グループの中核「三菱金曜会」 知られざる階級社会

底知れぬ強大なパワーを持つ三菱グループには、三菱系29社の会長、社長が親睦を目的として集まる「三菱金曜会」が存在する。毎月第2金曜日に例会が開かれるためその名で呼ばれているようだが、単なる親睦会の域を超えた存在だ。現在の代表は、三菱東京UFJ銀行の平野信行取締役会長が務めている。

金曜会には暗黙の序列があり、トップには冒頭でも紹介した三菱重工業 <7011> 、三菱東京UFJ銀行、三菱商事 <8058> の御三家が君臨している。そして、御三家の下に主要10社、さらにその下に三菱自動車を含む残りの会社が続く。

グループ共通の社会貢献案件の審議や、社名に三菱を冠称することになった会社の紹介が主な活動だ。さらには政治・経済や文化・芸術など、各界で活躍しているゲストの講演も行うそうだ。

金曜会「時価総額ランキング」

以下は、2016年5月18日の終値を基準にした時価総額をランク付けしたものだ。なお、首位の三菱UFJ FGには三菱東京UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券HDが含まれている他、三菱ケミカルHDには三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨンが含まれている。非上場の5社については、このランキングからは除外している。明記できた20社の時価総額合計は27兆円を超えている。日本企業時価総額1位のトヨタが18兆円であることから見ても、強力な集いであることがわかる。

第1位  三菱UFJ FG <8306>  7兆5067億円
第2位  三菱商事 <8058>  3兆 21億円
第3位  三菱地所 <8802>  2兆 9268億円
第4位  東京海上日動火災 <8766>  2兆 8203億円
第5位  三菱電機 <6503>  2兆 7785億円
第6位  キリンHD <2503>  1兆 6548億円
第7位  三菱重工 <7011>  1兆 4014億円
第8位  JXHD <5020>  1兆 551億円
第9位  三菱ケミカルHD <4188>  8304億円
第10位 旭硝子 <5201>  7832億円
第11位 ニコン <7731>  6153億円
第12位 三菱自動車 <7211>  5302億円
第14位 三菱マテリアル <5711>  4116億円
第15位 日本郵船 <9101>  3537億円
第16位 三菱ガス化学 <4182>  3041億円
第17位 三菱倉庫 <9301>  2656億円
第18位 三菱製紙 <3864>  277億円
第19位 三菱製鋼 <5632>  271億円
第20位 三菱化工機 <6331>  160億円

三菱自動車は金曜会から脱会?

気になるのは三菱自動車の今後の立ち位置だ。日産の傘下に入るため、同社の相川社長は6月の株主総会をもって辞任、益子会長は当面日産との調整などにあたる。日産傘下に入りながら、三菱金曜会に所属し続けるのだろうか。

同社の広報にライターである筆者が直接電話で照会してみた結果、「現段階では未定」との返事だった。ちなみに、三菱グループの企業数カ所に問い合わせてみたが、いずれも対応は迅速かつ丁寧であった。今回の問題に関して、きちんと消費者に向き合おうとする姿勢が伺われた。

三菱自動車と日産の戦略的アライアンスは双方が対等なものだ。だが、今後ゴーン社長の元で、三菱自動車のカラーをどこまで出せるか不透明である。金曜会に所属し、後ろ盾の力を有効活用できるかに注目だ。(ZUU online編集部)