「イチローズモルト」はウイスキーファンから注目を集めているジャパニーズウイスキーです。
人気銘柄で生産数が少ないので市場に出ればすぐに売り切れてしまい、希少価値が高いために定価以上に価格が高騰してしまうのが現状です。

今回は「イチローズモルト」の基本情報やラインナップと共に、気になる流通価格を紹介します。

この記事の監修者

whiskeen
(画像=「whiskeen」より引用)

柿﨑祐介

BARWHITEOAK店主。青森県出身。ウイスキーとワインをこよなく愛する。ウイスキーエキスパート、ソムリエ。バーテンダー歴11年。

「イチローズモルト」とは?種類について解説

whiskeen
(画像=出典:【創業者紹介】株式会社ベンチャーウイスキー | 公益財団法人 埼玉県産業振興公社、「whiskeen」より引用)

「イチローズモルト」は埼玉県秩父市の「秩父蒸溜所」で造られているウイスキー。
秩父蒸溜所を所有する株式会社ベンチャーウイスキーが、製造から販売までを手がけています。

「イチローズモルト」の名前の由来にもなっている肥土伊知郎(あくといちろう)氏が、株式会社ベンチャーウイスキーの創業者です。

秩父蒸溜所で造られる「イチローズモルト」は販売されるとすぐに売り切れてしまう人気銘柄ですが、大きく分けて2種類のウイスキーがあります。

ブレンデッドウイスキー海外の原酒をブレンドして造られる
シングルモルトウイスキー秩父蒸溜所で造られる

2種類のウイスキーは両方とも世界的に評価されており、「イチローズモルト」のクオリティーの高さがうかがえます。

「イチローズモルト」のブレンデッドウイスキーについて

「イチローズモルト」には、数種類のモルト原酒を使用したブレンデッドモルトウイスキーと、モルト原酒とグレーン原酒を使用したブレンデッドウイスキーの2種類があります。

「イチローズモルト」のブレンデッドウイスキーは海外の原酒を厳選し、秩父蒸溜所で樽詰めから熟成の作業を行って、オリジナルの原酒を造りブレンドします。

「イチローズモルト」ブレンデッドウイスキーの代表作は「リーフシリーズ」。
人気があり、ネットオークションやオークションサイトでもプレミア価格がついています。

「イチローズモルト」のシングルモルトウイスキーについて

「イチローズモルト」のシングルモルトウイスキーには定番ボトルがなく、限定商品のみの販売ばかりです。
さらに、人気銘柄も多くリリースされてもすぐに売り切れてしまうことから、定価での購入困難なものばかり。

そんな「イチローズモルト」のシングルモルトウイスキーは、秩父の風土を活かして造られています。
秩父は夏は高温多湿、冬は氷点下の環境で、短期間の熟成で質の良いウイスキーが製造可能です。

なお、モルト原酒は、秩父蒸溜所と現在は閉鎖されてしまった羽生蒸溜所のものだけを使用しています。

「イチローズモルト」の製造・販売元「株式会社ベンチャーウイスキー」

whiskeen
(画像=出典:【創業者紹介】株式会社ベンチャーウイスキー | 公益財団法人 埼玉県産業振興公社、「whiskeen」より引用)

株式会社ベンチャーウイスキーは、日本で初のウイスキー専業メーカーとして、2004年に肥土伊知郎氏によって作られた会社です。

もともと、肥土家は代々酒造メーカーでした。
肥土伊知郎氏の父の代に経営難に追い込まれることになり、肥土家が所有していた羽生蒸溜所のウイスキーの原酒約400樽も廃棄される運命となりました。
しかし、肥土伊知郎氏は破棄される400樽の原酒を自ら買取り、資金を集めて株式会社ベンチャーウイスキーを創業します。

2007年には秩父蒸溜所を設立。
羽生蒸溜所が閉鎖された際に廃棄される運命であった400樽が「イチローズモルト」として復活し、いまでは入手困難な人気ウイスキーとして生まれ変わったのです。

肥土伊知郎氏のウイスキー造りに対する情熱と信念が伝わってきますね。

「イチローズモルト」の生産拠点「秩父蒸溜所」について

whiskeen
(画像=出典:【創業者紹介】株式会社ベンチャーウイスキー | 公益財団法人 埼玉県産業振興公社、「whiskeen」より引用)

前述の通り、秩父蒸溜所は夏は高温多湿、冬は氷点下という厳しい環境です。
厳しい環境はウイスキー造りにおいても多大な影響を与え、秩父の風土が生むウイスキーを造り上げています。

マッシュタンとポットスチルはスコットランドのフォーサイス社から取り寄せており、発酵槽はミズナラの木桶。
スコッチの伝統的な製法をベースに秩父の環境や風土が合わさることで「イチローズモルト」の個性が生み出されます。

仕込み水は、地元の大血川(おおちがわ)渓流の軟水を使用しています。

2019年に秩父第二蒸溜所が設立され、約5倍の量のウイスキーを造れるようになったので、今後「イチローズモルト」が少しは手に入りやすくなるかもしれません。