喫茶店の「喫茶室ルノアール」などを展開する銀座ルノアール<9853>と、「椿屋珈琲」などを展開する東和フードサービス<3329>の中堅喫茶店の業績が回復してきた。

両社はともにコロナ禍で大きなダメージを受けたが、銀座ルノアールは2024年3月期の営業損益が黒字化し、東和フードサービスは2024年4月期に2期連続の営業黒字を確保できる見込み。

仕事の合間に、ほっと一息つける喫茶店に、ようやく落ち着きが戻ってきたようだ。

4期ぶりの営業黒字に

銀座ルノアールが2024年2月に発表した2024年3月期第3四半期決算で、通期の業績予想である売上高74億1500万円(前年度比21.1%増)、営業利益8300万円(前年度は4億1400万円の赤字)を据え置いた。

同第3四半期時点で売上高は23.5%の増収で、営業利益も900万円(前年同期は3億5200万円の赤字)の黒字を確保しており、通期目標を達成できる可能性は高そうだ。

実現すれば2020年3月期以来4期ぶりの営業黒字となる。

M&A Online

(画像=2024/3は予想、「M&A Online」より引用)

2期連続の営業黒字に

一方、東和フードサービスも2024年2月に発表した2024年4月期第3四半期決算で、同第2四半期時に上方修正した通期予想の売上高122億円(同12.5%増)、営業利益8億6000万円(同39.9%増)を据え置いた。

同第3四半期は16.1%の増収、87.8%の営業増益と、通期を上回る伸び率となっており、2期連続の営業黒字はほぼ確実といえそう。

同社は2021年4月期、2022年4月期に2期連続で営業赤字に陥っていたが、2024年4月期の売上高と営業利益はコロナ禍前の2019年4月期(売上高113億500万円、営業利益4億8700万円)をそろって上回る見込みで、次第に日常が当たり前になりつつある。

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(画像=2024/4は予想、「M&A Online」より引用)

大手も好調に推移

カフェ業界は大手企業で業績の回復が鮮明になっており、「ドトール」などを運営するドトール・日レスホールディングス<3087>によると、ドトールの部門利益が前年同期の3倍ほどで推移している。

また「サンマルクカフェ」などを展開するサンマルクホールディングス<3395>は、2024年3月期の売上高は630億円(前年度比8.9%増)に、営業利益は20億円(同8.34倍)を見込んでいる。

「コメダ珈琲店」などを運営するコメダホールディングス<3543>も、2024年2月期に売上高425億円(同12.3%増)、営業利益87億円(同8.4%増)の増収増益を見込む。

日本フードサービス協会によると2023年の喫茶業界の売上高は前年比120.6%で、客数(前年比109.3%)、客単価(同110.4%)ともに10%前後の伸びとなった。

ただ、コロナ禍前の2019年と比較すると売上高は96.2%に留まっている。店舗数も93.7%と減少しており、コロナ禍の中で倒産や休廃業が多く発生したことがうかがえる。

文:M&A Online