「日本のウイスキーの父」と呼ばれる、竹鶴政孝氏のこだわりが詰め込まれた余市蒸留所。余市蒸留所で作られたシングルモルトウイスキー「余市」は、国内外から人気を集める銘柄です。今回は、そんな余市の基本情報や種類、入手方法などを紹介します。
ウイスキー「余市」とは
ニッカウヰスキーが製造・販売している、シングルモルトウイスキーの代表銘柄の一つ「余市」。
創業者・竹鶴政孝氏が設立した余市蒸留所の原酒のみを使用した余市は、本場スコットランドのウイスキー造りに忠実で、国産ウイスキーの中では珍しいピートがしっかりと効いたソルティなタイプ。樽へのこだわりも強く、バニラ香やシェリー樽による濃厚なフレーバーなど複雑みもあり、国内外のウイスキーファンから人気の高い銘柄です。
2014年に放送されたNHK連続ドラマ小説「マッサン」やハイボール需要の増加により、2015年には年数表記のないボトルのノンエイジ以外は終売し入手難易度が一気に高まりました。
2022年には7年ぶりに「シングルモルト余市 10年」が発売。日本国内では9,000本の限定リリースで、参考小売価格は8,000円程度とされていましたが、2023年3月時点ではAmazonや楽天市場などのショップで4万円以上の高値で取引されています。
余市ウイスキーの魅力
余市蒸留所は、「日本のウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴氏のこだわりが詰め込まれた蒸留所で、その中でも石炭直火による蒸留にこだわっています。
石炭直火による蒸留は、竹鶴氏が修行していた当時のスコットランドでよく行われていました。ところが、余市蒸留所以外で今でも石炭直火を行っている蒸留所は広く世界を見渡してもありません 。その点、余市は世界中でも稀有な蒸留所で製造されたウイスキーと言えます。
「日本のウイスキーの父」竹鶴政孝氏について
竹鶴政孝は、自分の信念にまっすぐな性格を持ちつつ、新しい文化や先進的な考えを受け入れるオープンな方でした。柔軟性にあふれ、既成概念にとらわれない発想は彼の強みと言えるでしょう。
造り酒屋の息子である竹鶴氏は、酒造りに深いこだわりと情熱を持っていました。余市蒸留所は竹鶴氏がサントリーを退社し、独立した際に建てた蒸留所です。日本国内で本場スコットランドのウイスキー造りを忠実に再現できる場所を求め、辿り着いた場所が北海道・余市でした。
妻はスコットランド人の竹鶴リタで、テレビドラマでも描かれていたように仲睦まじくウイスキー造りに取り組んでいました。
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余市ウイスキーを入手する方法
シングルモルト余市の年数表記があるボトルは、入手困難な状況が続いております。現在、余市を入手するには、以下で紹介する3つの方法が挙げられます。
AmazonなどのECサイト
Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECサイトでは、今も年数表記のある余市を入手することが可能です。ところが、そのほとんどがプレ値。余市12年を例に挙げても発売当初は6,000円前後でしたが、現在は約10万円と15倍以上の値をつけています。
ごくまれに抽選販売が行われ、定価に近い価格で手に入ることもあるので、定期的に情報をチェックしてみるといいでしょう。
百貨店・酒販店
マルイ、三越など大手百貨店やビックカメラ、カクヤス、酒のやまや、リカーマウンテンなど、広く店舗展開している酒販店で余市が置いてあることがあります。時には、抽選販売などのイベントが実施され、定価で手に入れることができる場合も。
また、手に入る確率は低いものの、昔ながらの小さな酒販店に余市の限定ボトルや終売になってしまったボトルが置いてある場合もあります。
オークションサイト
限定ボトルや終売になってしまった年数表記がある余市を手に入れるポピュラーな方法としては、オークションが有力です。海外サイトではサザビーズ、国内ではYahoo!オークションやシンワオークションなどで余市が出品されています。
一点、気をつけたいことは、慎重に真贋を見定めること。オークションサイトをチェックすると「余市ウイスキーの空瓶」が販売されていることがあります。過去には、空瓶に別の銘柄のウイスキーを入れてオークションに出品するという、悪質な事件がありました。
信頼できる出品者かどうかを見定め、商品が届いたらすぐに品物に問題がないかをチェックすることが重要です。
ウイスキー「余市」のオークション価格
