米ニューヨーク・タイムズ紙が発表した、FinTech主要企業の時価総額から、今回は個人資産管理、融資、決済の分野をまとめてみた。PaypalやEnvestmentなど4社を除いて、ここ10年以内に設立されたスタートアップが圧倒的に多いようだ。

昨年までの「猫も杓子もFinTech」といった雰囲気から一転。今年は「実力のあるスタートアップだけが生き残れる正念場の年」といわれている。

スタートアップ勢に混じって老舗も健闘

4月1日現在の時価総額を見る限り、資産管理分野では老舗のEnvestmentに続き、WealthFrontやBettermentなどのスタートアップが最新のテクノロジーを屈指した低コストサービスをウリに、順調に業績を伸ばしているのが分かる。

融資分野は実力、評判ともにP2P業界NO.1の呼び名が高いLending Clubを始め、学生ローンの借り換えという新しい観点から、設立わずか5年という短期間で急成長を遂げたSoFi、英初のP2P企業、Funding Circleなどが圧勝。

欧米の決済分野で最高峰に君臨するPaypalの時価総額は、2位のSquareの8倍以上。圧倒的な市場シェアを誇っているが、中国決済の巨匠、Alipayの欧州進出も控え、今後の健闘ぶりが注目される。2012年にVenmo(8位)を買収したBraintree(7位)は、翌年からPaypalに合併されている。決済分野では新顔のStripeが、堂々の3位にランク入りしている点も興味深い。

ここ10年以内に設立されたスタートアップの共通点は、「確立された企業にはない発想で、消費者側の目線からサービスや商品の開発に挑む」という姿勢だろう。AppleやGoogleといった他分野からの進出も活発化していることから、来年の時価総額がどのように変化しているのか今から楽しみだ。

個人資産管理 ウェルスフロントなどが並ぶ

9位 Mint 1億7000万ドル(売却額)/約184億2800万円
8位 Learn Vest 2億5000万ドル(売却額)/約271億円
7位 Personal Capital 3億ドル/約325億2000万円
6位 Nard Wallet 5億ドル/約542億円
5位 Yodlee 6億6000ドル(売却額)/約715億4400万円
3位 WealthFront(7億ドル)/約758億8000万円
3位 Betterment(7億ドル)/約758億8000万円
2位 Motif 8億ドル/約867億1200万円
1位 Envestment 11億ドル/約1192億4000万円

融資 カバージなどランクイン

9位 Common Bond 未公表
9位 Affirm 未公表
7位 On Deck 6億ドル/約650億4000万円
6位 Kabbage 10億ドル/約1084億円
5位 Funding Circle 11億ドル/約1192億4000万円
4位 Prosper 19億ドル/約2059億6000万円
3位 Avant 20億ドル/約2168億円
2位 SoFi 30億ドル/約3252億円
1位 Lending Club 32億ドル/約3468億8000万円

決済 首位はPayPal

8位 Venmo 2600万ドル/約28億1814万円(売却額)
7位 Braintree 8億ドル/約867億1200万円(売却額)
6位 Klama 23億ドル/約2492億9700万円
4位 Adyen 23億ドル/約2492億9700万円
4位 Mozido 24億ドル/約2601億3600万円
3位 Stripe 50億ドル/約5419億5000万円
2位 Square 56億ドル/約6069億8400万円
1位 PayPal 470億ドル/約5兆948億円

FinTech online編集部