この記事は2022年10月3日に「月刊暗号資産」で公開された「岸田首相、NFT等活用した「Web3.0サービス」の利用拡大に取り組むと表明」を一部編集し、転載したものです。


Web3.0
(画像=jirsak/stock.adobe.com)

3日、臨時国会が召集され、岸田文雄首相が所信表明演説を行った。その中で、岸田首相はメタバースやNFT(非代替性トークン)を活用した「Web3.0サービス」の利用拡大に向けた取り組みを進めると表明した。

これは経済政策における「成長のための投資と改革」の部分で語られたものだ。

岸田首相は「科学技術・イノベーション」「スタートアップ」「GX(グリーントランスフォーメーション)」DX(デジタルトランスフォーメーション)」の4分野に重点を置くとし、官民の投資を加速させていくと強調。そのうちDXへの投資に関して、デジタル田園都市国家構想を推進することを目的として地方公共団体を対象に今夏行われていた「夏のDigi田甲子園」に触れた上で、Web3.0サービスの拡大について言及した形だ。

岸田首相はDXの一層の推進を掲げるほか、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進め、国民への普及のための取り組みを加速させると同時に地域でのデジタル技術の社会実装を支援していくと述べた。また、スタートアップについても2022年を「スタートアップ元年」と強調し、5年10倍増を視野に、5ヵ年計画の策定を進めるとし表明した。

岸田政権では先月30日、河野太郎デジタル大臣がデジタル庁に「Web3研究会」を設置することを発表するなど、Web3.0に関する取り組みが加速度的に進められている。河野大臣は自身のブログを通じて、「新しいデジタルサービスを日本の経済成長につなげるべく、Web3の推進に向けた環境整備、政策の推進を政府一体としてやることにしております。デジ庁がデジタル社会実現の司令塔として、このWeb3に関する政府全体の取り組みを総合調整をすることになります」と述べた。

3日に招集された臨時国会では、暗号資産(仮想通貨)のマネーロンダリング対策強化を念頭に置いた改正法案が提出される見込みだ。暗号資産交換業者に対し、顧客から預かった暗号資産を別の業者へと送付する際、氏名や住所を含む顧客情報を提供することを義務付ける。また、犯罪収益移転防止法や外為法等についても一括で改正することで、政府は暗号資産における監視体制を強化する。

今回の所信表明演説で、岸田首相は個人のリスキリング(学び直し)の支援に5年で1兆円を投じることも述べた。

今年8月には金融庁が金融教育を国家戦略として推進する金融行政方針をまとめている。今後、暗号資産やNFTといったデジタル資産についても金融教育や学び直しの重点的な対象に盛り込まれる可能性がある。(提供:月刊暗号資産