確定拠出年金,節税
(写真=PIXTA)

平均寿命が年々延びる中、定年後の暮らしを支えるために、国民年金や厚生年金など公的年金を生活の基盤として頼りたいところなのだが、少子化による現役世代の減少や非正規社員の増加もあり支給額の実質引き下げが見込まれている。

長生きがリスクとならないためには、お金も寿命を延ばす工夫が必要だ。心許ない公的年金の上乗せとしてお勧めなのが「確定拠出年金」だ。節税しながら投資ができるお得な制度の「仕組み」と「メリット・デメリット」を一緒に考えてみよう。

確定拠出年金の仕組みと特徴

確定拠出年金とは、企業や個人が掛け金を払うことによって、老後に受け取る年金を増やせるようにする制度で、「企業型」と「個人型」の2種類がある。「企業型」は企業が退職金制度として企業型確定拠出年金を導入しており、従業員を加入させ、原則掛け金は会社が払うことになっている。

一方、「個人型」は自営業者や企業型確定拠出年金の制度がない会社員が自分の意志で加入する。いずれも投資する先を自分で選び、その運用成績によって将来受け取る退職金や年金の額が変わるということが大きな特徴だ。

厚生労働省の調べでは、2015年12月末時点で「企業型」と「個人型」を合わせると確定拠出年金の加入者は570万人を超えている。今後、国会で審議中の改正法案が成立すると、2017年には今まで加入できなかった公務員や専業主婦、確定給付型企業年金のある従業員も新たに対象となる予定だ。国や企業に任せていた老後のための運用は、いつのまにか個人の自己責任にすりかわっているといえるだろう。

メリットは3つのお得

「確定拠出年金」は税制面でとても魅力的な制度になっている。税制面からみたメリットは次の3つだ。

(1)支払う時のお得
年末調整や確定申告時に掛け金すべてが「所得控除」されることが最大のメリットだ。税金は収入からいろいろな控除額を引いて計算されるので、所得控除が増えればその分税金が安くなる。

毎月2万円を「個人型」確定拠出年金に積み立てている場合を例にとろう。年収が300万円の場合、所得税・住民税と合わせて節税額は概算で3万6000円となる。年収が500万円の場合には、節税額は概算で4万8000円となった。家族構成などにより違いは出るが、年収や掛け金が多いほど、また長く続ければ続けるほど大きな節税効果が見込まれる。後者の場合、30年続けると単純計算で144万円もの節税になった。

(2)運用中のお得
運用期間中の利息や分配金、解約時の売却益など、運用で得られた利益すべてが非課税となっている。本来課税されるはずの税金分を運用にまわすことができるので、効果的に資産を増やせることも大きなメリットだ。

(3)受け取り時のお得
受け取り方は、年金として何年かにわたって受け取る場合には「公的年金等控除」が利用できる。退職時に一時金として受け取ると「退職所得控除」が適用される。一部を一時金、残りを年金として受け取ることも可能だ。それぞれ受け取り時に所得控除が活用できるので、その分税金が安くなるのも魅力のひとつだ。

また60歳前に転職または退職などにより、その会社の確定拠出年金から脱退する場合、積立金を次の確定拠出年金に持ち運んで運用を続けるポータビリティという制度があるのも安心できる要素である。

さらに、確定拠出年金で運用する投資信託には割安な信託報酬が設定されていることもメリットだ。

デメリットはどんなこと?

(1)原則60歳まで受け取れない。
年金という名前の通り、老後に備えた運用なので途中解約にはいくつか条件がある。また、60歳になっていても、加入期間が10年に満たない場合は受給開始年齢が遅くなることにも注意しておきたい。子供の教育費や住宅取得費用は別の形で用意をしておこう。

(2)金融機関を選ぶ「目」が必要
取扱い金融機関を決めるときは慎重にしたい。金融機関を変更するには、運用している資産すべてをいったん売却し、現金化する必要があるからだ。

「企業型」の場合は、すでに付き合う金融機関が決められているが、「個人型」の場合は自分で選択し口座を開設することになる。銀行や証券会社、生命保険会社など数多くあるため、選択しきれずこの時点であきらめてしまいがちだ。

ポイントとして、まずは口座開設時に必要な「加入時手数料」と毎月かかる「口座管理手数料」を確認しよう。手数料が安い金融機関のランキングを参考にしてもいいだろう。

取扱いの商品にも手数料がかかる。こちらも保有している間ずっとかかる経費なので、長く続けるほど運用結果に響いてくる。できれば手数料が低く設定されており、自分が選びたい商品の種類が豊富な金融機関を見つけたいところだ。

運用商品の取り扱いは大きく2つに分けることができる。「元本が確保される商品」と「元本が確保されない投資商品」だ。損をしたくないとの思いから元本が確保される商品を選びがちだが、節税のメリットを活かすためには元本が確保されない投資商品での運用を考えたい。

というのも、元本が確保されない投資商品は、元本割れというリスクを伴うが運用次第では、元本確保型商品のリターンをはるかに上回るリターンが期待できるからだ。1万円の利益が非課税になるのと、10万円の利益が非課税になるのとでは大きな違いがでる。自分の決断が老後を決めることにつながるので、慎重にかつ最大限に確定拠出年金を利用したいものだ。

辻本 ゆか 夫婦ふたりの暮らしとお金アドバイザー
大手金融機関にて個人向け営業に従事。その後、乳がんを発症した経験から、備えることの大切さを伝える活動を始める。現在は、子どものいないご夫婦やシングルの方への相談業務も行っている。 FP Cafe 登録FP

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