ポーラ・オルビスホールディングス(ポーラ・オルビスHD)は11月7日、2025年12月期の第3四半期決算を発表した。売上高は1250億200万円(前年同期比0.3%減)とわずかに減収だったが、営業利益は119億5200万円(同10.5%増)、純利益は76億5200万円(同10.1%増)と増益を確保。子会社の清算にともなう法人税等調整額の減少が最終利益を押し上げ、2桁の増益となった。
主力のビューティケア事業では、売上高1204億1100万円(同0.9%減)、営業利益118億5500万円(同1.0%増)。基幹ブランド「ポーラ(POLA)」では、ハイエンドスキンケア「B.A」シリーズを9月に刷新。既存顧客の購買が回復に転じた一方、店舗数の減少が響き、売上・営業利益ともに前年同期を下回った。それでも国内市場では、顧客接点の強化が奏功し、構造改革の効果が徐々に表れ始めている。
「オルビス(ORBIS)」は、中国など一部アジア地域での景気減速や、中国法人の清算決議が影響し、海外は苦戦。一方で国内はスキンケア商品の売上が好調で、前年同期比で売上・利益ともに増加し、国内需要の底堅さを示した。
一方、オーストラリア発の自然派ブランド「ジュリーク(Jurlique)」は売上高56億400万円(同6.8%減)。営業損益は12億4200万円の赤字(前年同期は9億5000万円の黒字)となり、赤字に転落した。ブランド再生中の「スリー(THREE)」も厳しい。売上高35億1600万円(同9.1%減)、営業赤字9億1700万円(前年同期は1億9600万円の赤字)と赤字幅が拡大した。
一方で、不動産事業は業績を下支えした。売上高22億3800万円(同42.0%増)、営業利益3億7500万円(同572.4%増)と大幅な増収増益。2024年に竣工した「ポーラ青山ビルディング」の稼働が本格化し、利益は前年同期の6倍超に拡大した。安定的な賃貸収入が、化粧品事業の波を緩和する構造となっている。
同社は2025年12月期通期で、売上高1740億円(前期比2.1%増)、営業利益145億円(同5.0%増)を見込む。純利益は85億円(同8.5%減)と減益予想だが、一過性の要因によるもので、国内スキンケア需要の回復と不動産収益の拡大で安定した収益構造を維持できるとみられる。だが、「ジュリーク」と「スリー」はブランド刷新の成果が問われる局面を迎えている。