この記事は2024年2月12日に青潮出版株式会社の株主手帳で公開された「ソフト99コーポレーション【4464・スタンダード】カーケア用品のパイオニア」を一部編集し、転載したものです。


今中計は業務用販売強化に取り組む
最終年度営業利益率11.9%目標

ソフト99コーポレーションは、1954年創業のケミカル用品メーカーだ。主力のカーケア用品においては業界の草分け的存在だが、近年では半導体や医療などの産業分野にも進出している。同社ではコロナ禍による特需を追い風に、22年3月期に過去最高売上を更新。前中計の21年~23年3月期は年平均7.3%の成長率で売上を拡大した。23年4月からは第7期中期経営計画「Evolve!!」が始動している。前中計の振り返り、新中計に基づいた今後の展望について、田中秀明社長に話を聞いた。

▼田中 秀明 社長

ソフト99コーポレーション【4464・スタンダード】カーケア用品のパイオニア
(画像=株主手帳)

カーケア用品が売上約5割
半導体や医療分野にも進出

1954年、高価な外国製ワックスしか出回っていなかった時代に、国産の自動車用ワックスを誕生させたのがソフト99の始まりである。その後もカーシャンプー、コーティング剤、補修スプレー塗料など、カーケア用品の草分けとなる製品を開発。2000年以降はM&Aなどにより事業領域を拡大し、収益の多様化・多層化を進めた。

現在のセグメントは、売上の49・7%を占めるファインケミカル、同27・4%のポーラスマテリアル、同22・9%のサービス・不動産関連で構成される(24年3月期第2四半期累計実績)。

主力のファインケミカルでは、一般消費者向けの自動車ボディ・ガラスケア・リペア製品を中心に、新車・中古車ディーラーなどを対象とした業務用や、海外向け、メガネケアなどの家庭用、自販機の外装コーティングをはじめ交通運輸・清掃業界に向けた産業用製品を販売している。最先端のケミカル原料を使った配合テクノロジーによる、機能性薄膜造膜技術がコア技術だ。

ポーラスマテリアルでは、PVAスポンジによる液体吸水技術を基軸に、半導体・液晶・HDD製造装置の消耗部材、医療機器の部材など、産業資材分野に展開。同事業では医療分野を次の柱に育てるべく注力しており、20年には医療用品のファブレスメーカーをグループ会社化した。また自動車・家庭用・ペット用などの生活資材も販売している。

サービスではファインケミカルとのシナジーを想定した付帯事業として運営する自動車整備・板金事業、自動車教習所運営のほか、生活用品の企画販売を行う。また不動産関連では不動産賃貸、温浴施設運営、介護予防支援事業を運営している。

国内外の大手企業を顧客に
世界32カ国へ機器を納入

同社では23年3月期に第6次中期経営計画「Overtake!!」が最終年度を迎えた。売上高は年平均7・3%の成長を遂げ、2期目の22年3月期にはコロナ禍の特需を受けて過去最高売上を更新。23年3月期の売上高も好調で前期比6・1%増の301億7000万円、営業利益も当初の計画を上回り32億5600万円で着地した。

「前中計は、実はもともと狙っていた施策とは展開が大きく異なる3年間でした。カーシェアリングや自動運転により、車と人との関係性が変わっていく中で、当初は業務用の売上を拡大する戦略を立てていました。しかしコロナ禍でディーラーは店を閉め、2年目からは新車が世に出回らなくなり、業務用は苦戦しました。一方、巣籠もり消費で一般向け製品が想定外に伸長しました」(田中秀明社長)

今期からは、第7次中期経営計画「Evolve!!」が始動している。新中計では、最終年度の26年3月期に売上高317億円、営業利益37億8000万円、営業利益率11・9%を目指す。

ファインケミカルを3ヵ年の成長ドライバーとしており、同事業の売上高は23年3月期比9億1000万円増、セグメント利益同8億7000万円増が目標。原材料上昇に伴い値上げを実施し、正当な対価に戻すことで利益率も向上させる。

「当社では、『未来のあたりまえ』となる製品・サービスの創出を目指してきました。新中計も、お客様へ感動や驚きを与える『提供価値』を切り口に考えています。サービス強化や新しい価値提供により、前回できなかった業務用の売上拡大にもう一度しっかり取り組んでいく。また海外での製品展開拡大や戦略強化、現地工場建設も予定しています」(同氏)

ポーラスマテリアルの売上高目標は同6億4000万円増。新中計では、50億円の設備投資計画のうち同事業への投資に重きを置く。特に医療分野の強化を重視しており、昨年新設した工場への生産設備投入に6億円、生産設備更新・増強に12億円を投資する。

前中計から継続して重視している経営指標として、「効率性指標:ROA・ROE・ROIC」(※)が挙げられる。新中計では継続的に想定資本コスト6・0%を上回りつつ、最終年度にROA6・1%(23年3月期は5・7%)、ROE4・9%(同4・0%)、ROIC8・1%(同7・1%)を目指す。将来的には、経営効率改善を伴う事業規模拡大によってROA10%、ROE8%、ROIC18%を目指す考えだ。

同社では11期連続で増配を継続中である。株主還元ポリシーは前中計を踏襲し、今回も「安定的・継続的な配当」「連結営業利益の25%」。今期は70期・7次中計スタートを記念し、普通配当38円に加えて7%(3円)の記念配を上乗せし、中計期間中に7億円程度の自己株式取得を予定している。

※ROA/総資産利益率、ROE/自己資本比率、ROIC/投下資本利益率
ソフト99コーポレーション【4464・スタンダード】カーケア用品のパイオニア
(画像=株主手帳)

2023年3月期 連結業績

売上高301億7,000万円6.1%増
営業利益32億5,600万円13.4%減
経常利益34億4,000万円13.2%減
当期純利益20億6,300万円25.1%減

2024年3月期 連結業績予想

売上高300億円0.6%減
営業利益32億7,000万円0.4%増
経常利益34億5,000万円0.3%増
当期純利益24億円16.3%増

※株主手帳24年2月号発売日時点

田中 秀明 社長
Profile◉田中 秀明 社長(たなか・ひであき)
1971年生まれ。大学卒業後、外資系のトイレタリー企業を経て、96年にソフト99に入社。2002年商品開発室長、08年取締役経営企画室長を経て、13年に代表取締役社長に就任(現任)