限定品や年数表記のある余市ウイスキーは、世界的に権威のあるオークションで取引されています。例えば、上記で紹介した「余市20年」は海外オークションのサザビーズでは2万香港ドル(約33万6,000円)で落札。国内オークションのシンワオークションでは「シングルモルト余市リミテッドエディション2019」が約58万円で落札されました。
他にも、数量限定で販売された「シングルモルト余市1986」は、Yahoo!オークションで約82万円での落札実績があります 。余市の限定ボトルや終売ボトルは、高値で取引されやすい銘柄と言えるでしょう。
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価値あるウイスキー「余市」おすすめ銘柄6選
蒸留所限定ボトルやリミテッドボトルも含めて、数多くの銘柄をリリースしているウイスキー余市。中でも、特に余市の魅力がわかりやすいおすすめの銘柄を6つ紹介します。
シングルモルト余市
余市蒸留所が市販するボトルの中では、最もスタンダードなボトルが「シングルモルト 余市」です。年数表記のないボトルを「ノンエイジ」と呼びますが、2023年3月時点で一般販売している「シングルモルト余市」は、ノンエイジのみとなっています。
余市は、ソルティでピートの効いた少し個性的な味わいですが、力強さと繊細さを兼ね揃えた絶妙なバランスを持ち合わせています。ストレートやロックはもちろん、ハイボールなど飲み方を選ばずに楽しめることが魅力です。
シングルモルト余市10年
力強いトースト香やソルティさ、ピートのスモーキーな余韻はそのままに、熟成を重ねたことにより、バナナや洋梨のような味わいも感じられる「シングルモルト余市10年」。
複雑なコクのある味わいとスモーキーさ、甘美なフルーティさが見事に調和した一本で、長くふくよかな余韻が楽しめます。
余市10年は、2015年に一度終売。2022年には、国内向けに9000本限定でリリースされました。
シングルモルト余市12年
余市蒸留所のなかでも12年以上熟成された原酒のみを使用した一本です。余市10年に比べると熟成によるフルーティさが強く、スモーキーさやソルティさがややマイルド。
穀物系の優しい甘みに程よい熟成感。熟したバナナや洋梨、リンゴのような果実味、そしてアクセント程度のスモーキーさとソルティさ。程よくすべての味わいを兼ねそろえたバランスのいいボトルと言えます。
余市12年も2015年に終売となり、現在再販の予定はありません。
シングルモルト余市15年
15年以上熟成された余市蒸留所の原酒だけを使用したボトルで、2015年に終売となる前までは一般販売されていました。
余市12年のバランスの良さをより強調させたような一本で、熟成感はもちろん、フルーティさ・スモーキーさ・ソルティさ・穀物感など、全体的にフレーバーがしっかりと感じられます。
バランスの良さと深みのある複雑な味わいから、余市ファンの中では特に人気の高い銘柄です。
シングルモルト余市20年
シングルモルト余市のラインナップでは最も熟成年数の長いボトルで、20年以上熟成された希少な原酒だけを使用しています。現在は原酒不足のため終売となってしまいましたが、余市ファンから再販が期待されているボトルです。
味わいもまさに頂点と呼ぶべき圧倒的な芳香と熟成感、そして蜜のような円熟したエレガントな味わいを持ち合わせています。
ソルティさやスモーキーさはマイルドになっているものの、甘美なフルーティさの陰からアクセントとしてかすかに感じられます。
シングルモルト余市 リミテッドエディション2019
余市の姉妹蒸留所となる「宮城峡蒸留所」。2019年にその50周年を記念して「シングルモルト余市 リミテッドエディション2019」がリリースされました。ホテルやBARなどの業務用市場を中心に販売され、発売当時の参考小売価格は30万円。
1960年代・1970年代・1980年代・1990年代・2000年代と5つの年代の原酒がブレンドされていて、力強い余市の味わいにビターチョコ、香ばしい麦、バニラの香り、ピートのスモーキーな余韻が続きます。
黒いボトルはフロスト加工され、黒いラベルに白いロゴと高級感のあるデザインです。
まとめ
日本のウイスキーの父と呼ばれる“竹鶴政孝”のこだわりが詰め込まれた、シングルモルトウイスキー余市。世界的にも稀有な「石炭による蒸留」が採用されて、スモーキーでソルティな個性と繊細さがある唯一無二のウイスキーです。
年数表記のある余市は終売となり、現在はオークションを中心に高値で落札されています。価値ある余市ウイスキーの投資を検討してみるのはいかがでしょうか。
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