京成電鉄<9009>が保有するオリエンタルランド<4661>株を801億円で売却する。同社はオリエンタルランド株の22.15%を保有しており、今回は1%を手放した。京成に出資するアクティビストからの要請を受けての措置だ。もし同社が全保有株を売却するとどうなるのか?
一気に保有株を放出すれば年商の7年分以上
京成は自社に1.60%出資するアクティビスト(物言う株主)からオリエントランド株の保有比率を15%未満に圧縮し、その売却益で設備投資と株主還元に充てるよう要求していた。
京成は今回の株式売却益の⼀部を特別配当として還元。2024年3⽉期の期末配当を直近予想の普通配当1株当たり13円00銭に特別配当8円00銭を加えて同21円00銭に引き上げ、年間配当⾦を同34円00銭とする。
では、もし京成が保有する全オリエンタルランド株を売却するとどうなるのか。株式売却後の保有株式数は3億4674万7000株、7日終値の5169円で売却すれば、総額1兆7923億円となる。京成の2023年度連結売上高は2523億3800万円だったので、同社年商の7年分以上に相当する。京成にとっては巨大な財源なのだ。
とは言え、簡単に手放せるわけではない。まずは配当だ。京成はオリエンタルランドから年間約138億7000万円もの配当金を得ている。さらにオリエンタルランドは持ち分法適⽤関連会社であり、京成の2023年3月期最終利益で170億7500万円分を貢献している。これは京成の最終利益(269億2900万円)の63.41%に当たる。オリエンタルランド株を全て放出すれば、巨大な収益源を失うことになる。
京成かオリエンタルランドが経営危機にでも陥らない限り、京成のオリエンタルランド株売却は極めてスローペースで実施されることになるだろう。
文:M&A Online