独自の方法で割安成長株を見つけ出し、確信をもって長期投資するはっしゃん氏。実際の売買においても、独自のルールを設定し、徹底して自らに課しているという。そのルールとは「利大損小」と「1円損切り」だ。長期投資のみで3億を超える資産を築いたはっしゃん氏の2つの投資ルールについて解説する。あわせて、いま注目しているセクターや銘柄、今後の相場見通しについてもお届けしよう。
勝ち組投資家が実践する必勝ルール「利大損小」とは
――著書『「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法 投資家VTuberはっしゃんが綿密なリサーチから導き出した「誰でもできる」3ステップ投資術』には、10倍株を狙うためには「利大損小」が必勝ルールだとありました。
「利大損小ルール」は、賢い投資の戦略として知られています。この戦略の核心は、企業が成長し続け、理論株価が上昇する銘柄については、その成長が止まるまで保有し続けることです。
一方で、購入してからのパフォーマンスが良くなく、含み損が発生してしまった銘柄は、迅速に売却することを基本としています。このようなアプローチは、右肩上がりの銘柄には長期間投資をし、含み損が発生した場合、購入判断が誤っていた可能性が高いため、早めの損切りを実施しています。
――長期投資と聞くと、購入した銘柄を長期間、保有し続けるイメージでしたが、正しくは「好業績で株価が上昇し続ける銘柄」を長期保有するということですね。企業分析による投資判断が間違ったと思ったら、すぐに売却も辞さないと。
私が知る範囲では、成功している投資家はこの「利大損小の戦略」を無意識に採用しています。彼らのポートフォリオは、ほとんどが含み益の銘柄で占められています。
逆に、成功を収められていない投資家は、多くの銘柄が含み損となっていることが多いようです。ですから、この戦略を実践し、持ち株の品質を向上させることで、目指すべきは「含み損のない投資家」になることです。
――はっしゃんさんの売却タイミングは、どんなときでしょうか
売却タイミングは主に「利益確定」と「損切り」の2つがあります。
理論的には利益確定を早々には行わず、株価の上昇を見守るのが理想的です。しかし、経験則として、理論株価の動きが右肩下がりになり、企業の将来に疑念が生じた場合や、株価が理論株価の2倍以上まで急騰し、その後20%以上の下落が見られた場合は、利益確定のため売却を検討するのが賢明です。
投資した企業の株価が買値から2倍以上に上昇した場合、「恩株」としてその半分を売却して、残りの株は持ち続けることを検討してもよいでしょう。これなら、一部の利益を確保しつつ元本を回収できますから、その資金を新しい有望な銘柄への投資に活用することも可能です。
損切りについては、「1円損切りルール」を取り入れています。これは、購入した株の終値が買値を下回った翌日すぐに売却するというもの。これにより、損失を最小限にとどめることができます。
これらの売却戦略を組み合わせることで、リスクを適切に管理しながら、資産を増やしていくことが期待できます。
割安成長株への長期投資における「1円損切りルール」とは
――買値を下回ったら翌日に売却する「1円損切りルール」は、厳しくありませんか?
このルールを使う前提条件として、購入時期は「決算発表の前後」を想定しています。決算インパクトと株価の方向性を予想し、戦略が当たった銘柄は長期保有し、外れたら銘柄はすぐに売却をします。あくまで、良い銘柄を長期で保有するということです。
会社四季報は、企業の決算発表のおおよそ1ヵ月前に発売されることが多いため、決算発表前に投資対象をリストアップします。決算期間は株価の動きが活発になるタイミングであり、とくに好決算が出れば割安評価の銘柄の株価は上昇する確率が増します。また、好決算でも材料出し尽くしで売却されることもあるため、逆のシナリオも考えられます。
――「決算前」と「決算後」にエントリーする違いはどこにありますか?