アマナの株価が冴えない。5月16日は475円で始まったが大量の売りが出て35円安の440円で終わった。
フリーランスカメラマンだった進藤博信氏が1979年に設立したアマナはビジュアル制作で国内最大のシェアを持ち、卓越したビジュアルセンスを持つ広告制作会社として注目された。1997年にはストックフォト事業3位だったカメラ東京サービスと合併し現在のアマナに社名変更。広告制作とストックフォト事業の両輪でニュータイプ企業として注目され、2004年には東証マザーズ(現東証グロース)に上場し同年7月2日には6760円を付けた。現在の15倍の株価である。一体、何があったのか?
2015年にイエローコーナー及びカルチュア・コンビニエンス・クラブと3社共同出資でアートフォト販売事業のイエローコーナージャパンを設立。2018年には新しい広告フォーマットの開発を目的としてサイバーエージェントと合弁会社Ca Designを設立するなど着々と業容を広げていった。
しかし、2018年に上海の海外連結子会社で人件費・外注費などで不正会計が発覚した。さらに2020年から連結子会社のアマナデザインで売上高の架空計上が発覚。2020年12月期には24億6700万円の最終赤字を計上し、8億200万円の債務超過に陥る。東京証券取引所から上場廃止に係る猶予期間入り銘柄の指定を受ける。
このためコクヨと資本業務提携。第三者割当増資をコクヨ、寺田倉庫に対して行い10億5500万円を調達し、なんとか債務超過を脱却した。
2022年には、ストックフォト事業のアマナイメージの全株式をNumazawa Iizuka, and Nagai for Kimberleyに約20億円で売却し特別利益を捻出している。
しかし再び2022年12月、2023年1月に連続して不正取引が発覚し、再び債務超過に陥っている。
2022年12月に社内の不正取引が発覚したため、5月16日現在でも2022年12月期決算の発表が行われていない始末だ。またこの記事の冒頭で株価急落を紹介した5月16には、2023年1月の不正取引発覚のため第1四半期(2023年1月1日~2023年3月31日)決算発表の延長が承認され6月7日を提出期限にするという発表があった。
これだけ不正取引が蔓延して決算すら行われないのであるから、上場会社としての体をなしていないのである。言ってみれば大スキャンダルである。進藤社長は責任をとって潔く辞任すべきだろう。大投資家のウォーレン・バフェットの名言がある。「天災は買い、不祥事は売り」。これではアマナ株は売られるわけである。