DC,確定拠出年金
(写真=PIXTA)

「年間30%の運用利回り」。通常、そんなおいしい話に乗ってはだめだ。だいたい詐欺で泣く羽目になるだろう。大手銀行の定期預金金利が年率0.01%(1年もの)、高金利と言われる新興国の外国債券(リスクが高い)でさえ、年率8%程度となっている。

しかし、そんなおいしい話が実在する。それが、「個人型DC」と呼ばれる制度だ。確定拠出年金は、掛け金すべてが「所得控除」されるのが最大のメリットだ。税金は収入からいろいろな控除額を引いて計算されるので、所得控除が増えればその分税金が安くなる。

例えば、「30歳・年収600万円・毎月2万3000円(年27万6000円)の掛金」なら、年間8万2800円の節税ができる。「8万2800円÷27万8000円」で利回り換算で年30%になるというわけだ。そして、運用益は非課税になるというメリットもある。60歳までは原則として解約不可能な点には注意だ。

現役世代は、老後資金を自分で準備しなければならなくなっている。将来、自分が年金をもらえる頃には、公的年金はいったいどうなっているのか心配になる方も多いのではないだろうか。そうした中、選択肢のひとつとして考えたいのが「確定拠出年金(DC)制度」だ。

今回、ZUU online 編集部は、DCをより理解するために、フィデリティ投信の確定拠出年金部シニアマネージャーの本庄洋介氏にお話をうかがった。

年金制度の整理 DCとは何か?

日本の年金制度の全体像を整理しよう。大きく分けて「公的年金」と「私的年金」の2つに分けられる。

20歳以上の誰もが共通して加入する国民年金や、会社員が加入する厚生年金、公務員・私立学校教職員が加入する共済年金など、いわゆる「2階建て」と呼ばれるのが公的年金だ。

それに対し、個人や私企業で加入する年金を私的年金と呼ぶ。その中でも職場を通じて加入する企業年金は、確定給付年金(DB)と、DCの2種類に分けられる。大きな違いは、DBは将来貰える金額が決まっているが、DCは加入者の運用成績次第で将来貰える金額が変動する点にある。厚生年金の支給額は少子高齢化で年々目減りすることはさけられないため、国は老後のお金を自分たちで補ってもらうよう私的年金の拡充に力を入れている。

DCの種類 「個人型」と「企業型」の違い

冒頭では「個人型DC」を例に挙げたが、DCには対象者が個人で掛金を支払う「個人型」と、企業が掛金を支払う「企業型」がある。

個人型DCは、ざっくりいうと、いわゆる自営業やフリーランスといった国民年金第1号被保険者、会社員でも勤務先に企業型確定拠出年金制度がない会社員が利用できる。掛金の上限は、1号加入者は6万8000円/月、2号加入者は2万3000円/月となる。5000円/月からはじめることができる。

「個人型DCの2015年11月時点での加入者数は約24万人。現在使える人のわずか0.6%にとどまっている(本庄氏)」とのことだ。

一方、会社員で企業が確定拠出年金制度を実施している場合は「企業型」になる。企業型DCは「企業が掛金を支払う」というもので、実施主体は企業型年金規約の承認を受けた企業となっている。

掛金の上限は、企業と従業員の拠出額を合わせて、企業年金を実施している企業の第2号被保険者は2万7500円/月、実施していない場合は5万5000円/月だ。下限は規約によって異なる。上場企業の3分の1超は、企業型DCを導入しており、ビジネスパーソンにとっては身近な制度といえるだろう。

DCの運用商品選びに悩む人へ

社会保障審議会の資料によると、DCの資産残高は2004年3月末には僅か1400億円だったものが、10年後の2014年3月末には7兆4500億円にまで伸長している(2015年には9兆円超)。その内訳をみると、株式などの有価証券が40%、預貯金が39%、生損保が21%となっている。

本庄氏によれば、「企業型DCに多いが、よく分からないから初期設定のままにしているため、加入者が実際に運用する商品は元本確保型が多い」とのことだ。しかし、そうなると運用利回りは低水準にとどまり、物価上昇による資産価値の目減りに対抗することができない。老後資金を準備するためにも、ある程度リスクを取った運用が迫られている。

ただ、いざDCを始めようと思うと運用商品選びで悩む方も多いだろう。そんな悩みを解決してくれるのが、資産配分を自動的に変えて運用してくれる「ターゲット・デート・ファンド(TDF)」と呼ばれる投資信託だ。「TDFの特徴は3つ。①長期分散投資を前提とした投資対象の選択、②適切なリバランスなどの維持管理、③加入者の年齢に応じ、自動的にアセット・アロケーションを変更する」と本庄氏。あらかじめ運用期間を設定し、その年までの運用期間の長さに応じて、投資対象の選択や資産配分などの変更をファンドに任せることができる。

「フィデリティTDF 2050」を例に見ていこう。この商品は「2050年」に向けて資産配分をおこなっていく投資信託だ。読者が現在35歳ならば、69歳までメンテンナス付きで自動運用をおこなってくれる。他には「2030、2040」の2つ運用期間があり、自分の年齢に応じて考えるとよいのではないだろうか。

長期投資が可能な期間は積極的に運用を行い、投資期間に応じて資産配分を安定運用に変更していくため、投資初心者や忙しいビジネスパーソンの心強い味方になりそうだ。

老後の準備と聞くと、下流老人や老後貧乏といった暗いイメージがつきまとう。しかし、DCにより資産運用の選択肢が広がる、そういった明るい前向きな気持ちで臨んでいただきたい。(ZUU online 編集部)

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