2025年も後半戦に入った7月。上場企業による資本業務提携の動きはどうだったのか。主な案件をピックアップし、その狙いなどを探った。
HubbleとThai lawyer.comに出資
7月中、2件の資本業務提携を発表したのは弁護士ドットコム。同社は弁護士向け営業支援と、一般向け法律相談サイト「弁護士ドットコム」の運営を経営の両輪とする。
資本業務提携先は、生成AI(人工知能)の活用で契約業務を効率化するクラウドサービス「Hubble」を展開するHubble(東京都渋谷区)。同サービスを使えば、契約書の作成から社内のやりとり、締結後の合意文書などを一元管理できる。
弁護士ドットコムは契約関連サービスやリーガルリサーチ(法令・判例、ガイドラインなどの調査)サービスなど、法務領域に特化したマルチプロダクト戦略を推進しており、その一環。
もう1つは、タイで弁護士紹介サイトを運営するThai lawyer.com(福岡市)への出資。新興国での法律サービスを拡充する狙いだ。
ソフトウエアテスト事業のSHIFTは、電子書籍取り次ぎ最大手のメディアドゥに3.08%出資した。出資額は約8億1000万円。
マンガをはじめ、さまざまな日本由来コンテンツの海外需要が高まる中、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した流通活性化を推し進める狙い。具体的には海外での出版コンテンツ、翻訳、IP(知的財産権)ビジネス強化に向けた協業などを予定する。
ライフネット生命、約30億円の増資引き受け
オンライン専業のライフネット生命保険は、保険代理店大手のアドバンスクリエイトと資本業務提携した。アドバンスクリエイトは今年3月末時点で、約65億円の債務超過状態に陥り、財務基盤の改善が急務になっている。
アドバンスクリエイトはライフネット、SBIホールディングス、FWD生命保険など5社に対して普通株とA種種類株を合わせて70億円規模の第三者割当増資(9月5日払い込み)を実施し、このうちの約30億円をライフネットが引き受ける。A種種類株のすべてを普通株に転換した場合、ライフネットの所有割合は29.08%となる。
同社は将来的にアドバンスクリエイトの持ち分法適用関連会社化を視野に入れている。オンライン生保のリーディングカンパニーと国内最大級の保険代理店による連携を通じて競争力向上を目指す。
りそなHD、香港オアシスから追加取得
りそなホールディングスはフィンテック企業のデジタルガレージの株式を追加取得し、所有割合を12.42%から30.95%に引き上げて持ち分法適用関連会社化すると発表した。物言う株主として知られる香港投資ファンドのオアシス・マネジメントが保有する852万株を買い取る。
りそなHDとデジタルガレージは2022年11月に資本業務提携し、決済事業の協業を進めてきたが、これまでの枠組みをさらに拡大・強化する。