「VOGUE GIRL」配信停止でささやかれる コンデナスト・ジャパンは大丈夫?
(画像=「セブツー」より引用)

「VOGUE GIRL(ヴォーグガール)」が5月31日を持って配信を停止する。「VOGUE GIRL」は、「VOGUE JAPAN」の増刊として2011年3月12日に創刊。「ガールのための新世代マガジン」として、年2回発行していた。しかし、2013年9月から翌年9月までの1年間、リニューアルのため休刊期間を経て、単独サイト「VOGUE GIRL」として再出発していた。そして今回の配信停止。デジタル配信をベースにしたマルチメディアカンパニーとして、コンデナスト・ジャパンは日本でも先駆的な存在であった。その中でも、この「VOGUE GIRL」は、スタート当初の挫折はあったものの、順調にPVを増やし広告を獲得していると思われた。しかし、今回の配信停止を見るとどうもそうではなかったようだ。

電子版のみの展開だから、配信停止ということは、この世からなくなることだが、ツイッターなどで読者の声を拾ってみると、「あ、やめちゃうのね」というアッケラカンとした声が多い。また何よりも「しいたけ占いはどうなるの?」という声。大人気であるしいたけ占いは、占い師のしいたけによる星座別の週間占いだ。このしいたけ氏は、早大大学院政治学研究科修了で哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。「しいたけ」という名前の由来は唯一苦手な食べ物がしいたけであり、それを克服したかったからだそうだ。「VOGUE GIRL」で占いもよいが、今後はウクライナ戦争の行方でも占ってみてはどうか。PV獲得のための占いというサブコンテンツが最大人気コンテンツになるというのも困ったものである。

今回の配信停止に関する卓見としては、「いまやVOGUEをGIRLが読む時代になったから、ですよ」というのがあった。スタートから12年も経てば、読者はもうアラサーである。世代交代がうまくいかなかったのかもしれない。

最近では、コンデナスト・ジャパンの雑誌「GQ JAPAN」でヘッド・オブ・エディトリアル・コンテスト(従来で言うところの編集長)を2021年12月以来務めていた新堀哲が、1年も続かず2022年11月7日付で同社を退職するなど、同社をとりまく環境の厳しさを感じさせる「事件」が続いている。

気になって配信停止の「VOGUE GIRL」のスタッフリストを見ると、「VOGUE JAPAN」とヘッド・オブ・エディトリアル・コンテストを兼務するティファニー・ゴドイ以下、櫻木裕之発行人まで実に60人が名前を連ねている。兼務も多いとは思うが、すごい大所帯であり、この媒体がこの世からなくなると思うとゾッとしてしまう。紙媒体は廃刊という言葉を使わずに休刊と記すのが慣わしだ。ひょんなことから復刊する例がないとは言えないからだ。しかし、電子版では配信停止が復活した例はあるのだろうか。この10年間、出版の世界ではデジタルシフトがメインテーマになって、マルチメディアカンパニーを標榜する出版社も少なくない。しかし、どうやらそのマルチメディアカンパニーにもすでに淘汰の波が近付いているようである。