移 XRPは前日比10%超上昇」を一部編集し、転載したものです。
29日の米株式市場では、米長期金利が再び上昇し、主要3指数が揃って下落した。
ダウ平均は反落し、前日比458.13ドル(1.54%)安の29,225.61ドル、ハイテク株の比率が高いナスダックは前日比314.13(2.84%)安の10,737.51、S&P500は前日比78.57(2.11%)安の3,640.47で終え、年初来安値を更新した。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も3%超安で安値更新となった。
暗号資産(仮想通貨)市場もビットコイン(BTC)をはじめ一時下落に転じた。しかし記事執筆時点では値を戻しており、ビットコインは1万9,500ドル(約282万円)ほどを推移している。軒並み多くの銘柄も現時点では堅調に推移しており、米株式市場による影響はほとんどみられていない。
30日の暗号資産市場において一段高となっているのはリップル(XRP)だ。XRPは前日比で10%以上の上昇を見せており、暗号資産市場を牽引している。記事執筆時点では0.48ドル(約70円)で推移している。
XRPの有価証券問題をめぐる裁判において、米連邦地裁の判事が元米証券取引委員会(SEC)法人金融部長のウィリアム・ヒンマン(William Hinman)氏が書いた文書を公開する判決を下したことが価格上昇の背景として挙げられる。2018年6月、ヒンマン氏はスピーチの中で、「ビットコインやイーサリアム(ETH)は有価証券には当たらない」と述べていた。
今回の判決によりSECは不利な立場に置かれるとされており、リップル社が優勢との見方が強まったことが価格を押し上げた。今後、判決を踏まえたSECの対応次第では大きな価格変動につながる可能性もある。
一方で、暗号資産市場全体で見れば、米株式市場をはじめとした世界経済に左右される状況が継続することも想定される。
米調査会社ネッド・デービス・リサーチ(NDR)は29日、世界経済が98%の確率でリセッション(景気後退)に陥るとの見通しを明らかにした。
これは現在も深刻な問題となっているインフレをはじめ、利上げやロシアによるウクライナ侵攻などが起因するものだという。その上で、2023年中に厳しい世界的リセッションが起こり得ると指摘している。
しかし、米経済だけを見れば雇用市場において好調かつ失業率が低い状況にあり、消費および企業収益も堅調であるため、NDRはリセッションに陥るリスクは低いと見ているようだ。リセッションに向かう場合、現状リスク資産として扱われることが多い暗号資産にとっては厳しい局面が訪れる可能性が考えられる。
暗号資産市場において弱気とされる9月がまもなく過ぎ去る。10月はその反動を受けてか、強気相場に転じる傾向が近年強まっている。
今後の暗号資産においても、引き続き利上げやそれに伴うリセッション等の影響を受けるものみられるため、動向を注視する必要があるだろう。(提供:月刊暗号資産)