ニューデリー

世界最大の民主主義国家と言えばインドですが、4月7日から投票が始まる第16回下院議員選挙に世界が注目しています。開票は5月16日に全543地区一斉開票の予定となっています。インドの人口はおよそ12億人、その内有権者数8億人以上と想像を絶する人数です。有権者の人数は前回選挙時(2009年)から1億人以上増えており、若年層の有権者数が多い事が分かります。(インドは18歳から選挙権が付与される)

今回の選挙が注目される理由は政権交代の可能性があるからです。インド国内は前回選挙で与党となった統一進歩同盟(United Progressive Alliance:UPA)は汚職やスキャンダルが目立ち国民から懐疑的な眼で見られてしまう運命を辿りました。インド政界は根強い縁故主義がはびこっており、現役政治家の大半は世襲により成り上がった政治家一族出身の物が多い事も特徴です。政治家による犯罪行為も後を絶たず、驚くべき事に現役議員の3人に1人は刑事訴追を受けているという始末です。

さらに景気の悪化や物価上昇が重なり庶民の生活は一向に良くならない事からUPAに対する支持率は低迷しています。経済成長率は約10年振りの低水準に留まっており、国民は政権交代による景気回復を望んでいます。

今回の選挙では世論調査で第一野党であるインド人民党(Bharatiya Janata Party :BJP)が与党になる事がほぼ織り込まれており、既にマーケットの動きも加速しているようです。日経通貨インデックスを構成する25通貨の内、インドルピーが4月末に最も上昇率が高かったようです。

インド株式市場のS&Pセンセックス指数も過去最高値を更新し、さらに一段高の様相を呈していいます。選挙の結果BJPとUPAの議席数の乖離が大きければより大胆な景気刺激策を講じると言う予想が報じられており、議席数に注目が集まっています。

日本でも1年半前に民主党から自民党に政権交代が行われ、安倍政権が発足した時は選挙開始前からマーケットが反応し円安・株高トレンドが発生した事は記憶に新しいと思います。今回も似たような動きになっておりインドへの投資が活発化する可能性があります。

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