確定拠出年金,主婦,公務員
(写真=PIXTA)

2017年から個人型確定拠出年金の加入対象に、公務員や企業年金加入者、専業主婦が加わるとされている。法律はまだ審議中ではあるが、決定すると各方面にどんな影響があるのか。新たに加入する場合のメリットや注意点を見ていきたい。

そもそも確定拠出年金とは…

確定拠出年金は一言でいうと、自分で準備する年金だ。公的年金の保険料は給与から自動的に天引きされ、本人の預かり知らぬところで運用が行われる。一方、確定拠出年金は自分自身で運用先を決めることが可能だ。

まずは現状の特色を整理しよう。

【特徴1】 受取り額は運用実績によって変わる
運用次第で年金額が決まる。運用が好調であれば年金給付額は増えるし、逆もまたしかり。良くも悪くも自己責任となる。

【特徴2】 転職にも対応
加入者ごとの年金資産が明確であり、転職の際はテータビリティ(持ち運び)が可能。企業に依存しない年金制度のため、会社が倒産しても自身の年金は守られる。

【特徴3】 税金面の優遇がある
拠出時、運用時、そして受取時に税金が優遇される。拠出したお金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得税がかからず、運用益に税金はかからない。そして受取時は受取り方法によって「退職所得控除」もしくは「公的年金控除」が適用となる。

次に、現状の加入対象者を見てみよう。大きく分けて企業型と個人型がある。

【企業型確定拠出年金】
企業型の掛け金は原則会社負担(規約に定めれば個人での拠出も可能)で、確定拠出年金制度を取り入れた会社の従業員のみ加入できる。

【個人型確定拠出年金】
個人型の掛け金は全額自己負担であり、自営業者のほか、勤め先に確定拠出年金も確定給付年型年金もない会社員が加入対象となる。

つまり、公務員、主婦または主夫(以下、主婦とする)は加入対象から外れている。また、勤め先に企業年金がある会社員も加入できないのが現状だ。これらの層は、加入対象の拡大によってどうなるのだろうか。

確定拠出年金の加入対象が拡大

加入対象拡大での大きなトピックは、主婦と公務員の加入が可能になるという点だ。原則として年金の保険料を支払わなくてよい主婦と、倒産や解雇のない公務員は「守られた存在」といっていいだろう。この両者と自己責任である確定拠出年金の組み合わせは新鮮だ。そこで主婦と公務員にスポットを当てて見ていきたい。

なお、ここでいう主婦とは3号被保険者と呼ばれる者で「会社員の配偶者の扶養に入っている」という意味である。所得があっても扶養の範囲内であれば3号被保険者であり、年収130万円以内がボーダーラインとなる。

加入するならば個人型に

主婦や公務員が確定拠出年金に加入するならば、個人型となる。主婦の3号被保険者は、公的年金については世帯主の拠出だけで済むが、確定拠出年金の場合は自身で掛け金を捻出する必要が生じる。

また、公務員について国や自治体などの勤務先が確定拠出年金に加入するわけではなく、加入を望む者だけが個人型に加入することとなる。

主婦に関しては自営業者の加入者、公務員では会社員の個人型加入者に近い扱いになると考えるといいだろう。

主婦や公務員、加入のメリットは

では、主婦や公務員が確定拠出年金に加入する際の注意点やメリットはどんなことだろうか。まず主婦だが、筆者は主婦には基本的に加入を勧めたいと思う。理由は以下の3つだ。

1、就業環境の変化に対応できる
今は働いていない、もしくは扶養内で働いている主婦も、今後は扶養を外れて働く可能性がある。その際、個人型に加入していれば企業型に移換可能だ。一方、企業型確定拠出年金を行う会社に勤めていた妻が出産や子育てを機に退職した際は個人型に移換できる。

2、主婦の年金は手薄になりやすい
厚生年金に自力で加入しない主婦は、そうでない場合と比較すると年金額が少なくなる。運用次第では受取額の増加か見込まれ、税制面の優遇も大きい確定拠出年金は検討の余地があると言えるだろう。

3、積立型で運用できる
毎月決まった額を拠出するため、貯蓄が苦手という人でも強制的に積立が可能。自分で計画的に貯蓄できる人ならいいが、あるだけ使ってしまうという人にはいいシステムだ。

では、公務員の場合はどうだろうか。公務員の大きなメリットは民間企業へ転職の際に引き継げることだ。公務員の場合、倒産というリスクはないが、転職、早期退職の可能性は残るため、ポータビリティ型の確定拠出年金は魅力だ。

また、主婦、公務員ともに税制面での優遇は大きい。自己努力で老後資金を用意する場合、個人年金保険や貯蓄で準備するという手もある。個人年金の場合も控除はあるが全額ではないし、貯蓄の利息についても税金がかかる。税制面から見ると、確定拠出年金はかなり優秀なのだ。

確定拠出年金の注意点とは

メリットを伝えてきたが、注意点もある。まず、換金性の低さだ。現状、60歳までは引き出せないため、その点は同じ運用ならNISAの方が換金性が高く有利となる。

また、企業のような説明会や研修は望めない可能性が高い。企業では制度導入時に確定拠出年金の説明会を行ったり、商品研修、金融リテラシー研修などを実施する場合が多い。しかし加入が任意である公務員や主婦の場合このような学習機会の提供は望めないと推測する。

主婦や公務員が確定拠出年金に加入する場合は、その2点に注意しよう。換金性が低いため、近いうちに必要な資金を確定拠出年金に拠出してしまうと現金が足りなくなる可能性があること。そして加入するなら商品知識を磨く必要があるだろう。

今後は自分の老後資金は自分で作る時代になる。リスクと注意点を理解したうえで、活用して欲しい。

※改正については2017年3月時点の情報を元に記述しています。今後の議論によっては内容が変更される可能性があります。

横山 晴美 (よこやま はるみ)ライフプラン応援事務所代表
2011年にFP資格取得。2013年 ライフプラン応援事務所 を立ち上げ独立FPとして活動。住宅・子育て・老後などの「お金の問題」解決を目指し、相談業務・マネーセミナー等を行っている。

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