塩漬け株活用法
(写真=PIXTA)

株式市場は年初から大荒れとなっており、「株を枕」にして年を越してしっかりと「塩漬け」となったものも多いと思います。「これでもか」と言うような売りが出て、指数が大きく下押し、好調な業績が期待されるものまで大きく売られるという状況になりました。

業績面から割高となっていたものを買っていたのであれば、損切りも比較的楽に行えるのですが、業績の割に安い水準まで売られているものが多いので、売りそびれるということも多いと思います。

塩漬けとなる株には大きく2種類あります。デイトレードと思って買い付いたものが急落してしまい売りそびれて塩漬けとなったケースや目先的に上昇している銘柄が急落したところを「押し目」と思って買ってしまったケースなど、目先的な値動きを取って見ようと思って、うまくいかずに塩漬けとなったケース。

また、大きく下落して業績面から割安感が見られ、底堅さも見られていたのですが、相場全体が大きく下落することで指数に引きずられるように下落、業績面で心配がないだけに「すぐに戻すだろう」と思って損切りをし損ねたケースだと思います。

外国人の換金売りなどに押される場合や指数に引きずられて売られるという場合には、どこかで業績面からの見直し買いなども入る可能性があり、慌てて損切りをしなくても済むケースがあります。また、もともと長期投資と割り切っていたのだから目先に少しくらい下落しても気にしないということもあります。

いずれにしても「評価損」が出ていることには違いないのであり塩漬けには変わりないのですが、長期投資と思っている場合には単純に「保有=投資」しているだけで「塩漬け」とは言わないのだと思います。

ただ、そうは言っても現金化すると当初の投資資金より目減りしていることには違いないのですから、「塩漬け」と言う表現でも間違いはなく、印象も悪くなります。それではこうした長期投資の株券の有効な活用法と言うのはないのでしょうか?

もともと、業績面では不安のない銘柄、倒産リスクの低い銘柄であれば、配当が出ているケースも多く、配当がもらえるということであれば、長い目で見れば大きな損失にはならないということになります。

例えば、配当利回りが3%ある銘柄であれば、減配とならない限り、10年間持ち続ければ30%は戻ってくる計算になり、当初の投入金額が30%目減りしていても現在の定期預金とそれほど変わるものではありません。

もちろん、3%の配当が維持できるということであれば、それなりに利益が出ている会社と言うことであり、10年も持っていれば、特別に割高の水準で買ったのでなければ買値を上回ることも多いでしょう。

また、銘柄をいくつか分散することで、保有株全体の下落を抑えることができるかもしれません。為替が円高になって利益が出る企業と円安となって利益が出る企業では株価の動きも違うことが多いのですから、こうした株を組み合わせて保有していることで配当などのメリットも大きくなって来ます。

配当利回り重視ならば「TOPIX30銘柄」

分散の仕方も問題ですが、配当利回りで考えるということであれば、TOPIXコア30銘柄の利用も考えられます。

日本を代表する主要企業で構成する指数ですから、日本の景気が良くなれば株価が上昇、配当も増えるということになります。また、主力の企業ですから倒産リスクは小さく、割安感が強い銘柄を配当利回りを考えながら組み入れてまとめて買って「塩漬け」にしておくということで良いのではないかと思います。

別表は日経平均と、TOPIXコア30銘柄のうち、1月22日引け値、予想ベースの配当利回りランキング上位10銘柄合計の比較チャートです。この銘柄群の配当利回りは全ての銘柄を最低単位保有した場合に3・4%程度となります。つまり配当が変わらないと仮定した場合に1年間保有していれば、評価損を無視すると3・4%の収益となるということです。

株価も過去の日経平均の連動性から見て(グラフ参照)、ほぼ日経平均に連動しており、日経平均が上昇して来れば、同じように上昇して来るということになりそうです。

加えて、売り買いシグナルでの銘柄の入れ替えやドルコスト平均法などの資金管理、日経平均の先物やオプションなど派生商品との組み合わせなどを利用すれば、さらに利回りアップが測れ、冴えない相場でもそれなりの収益があげられるということになりそうです。

デイトレードなどとは無縁な投資法で塩漬けを前提としたようなものですが、スロー投資であれば、派手に儲けることはないかもしれませんが、地道にしっかりと利益を出し続けるということは可能だと思います。

良い銘柄

清水洋介 証券経済アナリスト
大学卒業後、大和証券、ソシエテジェネラル証券、マネックス証券を経て投資情報サービス会社「ピクシスリサーチ」を設立(現・アルゴナビス)、「チャートの先生」「投資のプロ」として、講演やセミナー活動等を活発に行なっています。テレビや雑誌などでも投資についての解説、講義なども行なっています。(記事提供= 株主手帳 )