主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年12月22日8時10分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村勉
目次
▼19日(金)の為替相場
(1):日銀 予想通りの利上げ
(2):失望の円売り
(3):英小売売上高 減少
(4):片山財務相 円安けん制
▼19日(金)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:円安加速は海外時間/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
19日(金)の為替相場
期間:19日(金)午前7時10分~20日(土)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀 予想通りの利上げ
日銀は予想通りに政策金利を0.50%から0.75%に引き上げた。声明で「米国経済や各国の通商政策の影響を巡る不確実性は引き続き残っているものの、低下している」「賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高いと考えられる」などとして、利上げに踏み切った理由を説明した。また、利上げ後も「実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている」と強調。その上で経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」として利上げを継続する方針を示した。
(2):失望の円売り
日銀の植田総裁は、金融政策決定会合後の記者会見で、景気を熱しも冷ましもしない中立金利について「推計は相当なばらつきがあり、前もって特定は難しい」と発言。現在の政策金利の水準は「推計された中立金利の下限にはまだ少し距離がある」として、今後も利上げに動く余地があると示唆したものの、中立金利の水準に関する具体的な言及は避けた。市場の一部に、日銀が1~2.5%としている中立金利の推計値を引き上げて従来より利上げ余地が拡大したことを示唆するのではないかとの見方があったことから失望の円売りが優勢となった。また、総裁が具体的な追加利上げの時期やペースについては「今後の経済・物価・金融情勢次第」と述べて明言を避けたことも失望を誘った。
(3):英小売売上高 減少
英11月小売売上高は前月比-0.1%と市場予想(+0.3%)に反して減少。自動車燃料を除いた売上高も前月比-0.2%と予想外(予想+0.1%)の減少となった。
(4):片山財務相 円安けん制
片山財務相は、日銀が利上げを決めた後の円安進行について「一方向で急激な動きがこの半日、この数時間明らかにあるので憂慮している」「9月に発出した日米財務相の共同声明の考え方を踏まえて、投機的な動きも含めて、行き過ぎた動きに対しては適切な対応をとっていく」とけん制した。ただ、円を買い戻す動きは一時的だった。