帝国データバンクが1月28日、全国約2万7000社を対象にしたM&Aに関する企業意識調査の結果を発表した。調査によると、今後5年以内に「M&Aに関わる可能性がある」と回答した企業は29.2%で、前回2019年の調査から6.7%減少した。一方、今後5年以内に「M&Aに関わる可能性がない」とする企業は50.5%と前回に比べ11.5%増えた。調査は2019年に続いて2回目。

調査では、M&A実施時において重視するポイントについても明らかになった。買い手は「金額の折り合い」(79.7%)、「財務状況」(73.0%)を重視する一方、売り手側は「従業員の待遇」(78.7%)を最重視。立場による優先事項の違いが浮き彫りになった。

また、M&Aの相談先としては「メインバンク」(53.0%)がトップとなり、「税理士事務所」(35.1%)、「M&A仲介業者」(22.2%)が続いた。公的機関への相談は15.2%にとどまった。

過去5年間で(2019-2024年)でM&Aを実施した企業は調査した全体の11.1%だった。規模別でみると、大企業が25.5%の一方、中小企業は8.4%と規模間で大きな差が見られた。業界別では、金融(17.6%)が最多で、農・林・水産(5.1%)で最小だった。

また、近年の不適切なM&A事案を受け、約6割の企業が規制強化の必要性を感じていることも判明した。M&A仲介業者の公平性や悪質な買収に対する懸念の声が多く寄せられた。