北越と大王製紙が急接近
北越コーポは、持ち分適用関連適用会社としながら規模で勝る大王製紙をコントロールできず、むしろ路線対立を深めるばかりだったので、業界内で犬猿の仲とも言われてきた。ところが今年5月、両社は生産技術や原料調達、物流面などに関する業務提携を発表した。
その背中を押したとみられるのが他でもない大王海運。“敵の敵は味方”というわけだ。
北越コーポはかつての北越製紙時代、業界トップの王子製紙(現王子ホールディングス)による敵対的買収を阻止した過去を持つ。日本のM&A史に刻まれる2006年の「北越製紙対王子製紙事件」だ。
それまでも小ぶりの敵対的買収案件はあったが、国内大手企業同士では初めてとあって、経済界を揺るがすニュースとなった。北越は三菱商事などを引受先とする新株発行を強行するなどして、王子に対抗した。大王製紙も安定株主として北越をバックアップした。
この事件の2年後の2008年、三菱商事出身の岸本氏が社長に昇格し、今日にいたる。紀州製紙との経営統合などを経て、2018年に現在の北越コーポレーションに社名を変更した。
文:M&A Online