この記事は2022年10月24日に「月刊暗号資産」で公開された「欧州委員会、暗号資産関連エネルギーに言及 マイナーへの優遇措置廃止を要請へ」を一部編集し、転載したものです。


EU
(画像=Savvapanf Photo ©/stock.adobe.com)

欧州委員会は、エネルギー資源を効率的に活用するため、エネルギー分野のデジタル化に関する行動計画を発表した。

この行動計画はEUの消費者およびエネルギー関連企業のエネルギーコスト削減に重きを置いたものだ。

現在、欧州委員会はデータ共有の促進やサイバーセキュリティ強化等の行動指針を定めている。今回の発表では、今後データセンターやオンラインサービスへの需要が高まっていくことを想定し、エネルギーシステムに多くの資源が必要とされていくことを踏まえ、対策を考えていく必要性を示している。

発表の中では暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンについても触れられた。具体的には、暗号資産およびブロックチェーンをエネルギー市場や取引に活用する際、最もエネルギー効率の高いもののみを使用するよう注意喚起するというものだ。

今後の動向として、今月に入り欧州理事会で可決されたMiCA(暗号資産市場法案)に則り、暗号資産の環境および気候に関する情報開示を義務付けるほか、暗号資産市場における新技術が環境・気候へ与える影響に関する報告書を2025年までに作成する予定であると説明した。

なお、2025年までに作成される報告書では、暗号資産市場で使用される技術が気候に与える悪影響を緩和するための政策や、コンセンサスメカニズムに関する検討も盛り込まれる予定だという。

さらに、欧州委員会は現在のエネルギー危機や冬のエネルギーに関するリスクを考慮し、マイニングについても言及。エネルギー価格の高騰に対処するための理事会規則案に沿って、マイナーによる電力消費量を削減するために的を絞った措置を実施するとしたほか、一部のEU加盟国で実施されているマイナーへの減税措置やその他優遇措置を廃止するよう要請していくと述べた。

今回の発表に際し、カドリ・シムソンエネルギー(Kadri Simson)担当委員は「欧州のグリーンディールと欧州のデジタル時代に適合させることは欧州委員会において優先的な課題であり、両者は両立しながら進めていくことが可能である。エネルギーシステムを効率化し、再生可能エネルギーのシェア拡大に対応することが必要だが、そのためにはデジタルソリューションと双方向で利用できる送電網が必要だろう。今後欧州委員会の取り組みは全ての消費者に対して利益となると考えている」と述べた。

欧州グリーンディールの一環として、欧州委員会は2020年にエネルギーシステム統合のためのEU戦略を発表している。デジタルエネルギー基盤に対して支援を行うことを目的に、「エネルギーデジタル化行動計画」を採択することをコミットしていた。(提供:月刊暗号資産