総括
FX「2月月間MVP、年間2位でドルを追う、次の焦点は2月CPI、格付けと問題点」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.5-9.0
(ポイント)
*2月月間最強通貨、年初来で12通貨中2位
*メキシコ中銀、四半期報告書で慎重な姿勢
*次の焦点は3月7日の2月全体の消費者物価
*メキシコの格付は
*米政府、メキシコからの中国車輸入を阻止か
*昨年来の高値更新8.828、次の目標は2008年10月の9.753
*メキシコ中銀の次回政策金利決定は3月21日、FOMCは前日の20日
*対ドル17.0を抜けない(ペソ高方向へ)
*消費者物価は小刻みに低下
*4Q・GDPは伸び鈍化
*メキシコ大統領の議員定数の大幅削減案に不満の声
*中国BYDもメキシコ進出か
*対米輸出が中国を抜いて世界一
*郷里送金も記録的な伸びが続く
*2023年のGDPは前年比3.1%増加、IMFの2024年成長見通しは2.7%
*気になるのは財政支出拡大と財政赤字拡大
*メキシコ初の女性大統領を目指す選挙選(6/2)
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり
(月間MVP、年間2位、2年連続MVPは伊達じゃない)
ペソは2月最強通貨となった。週間でもここまで最強。年初来では12通貨中2位、対円では8.79で5.9%高。今月は現在値8.79で3.17%高、ここまで最強通貨だ。ただ対ドルでは1ドル17.0を抜けきれない。現在は17.0637。17.0をドル安方向に抜ければ、2年連続の実績のある最強通貨に復活するだろう。10年国債9.50%、株価指数は年初来3.44%安。
(メキシコ中銀、四半期報告書、慎重な姿勢)
ロドリゲス総裁は四半期報告書の説明で、中銀は向こう数回の金融政策決定会合で政策金利を調節する可能性について検証すると表明。だが「マクロ経済環境によって政策金利を調節できる局面でも、背景にある課題を考慮すると、調整は緩やかになるだろう」と述べた。
中銀は昨年3月に歴史的な金融引き締めサイクルを休止して以降、政策金利を11.25%に据え置いている。
ボルハ副総裁は「われわれは依然として極めて慎重になる必要がある」と強調した。
またヒース副総裁は、時期尚早の利下げは「大きな過ちになる」と指摘。「インフレは今なお根強く高止まりしており、減退しそうにない。特にサービス部門のインフレが最も懸念される」と語った。
中銀は四半期報告書で、今年の総合インフレ率とコアインフレ率の見通しをいずれも3.5%に小幅上方修正。ディスインフレは続くと予想する一方、状況は「複雑かつ不確実な環境下で進展し続ける」と付け加えた。
今年の経済成長率見通しは従来の3.0%から2.8%に引き下げた。
(次の焦点)
次の焦点は3月7日の2月全体の消費者物価となる。3月には中銀が示唆している通り小幅の利下げが議論されるかもしれない。米国の利下げが2Q、3Qに後ろ倒しになれば、米墨金利差縮小でペソはやや弱含むことも想定しておきたいが、米国もいずれ利下げに踏み込んでくるので、ペソの下げも短命だろう。
(メキシコ格付確認と注意事項)
ペソも時折、様々な要因で下落する場面もあるが、他の高金利通貨と違って回復も早い。それはメキシコの信用力だろう。国債格付けが、「BBB」以上の投資適格だからだ(S&PがBBB、ムーディーズがBaa2)。機関投資家は投資適格の国の債券を選ぶ。「BB」格付け以下の投機的な格付けの国には二の足を踏む。格付けを決定する要件は財政状況だ。基礎的財政収支、経済成長率、財政政策などから判断される。メキシコの現在の財政状況は、ロペスオブラドール大統領がインフラ整備を進め、貧困層への支援も手厚くし、ペメックスなど借金の大きい公営企業を援助したことで財政赤字が拡大している。次期大統領有力候補のシェインバウム氏も同じ路線の政策をとる見込みなので今後の財政赤字拡大が心配だ。格付け会社が注視している。
(ニアショアリングが財政赤字を改善出来るか)
ただ、ニアショアリング政策の拡大で海外からの投資が増加し、メキシコ経済が繁栄すれば税収も増加し財政状況は改善する。既にニアショアリングの好影響は米国の最大輸入相手国が中国を抜いてメキシコになったことに現れてきた。2024年に入っても独VW、アマゾン、中国BYDなどがメキシコでの事業拡大や工場進出を進めている。
(直近の指標、マチマチ)
4Q経常収支は116.62億ドルの黒字、3Qの9.08億ドルの黒字を大きく上回った
1月貿易収支は43.15億ドルの赤字、前月は42.42億ドルの黒字
1月失業率は2.9%、前月の2.6%から悪化
明日は2月企業品来館指数と2月製造業PMIの発表がある。
テクニカル分析
横ばい推移から小反落
日足、2月26日-27日の上昇ラインを下抜く。2月5日-29日の上昇ラインがサポート。2008年10月6日-2024年2月28日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向く、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ上限へ上昇。2月5日週-12日週の上昇ラインを下抜く。1月1日週-29日週の上昇ラインがサポート。2008年10月6日週-2024年2月19日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、23年7月からの山なり状態を上抜いた。12月-1月の上昇ラインがサポート。2008年8月-2023年11月の下降ラインを上抜く。
年足、23年で3年連続陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。22年-23年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
米政府、メキシコからの中国車輸入を阻止か
米国の自動車業界団体である米自動車工業会(AAM)は、米政府は低コストの中国の自動車・部品のメキシコからの輸入を阻止すべきだと訴え、これは米国メーカーの存続を脅かす恐れがある問題だと警鐘を鳴らした。
中国に本社を置く企業がメキシコで生産した自動車と部品が、USMCA自由貿易協定の恩恵を享受できないように、米国は取り組まなければならないと主張した。
この問題は、中国のEV大手BYDがメキシコでの工場開設を計画しているとの報道を受け、関心が高まった。低価格モデルで知られるBYDは車種を増やしており、このほど販売台数で米テスラを抜いて世界最大のEVメーカーとなった。